11月例会報告
[2012年11月19日(Mon)]
11月18日(日)
今月の例会には韓国から東京大学大学院に留学している「方 智鉉(バン チィヒョン)」さんが参加しました。韓国の学びの共同体の様子や一般的な学校の様子も話していただきました。
1 授業DVDの視聴から
坂東市立岩井第一小学校の1年生算数の授業(授業者:猪瀬千代子先生)を視聴しました。
授業デザイン
単元名
ながさくらべとひろさくらべ
目標
物の長さや広さに感心をもち,直接比較や間接比較により,それぞれの量を比較するとともに,任意単位を用いることによって長さや広さが数値化できることを知り,長さや広さの比較ができる。
本時の主な学習内容
粘土で作ったへびの長さを比べるためのいろいろな方法を考える。
本時の学習
粘土のへびの長さくらべを通して,直接比較や媒介物を用いた間接比較,任意単位による測定などの方法を考えることができる。
展開
○本時の学習課題を確認する(集合型)
となりのともだちと,ねんどのへびのながさくらべをします。どうやってくらべればよいでしょう。
○課題追求1(ペア⇔集合型)
・比べ方を考える
直接比較(へびを伸ばし並べてみる。)
間接比較(ひもをのせ,同じ長さに切る,印を付ける。)
任意単位による測定(おはじきを並べて数える。)
比べる活動で困ったことを共有し,どうしたらよいか考えていく。
・比べ方を確かめる。
○課題追求2(集合型)
だれのへびがクラスでいちばんながいかしらべるには,どうしたらよいでしょうか。
○振り返りをする。
・分かったことを自分の言葉でまとめる。
主な感想・リフレクション
小学校低学年の学びをどうするのか
視点: 小学校1年生の学習で教師がどのように関わりをつくっているか 「長さを比べる」ステップをどのようにつくっているか。 ペアで学習することの雰囲気が見事にあらわれた授業
ペンを物差しにしたり、おはじを使って測り始めたりと、こどもたち自ら進んで行ったのがすばらしい。
先生が子どものことばをひとつひとつ確かめながら進めていっている。分かっているだろうと進めがちな自分の授業を振り返り、学ばせてもらった。
先生のトーンが低く、子供の言葉をよく拾いながら、集中して学習が進められていた。
具体物を操作させる中で先生がポイントを抑えながら進めて行ったので、集中して取り組めていた。
一箇所に集める(集合型)学習の形に取り組んでいるとのことだが、同じことを何人もの子に話させている。実際に話すことで語彙力を高めることに丁寧に取り組んでいる様子が分かった。ただ後ろの方で見えなくて加われない子もいたので、工夫が欲しかった。
保育園、幼稚園でも4人グループで活動しているので、内容によってペアだったり、4人グループだったり出来るのではないか。
先生が子どものことばを認め安心感をもたせている。大切なことだと思う。
粘土を使うという発想に驚いた。切れたり、伸びたりする不便なものをあえて使ったこと点が一番良かったと思う。ハードルを高くするよりもわざと跳びづらくして跳び方を考えるというイメージ。丁寧すぎると学びを阻害することもあると感じた。
子どもから次につながるつぶやきが沢山出ていた。
この後、長さの単位にどのように繋げていくか興味深い。
丁寧に子どものことばを拾いながら、不必要なことばをサラリと流して進めているところはさすが。低学年の児童のコントロールは大変で交通整理しようとしがちだが,さらりと流しスムーズに学習が成立している。
長さの概念、長い 長さとは1年生にとってなんなのだろう。 子どもは以外と分かっていない。ここからスタート。
この後、長さの単位にどのようにつなげて行くのか興味を覚えた
ジャンプの課題について、中学校では高い課題と言うが、小学校1,2年生の先生は動じない。原則として教科書から拾っている,その与え方,足場のかけ方が絶妙。小学校ではあまり高い課題というと教師が混乱する。低学年の先生の豊かな経験を生かして,期を見てジャンプを取り入れるとよい。低学年では高い課題はあまり使わないようにしている。
ペアがうまく機能している。
