4月例会について
[2016年03月08日(Tue)]
平成28年度4月例会は,29日(金)「昭和の日」に開催します。場所は土浦市都和公民館,時刻は13:30からです。
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4月例会について
平成28年度4月例会は,29日(金)「昭和の日」に開催します。場所は土浦市都和公民館,時刻は13:30からです。
3月例会内容
3月例会は,石岡市立国府中学校の奥谷先生と,教務主任の吉澤先生が3年社会科(経済)の授業実践を報告してくれました。 ![]() ![]() ![]() 授業デザイン ワークシート 奥谷大樹先生の実践報告から学んだこと 岩本泰則 今回の授業報告者は、国府中学校新採3年目の初々しい青年教師、奥谷先生である。中学校3年社会科、課題は「景気がいいってどういうことだろう」である。生徒たちは1時間本当によく追究し合っていた。授業終了後の「もっと考えたい」という思いが教室に漂っていた。「新採3年目、学びの共同体1年目の実践」とは思えないすばらしい報告であった。今回もまた授業の奥深さを学ばせて頂いた。以下、奥谷先生から学んだことを2点あげてみる。 一つは、「すべての生徒の学びを保障する」ことと「学びの質を高める」ことの難しさである。そのために授業ではグループにする、授業者が生徒を支える、困り感を共有するなど様々な配慮がなされている。グループになって7分後には、グループ学習の限界を察して、I君に説明させ、困り感を全体で共有をした。いいタイミングであり、見事な授業デザインである。授業者は「I君の迷いを考えてみよう」と又グループに戻した。それをきっかけにグループの学びに活気が出てきた。しかし、もっと欲を言えばの話であるが、残念ながら先に進めない生徒は一向に変わらない。学びの質も高まっているようにも見えない。「すべての生徒の学びを保障する」、「学びの質を高める」、どうしたらできるのだろうか。共有化をもっと丁寧にやること、I君の考えにつないでいくこと、分からなさをもっと明確にすること、さらにペア学習を取り入れるなどの必要があるのであろうか。ケースバイケースだろうが、もっともっと丁寧に授業をデザインしていかないと低学力層の底上げも高め合いもできないのではないだろうか。これは学びの共同体に挑んでいる多くの授業の課題でもある。 学んだことのもう一つは、生活経験を根拠にして論理を組み立てる、これでいいのだろうか、ということである。今回の授業の到達点は、「ワークシートに描かれて好景気、不景気の変動曲線状に、『需要過剰』『供給過剰』等のカードを順番に並べ、説明できる」とのことである。しかしながら生徒は何を根拠にして判断しているのだろうか。この授業では根拠をあげるための資料は用意されなかった。授業者は、根拠は「生活経験」であるという。確かに生活経験も必要だろう。しかし、社会科学として学ぶのにそれでいいのだろうか、という疑問も出された。それぞれの生活経験に加えて資料等を基にして論理を組み立てることが大事なのではないかと思ったのである。先にあげた、学びの保障、学びの質を高める、もこのことと関連があるのではないだろうかと思うに至った次第である。「生活経験」を根拠にして論理を組み立てる、これでいいのだろうか? 教えていただきたいところである。 今回の参加者は9名、人数としては低調である。しかし、一人一人の精神はまさにアクティブであり、奥谷先生に対する姿勢は10年も20年も経験している教師に向かっているようで遠慮も会釈もなかった。校内研修ではそうはいかない。こういう会のいいところであろう。まさに育ち合う場である。最後に奥谷先生は、「みかえすのが恥ずかしい」「やらないと同じになってしまったのかな」「指摘してもらったことをさっそく授業に取り入れてみます」と語っていたが、いま時には珍しい謙虚で追究心のあるすがすがしい青年教師である。そういう教師だから皆遠慮なく活発な意見交流ができたのかもしれない。教職3年目のころの自分はどうだったのだろうか、とてもここまではいかなかった。 茨城・学びの会3月例会授業リフレクション 石岡市立国府中学校 3年2組 社会「好景気と不景気」 奥谷 大樹先生 本橋 和久 今回の中学3年生の社会科は,生徒たちが始めから終りまで一生懸命に考え続けた授業であった。これだけ熟考する活動が豊富に盛り込まれているのは,社会科の授業としてはよいことだという感想が多く聞かれた。 授業者の奥谷先生からは,始めは課題を「どのようなときを好景気・不景気というのだろうか」と設定したが,授業を実施する段階で「景気がいいってどういうことだろう」という表現に変えたということだった。授業が始まると,生徒たちは生産増加,価格上昇,所得減少,重要増加などのキーワードが書かれたカードを景気の変動を表すグラフ上に並べながら,好景気になる要因,不景気になる要因を探っていった。 奥谷先生には,生徒たちに社会の仕組み,経済のメカニズムを学んでほしいという強い願いがあった。その願いのとおり,生徒たちは,どういう順序で価格が上昇したり利潤が増加したりするのか,またどういう順序で不景気がやってくるのかをどのグループでも頭をフルに使って探っていた。2回目のグループのときに,奥谷先生が生徒からの問いを取り上げ,焦点化した上で再びグループにもどす場面があった。このことによって,生徒たちは今何を考えようとしているかが明確になり思考が深まっていくのがわかった。 今後の課題としては,はやくわかってしまう生徒と自分の考えをもつまで時間がかかる生徒の差をどう埋めるかということである。今回は言語でのやりとりが多く,やや抽象度が高かったため,議論のステージに上れない生徒も見られた。より具体的な商品や価格,所得などの資料によってイメージしやすくなれば,それぞれがどのように関連して景気を変動させていくのか,議論に加わりやすくなったのでは,という意見もあった。経験主義だけではなかなか議論が深まらず,這いまわることになるという指摘もあり,抽象的な概念をいかにして具体的な資料をとおして学ばせていくか,参加者にとっての新たな課題となった。さらに,1時間の授業をまとめる際にも,キーワードを必ず使って表現させるなど,自分の言葉とはいえ教科に特有のテクニカルタームを確実に活用させることの重要性も指摘された。 総じて,社会科の授業を見る機会はあまり多くないことから,今回の本格的な経済の授業は,参加者にとって学ぶことの多い研修となった。授業を提供してくれた奥谷先生,国府中学校の先生方に感謝したい。 ひたち野うしく小校内研修資料より 学びの質を高めるために |