どんなお仕事にも、必ずリズムがあると思うのです。
言葉のリズムなのか、音のリズムなのか、動きのリズムなのか。
お仕事によって異なるのですが、リズムは
その仕事の良し悪しを決める重要なポイントになるものだと思います。

先日お邪魔させていただいた、金具職人の八重樫栄吉さんはリズムの達人でした。
八重樫さんが作るのは、手打ちの打ち出し金具。
タガネを用いて、鉄板や銅板を表と裏と順番に打ち出し、立体感と表情を作り出すのです。
タガネは工房内にあるフイゴを使って一つひとつを手作りします。
タガネ作りに修行3年は必要だそうです。
一つの金具を完成させるのに用いる金具は100以上に及ぶこともあるのだとか。
こうして出来た打ち出し金具は、仙台の伝統工芸品「仙台箪笥」の抽斗につけられます。
龍や獅子、牡丹など細かな細工を施された八重樫さんの手打ち金具は
ため息が出るほどに素晴らしい。何時間だって見られちゃうのです。
八重樫さんは、三拍子のリズムで板を叩きます。トントントン、トントントン・・・。
朝一番に少し叩いた感覚で、その日1日の仕事の具合が分かるそうな。
さらに不思議なのは、奥さんも八重樫さんが叩く金具の音でその日の調子が分かると言うのです。
リズムを感じて板を叩くと、余分な力が抜けて体を痛めることがないそうです。
無理に叩かないことから、金属にしなやかな動きが生まれるのだと思いました。
力まず、金属板の反響する音を聞きながら、トントントン、トントントン・・・。
金具職人・八重樫さんのリズムは、軽快に鳴り響く三拍子でした。