べっちゃり(ギュッと寄せる)が大切。うるさくなるからと離すがそれでは安心感は得られない。 スカスカはだめ
密集体型で教師が一人ひとりの子どもとつながっている。
教師の語りかける姿勢,受け取る姿勢,扇状に広がり伝える話し方のよさ
先生の声トーンが落ちて,子どもの声が中心になっている
T「一生懸命考えてください。」
S「粘土を使って長いへびをつくる。俺の方がながいよetc」
T「事件発生,ちょっとここへきてください。」
S「おはじきを粘土の下に並べておいて,おはじきのおおい方が勝ち」
S「粘土で比べると切れちゃうから,ひもではかってから切ってくらべっこするの」
有効なペア学習,となりの机も使って活動する
ペンの長さで繰り返し計って比べているペア
ペンの長さが一単位になっている。長さを比べる自然発生的工夫をしている。
どっちがどれだけ長いのかを何を単位にして比較するのかという学び
T「なんでひもをおさえながら計るの?」S「ずれちゃうから。」
T「どうやって比べればいいの?」
S「おはじきは並べていって,一番多いものがながい」
長さにおける概念を丁寧に学ばせようとすればするほど,子どもの学びをファシリテートするのは難しい。
低学年,前に出て発表させるのではなく,一カ所に集めて考えさせている工夫,しかし,高学年がそのまま行うのはどうか?
先生が一つ一つ確認しながら学びを進めている。
先生の声のトーンが低く,子どもが集中して学んでいた。操作活動も。
同じことを何人もの子どもに話させている。語彙の獲得にも必要なこと。
子どもを集めて説明したり話させたりする場合の子どもの聴き方の工夫も必要か。
粘土を使っての長さ比べの発想が良かった。
粘土が切れてしまったら・・・「緊急事態発生」で子どもを集めて指示している。うまい。
おはじきをまっすぐにしないで曲線に並べてもそれでやらせている。
Kくん,「ペン6本分で6センチ」だと言っていた。ペアの女の子は「6個分でしょ」と言っていた。
単位の学びが整いつつある。
長い,短いということのなぜを学ばせた。
目で見る長い短いと概念としての長い短いという学びが重要
長い,長さとは何かという普遍的な問い。
ペンの長さをひもに書いていった子がいたこと。単位につながっていく。
直接比較できないものを何かを使って比べていく学びの大事さ
ジャンプの課題について,
教科書から拾ってくるが,与え方やり方に工夫がある。高い課題に固執していない。
ペア学習が有効に機能している典型的な授業だった。
2 10分間講話から
那珂市立第二中学校 伊藤紳一郎先生
詳細は以下のPDFで
11月例会 10分講話資料@
11月例会 10分講話資料A
11月例会 10分講話資料B
3 その他
・方智鉉さんのお話し
方さんは,韓国の「以友学校(私立の小中一貫校)の教師」
韓国では「学びの共同体 」を取り入れて8年目。学校のシステムとして行っている。
90分授業なので、参観、協議が大変。
全員授業公開は大変、他の方法はないか検討している。
2年目になると子供の変化がわかりので頑張るが、3年目になると質が高まっているか、学力が向上したか疑問になった。長い学びのストーリーの中で、捉え直している。
理論が必要ではないかと考え大学院で学んでいる。
韓国では、高校は一斉授業が一般的。小中学校では一昨年から学校改革。
小中では改革ブーム 改革の中心は授業。
教育庁の政策で広がる。
革新学校(拠点校)がある。
教師からでなく、上からの改革なのが心配。
日本には佐藤学先生の著書もたくさんあるし仲間がたくさんいるので羨ましい。
韓国では研究者も翻訳された本も少ない。
・公開校内授業研修会のご案内
12月17日(月)常陸太田市立峰山中学校
3校時 10:40〜11:30 1年(数学・国語)2年(社会・英語)3年(国語)
4校時 11:40〜12:30 1年(体育・社会)2年(英語・家庭)3年(数学・英語)
5校時 13:30〜14:20 1年(理科「力と圧力」)
授業協議14:40〜15:30
講師講話15:40〜16:40 講師 埼玉大学准教授 北田 佳子 先生
詳細は峰山中学校(研究主任:鈴木孝裕先生まで)
