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茨城・学びの会情報発信ブログ

「茨城・学びの会」月例会の報告を中心に発信しています。明日の学校づくり・授業づくりのために,会員のみなさんや授業づくり・学校づくりに関心のある方からのコメント等をいただければと思います。


第6回冬の授業づくり・学校づくりセミナーから [2014年01月27日(Mon)]

1月26日(日)筑波学院大学において標記の研修会を行いました。
講師の齋藤先生も含め総数66名の参加がありました。中には東京から明治大学の学生や明治大学附属中野高等学校の先生なども参加いただきました。授業実践の発表は常陸太田市立峰山中学校の木村央先生に中学校3年社会科「単元:くらしと経済:コンビニエンスストアの立地について考えることで,経営者の立場で自分の考えをまとめる。」という内容でした。

社会科授業実践発表資料


授業DVDを視聴してのグループリフレクションから抜粋及び感想

・生徒たちにとって,自分たちの地域にあるコンビニエンスストアを話題に出すことで,イメージがわきやすく考えも深まりやすかったのではないか。
・配付した立地条件の資料をもとに,自分たちの住む町のコンビニは立地としてどうか…など,よりリアルに考えていたが,生徒たちの発言にもう少し根拠が欲しいと感じた。
・話題が人気(コンビニのブランド)や見た目(店の雰囲気など)に考えが及んでいた。「課題」「何を学ばせたいのか」双方に多少のずれが感じられ,違和感として残った。
・実際にシミュレーションのようなコンビニを自分たちの地域で当てはめて考えるのは難しい。しかし,与えられた立地条件の配付資料を比較の観点として,生徒たちはよく考えていたのが印象的であった。
・「場面5」の移転してしまったコンビニ跡地の写真資料はジャンプの課題であった。コンビニにとってどのような立地条件が良いのか,生徒たちに問い直すものであった。この場面から生徒たちは深い学びに突入していったように思う。
・公民の経済単元の導入での授業として、コンビニエンスストアの立地条件を考えさせる学習だったが、ジャンプの課題として、実際に住んでいる町のコ ンビニエンスストの様子を資料として使ったことや、さらに、移転してしまったコンビニエンスストの理由を考えさせたことで、生徒たちは、交通や周 囲の環境等の立地条件だけでなく、商品の品揃えや照明の明るさ、さらにはコンビニエンスストアのネームバリュー等にまで考えを深めていくことが できていた。自分たちの生活に結びつくリアルな資料の導入が授業者の意図を超えた生徒たちの豊かな発想を生み出したのだと思う。
・授業は,仮想地図上のA・B・C・D・E地点にコンビニを出店するとしたらどの場所にするかという問いから始まった。この課題は研修会の最後で質問が出ることになるのだが,配付されたプリント資料だけで出店候補地を決定することが不可能なのははっきりしている。それよりも,それぞれの場所を選んだ理由を生徒がどう説明するかの方が重要だろうと思う。おそらく,国道に面しているから,駐車場が広くとれるからとか,GSが近くにあるからとか,人通りが多いからとかの理由が出てくるだろうと思う。そこに,その理由の正当性を何で判断すればいいのかという問題も発生するだろう。これは経営者の視点というよりも,マーケティング調査のレベルであって高度な知識が必要になるように思う。だから,この授業では「生徒がどんな理由付けをするのか」に焦点をあてることの方が大切だろう。この理由付けが経営者の視点であるかどうかを教師側が教えていくことで,生徒の思考が方向付けられるように思う。生徒は@交通量A人の流れ・数B地域住民層C借家・一戸建ての割合D近辺の施設E土地の形状,等を理由としてあげるだろうが,その他も含めどれ一つとっても出店候補地の条件として外せないことを学び,どこで妥協するかという現実的な選択を求められる時,学びはさらに深まるのだろう。だから,自分たちの地域のコンビニが撤退し移転したという事実はこの上ない資料であり,「なぜ」という問いが学びをさらに深めることになると,確かに思った。

齋藤智哉先生の講演から

今回の研修会に参加して改めて学び直したことは、学びの共同体としての学校づくりのヴィジョンと哲学に立ち返ることの大切さ、それから「子どもの事実」を通して学ぶことの意味です。協同的な学びを導入して授業実践や検討会を重ねているうちに、そもそもなぜ協同的な学びなのか、私たちはどこに向かって進んでいるのかを意識しなくなる瞬間が確かにあると思いました。自分にも思い当たります。そのことに齋藤先生は改めて気付かせてくださいました。さらに、ヴィジョンと哲学がぶれていない限り、たとえ授業は失敗したとしてもそこから学ぶことがたくさんある、という佐藤学先生の言葉に勇気づけられたことも思い出しました。子どもの事実を通して学ぶことについては、教科の本質などの教材論について語るときであっても、子どもの学ぶ事実を通さない議論は次の授業に生かされないということを改めて学び直しました。今回の提案授業においても、スクリプトと録画から生徒たちの学びをきめ細かく見ていったからこそ、社会科という教科の本質に迫る検討会ができたのだと思います。私の勤務する自治体の学校では、検討会の質の向上が課題となっています。今回は市内の先生たちが多数参加してくださったので、各学校に戻って協議会の質的向上につなげてくださるのではないかと思います。最後に、今回の授業から、他のあらゆる教科同様、社会科の広さと奥深さを改めて知りました。学ぶべきことが尽きない教師という職業は本当にやり甲斐があると思います。自分が興味をもって学んだことを授業づくりに生かせるからです。日常的に授業を研究できることがありがたく感じられました。(アンダーライン:事務局)

冬のセミナー


冬のセミナー


冬のセミナー


冬のセミナー


授業実践発表者の木村央先生の感想

これまでの授業で自分はどれだけ生徒の様子をみとってきただろうか。
1月26日に行われた筑波学院大学での実践発表会のビデオ視聴の中で,講師の齊藤先生の言葉から新たな発見があった。あるグループに資料を1枚渡したときに,ある生徒は資料から離れ,見ることができずもどかしそうな表情をしていた。自分の生徒のみとりがいかに課題であるか知った瞬間だった。
集団で学び合う中で,考えたことを互いに表現し合い,深めていくことも社会科における「表現」の一つと考えている。だからこそ,1つの資料の扱いを大切にするとともに,学びが滞っているグループや生徒へのケアはいかにあるべきかを真剣に考えていかなければならない。
1つの授業をビデオや授業記録で,何回も見直すとその都度,新たな発見があった。授業の中で生徒一人一人のみとりをすべて行うことは難しいが,生徒のどこをみとり,教師が何を意識して授業に臨むかどうかで,授業の質は変わってくる。教材研究,課題設定,「つなぐ」など日々の学習の積み重ねを大切にしていきたい。その中で質の高い課題が生まれると思う。
今,1年間を振り返ることで,さらなる目標をもって頑張ろうという気持ちが湧いている。1月26日の研修会は自分自身を高めていくチャンスとなった。ご参会いただいた先生方にこの場を借りて感謝の意を述べたい。


お願い [2014年01月27日(Mon)]

1月26日(日)に,茨城・学びの会冬の授業づくり・学校づくりセミナーに参加いただいた皆様の感想を頂きたいと思います。簡単な感想でも結構ですので,事務局(四宮)宛にメールでいただければ幸いです。ご協力をお願いします。

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