電話0294−72−6222
今月の例会には韓国から東京大学大学院に留学している「方 智鉉(バン チィヒョン)」さんが参加しました。韓国の学びの共同体の様子や一般的な学校の様子も話していただきました。
1 授業DVDの視聴から
坂東市立岩井第一小学校の1年生算数の授業(授業者:猪瀬千代子先生)を視聴しました。
授業デザイン
単元名
ながさくらべとひろさくらべ
目標
物の長さや広さに感心をもち,直接比較や間接比較により,それぞれの量を比較するとともに,任意単位を用いることによって長さや広さが数値化できることを知り,長さや広さの比較ができる。
本時の主な学習内容
粘土で作ったへびの長さを比べるためのいろいろな方法を考える。
本時の学習
粘土のへびの長さくらべを通して,直接比較や媒介物を用いた間接比較,任意単位による測定などの方法を考えることができる。
展開
○本時の学習課題を確認する(集合型)
となりのともだちと,ねんどのへびのながさくらべをします。どうやってくらべればよいでしょう。
○課題追求1(ペア⇔集合型)
・比べ方を考える
直接比較(へびを伸ばし並べてみる。)
間接比較(ひもをのせ,同じ長さに切る,印を付ける。)
任意単位による測定(おはじきを並べて数える。)
比べる活動で困ったことを共有し,どうしたらよいか考えていく。
・比べ方を確かめる。
○課題追求2(集合型)
だれのへびがクラスでいちばんながいかしらべるには,どうしたらよいでしょうか。
○振り返りをする。
・分かったことを自分の言葉でまとめる。
主な感想・リフレクション
小学校低学年の学びをどうするのか
視点: 小学校1年生の学習で教師がどのように関わりをつくっているか 「長さを比べる」ステップをどのようにつくっているか。 ペアで学習することの雰囲気が見事にあらわれた授業
ペンを物差しにしたり、おはじを使って測り始めたりと、こどもたち自ら進んで行ったのがすばらしい。
先生が子どものことばをひとつひとつ確かめながら進めていっている。分かっているだろうと進めがちな自分の授業を振り返り、学ばせてもらった。
先生のトーンが低く、子供の言葉をよく拾いながら、集中して学習が進められていた。
具体物を操作させる中で先生がポイントを抑えながら進めて行ったので、集中して取り組めていた。
一箇所に集める(集合型)学習の形に取り組んでいるとのことだが、同じことを何人もの子に話させている。実際に話すことで語彙力を高めることに丁寧に取り組んでいる様子が分かった。ただ後ろの方で見えなくて加われない子もいたので、工夫が欲しかった。
保育園、幼稚園でも4人グループで活動しているので、内容によってペアだったり、4人グループだったり出来るのではないか。
先生が子どものことばを認め安心感をもたせている。大切なことだと思う。
粘土を使うという発想に驚いた。切れたり、伸びたりする不便なものをあえて使ったこと点が一番良かったと思う。ハードルを高くするよりもわざと跳びづらくして跳び方を考えるというイメージ。丁寧すぎると学びを阻害することもあると感じた。
子どもから次につながるつぶやきが沢山出ていた。
この後、長さの単位にどのように繋げていくか興味深い。
丁寧に子どものことばを拾いながら、不必要なことばをサラリと流して進めているところはさすが。低学年の児童のコントロールは大変で交通整理しようとしがちだが,さらりと流しスムーズに学習が成立している。
長さの概念、長い 長さとは1年生にとってなんなのだろう。 子どもは以外と分かっていない。ここからスタート。
この後、長さの単位にどのようにつなげて行くのか興味を覚えた
ジャンプの課題について、中学校では高い課題と言うが、小学校1,2年生の先生は動じない。原則として教科書から拾っている,その与え方,足場のかけ方が絶妙。小学校ではあまり高い課題というと教師が混乱する。低学年の先生の豊かな経験を生かして,期を見てジャンプを取り入れるとよい。低学年では高い課題はあまり使わないようにしている。
ペアがうまく機能している。
べっちゃり(ギュッと寄せる)が大切。うるさくなるからと離すがそれでは安心感は得られない。 スカスカはだめ
密集体型で教師が一人ひとりの子どもとつながっている。
教師の語りかける姿勢,受け取る姿勢,扇状に広がり伝える話し方のよさ
先生の声トーンが落ちて,子どもの声が中心になっている
T「一生懸命考えてください。」
S「粘土を使って長いへびをつくる。俺の方がながいよetc」
T「事件発生,ちょっとここへきてください。」
S「おはじきを粘土の下に並べておいて,おはじきのおおい方が勝ち」
S「粘土で比べると切れちゃうから,ひもではかってから切ってくらべっこするの」
有効なペア学習,となりの机も使って活動する
ペンの長さで繰り返し計って比べているペア
ペンの長さが一単位になっている。長さを比べる自然発生的工夫をしている。
どっちがどれだけ長いのかを何を単位にして比較するのかという学び
T「なんでひもをおさえながら計るの?」S「ずれちゃうから。」
T「どうやって比べればいいの?」
S「おはじきは並べていって,一番多いものがながい」
長さにおける概念を丁寧に学ばせようとすればするほど,子どもの学びをファシリテートするのは難しい。
低学年,前に出て発表させるのではなく,一カ所に集めて考えさせている工夫,しかし,高学年がそのまま行うのはどうか?
先生が一つ一つ確認しながら学びを進めている。
先生の声のトーンが低く,子どもが集中して学んでいた。操作活動も。
同じことを何人もの子どもに話させている。語彙の獲得にも必要なこと。
子どもを集めて説明したり話させたりする場合の子どもの聴き方の工夫も必要か。
粘土を使っての長さ比べの発想が良かった。
粘土が切れてしまったら・・・「緊急事態発生」で子どもを集めて指示している。うまい。
おはじきをまっすぐにしないで曲線に並べてもそれでやらせている。
Kくん,「ペン6本分で6センチ」だと言っていた。ペアの女の子は「6個分でしょ」と言っていた。
単位の学びが整いつつある。
長い,短いということのなぜを学ばせた。
目で見る長い短いと概念としての長い短いという学びが重要
長い,長さとは何かという普遍的な問い。
ペンの長さをひもに書いていった子がいたこと。単位につながっていく。
直接比較できないものを何かを使って比べていく学びの大事さ
ジャンプの課題について,
教科書から拾ってくるが,与え方やり方に工夫がある。高い課題に固執していない。
ペア学習が有効に機能している典型的な授業だった。
2 10分間講話から
那珂市立第二中学校 伊藤紳一郎先生
詳細は以下のPDFで
11月例会 10分講話資料@
11月例会 10分講話資料A
11月例会 10分講話資料B
3 その他
・方智鉉さんのお話し
方さんは,韓国の「以友学校(私立の小中一貫校)の教師」
韓国では「学びの共同体 」を取り入れて8年目。学校のシステムとして行っている。
90分授業なので、参観、協議が大変。
全員授業公開は大変、他の方法はないか検討している。
2年目になると子供の変化がわかりので頑張るが、3年目になると質が高まっているか、学力が向上したか疑問になった。長い学びのストーリーの中で、捉え直している。
理論が必要ではないかと考え大学院で学んでいる。
韓国では、高校は一斉授業が一般的。小中学校では一昨年から学校改革。
小中では改革ブーム 改革の中心は授業。
教育庁の政策で広がる。
革新学校(拠点校)がある。
教師からでなく、上からの改革なのが心配。
日本には佐藤学先生の著書もたくさんあるし仲間がたくさんいるので羨ましい。
韓国では研究者も翻訳された本も少ない。
・公開校内授業研修会のご案内
12月17日(月)常陸太田市立峰山中学校
3校時 10:40〜11:30 1年(数学・国語)2年(社会・英語)3年(国語)
4校時 11:40〜12:30 1年(体育・社会)2年(英語・家庭)3年(数学・英語)
5校時 13:30〜14:20 1年(理科「力と圧力」)
授業協議14:40〜15:30
講師講話15:40〜16:40 講師 埼玉大学准教授 北田 佳子 先生
詳細は峰山中学校(研究主任:鈴木孝裕先生まで)
電話0294−72−6222