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雨ニモマケズ 風ニモマケズ

- 災害系ボランティア情報 ブログ-

日本は台風・火山・地震と世界でもっとも自然災害の多い国です。

阪神・淡路大震災以降、大規模災害でのボランティアによる救援活動は、いまや被災地の復興には欠かせぬものとなり、その活動は被災者へのエールにもなっています。
雨にも負けず、風にも負けず、汗を流す災害ボランティアに対する各方面からの応援をよろしくお願い申し上げます。         


こんな救助技術も [2007年09月10日(Mon)]
台風9号の雨で多摩川の中洲に取り残された?人たちの救助のニュースを見ながら、1999年に神奈川県丹沢山系の玄倉川で起きた水難事故を思い出していた。その時のレスキュー隊が行う地上での救助を見ながらその方法に疑問を感じたのです。
※この時は天候の影響からヘリコプターでの救助活動ができませんでした。

その内容についてわかり易く解説します。

【その1】救助者の上を通り越す方向の対岸に向かってロープ(ワイヤー)の発射装置を使って何度も何度も撃っているも、対岸の樹木にはいっこうに絡まらず、時間ばかりが経過してしまった。忍者映画のようには上手くいかなかったのです。

【その2】仮にそのワイヤーが対岸にしっかりと絡まったとしましょう。しかし流れ対して直角に張られ水流をモロに受けるそのワイヤーにつかまり、それを伝わって安全な岸まで子供を含めた家族が渡って来れるのかも極めて疑問。

この事故では、運良く岸に泳ぎついた人以外は救助隊の努力の甲斐なく13人流れに耐えかねて下流に流され全員死亡。ではあの状態でどんな救助技術があったのか。当時増水といっても大人なら腰付近まで水に浸かりながらも流れに耐えられるほどの水流でした。以下に解説する技術は多少カヌーやカヤックをしている人なら知られている救助技術です。しかもたった1本のロープをつかっての方法です。日本の救助技術にはない方法ですが参考までにご紹介します。

水かさが増え川の中州に取り残される家族

救助装備である発射装置を何度も打ち込んでいるが、対岸の樹木にはまったく絡まなく時間ばかりが経過する。

ではカヌー乗りのレスキュー方法を解説します。流れに逆らわず上流から浮力のあるロープをなるべく長くして流す。この場合なるべく長く、かつ川に近い位置にするのが救助班が移動するのに水の抵抗を少なくするポイント。勿論フィックスポイントはしっかりとした立ち木などに固定する。

救助班は万が一を想定しライフジャケットにヘルメットを着用し多人数が束になって、水の抵抗を無くすために一列になる。そして水流に耐えられるように相互に支えあいながら、要救助者のいる中州に向かって振り子状に移動をする。

そして救助者を救助隊員の間でかばいながら、また岸に戻ってくる。一度に戻れないほど人数が多い場合には残された要救助者へライフジャケットを渡すなどして、体力のない女性や子供から順に救助を行う。

僅か数メートル先で救助を求める人をも救うことの出来ない日本のレスキュー技術。なので災害時には自助・共助が必要なのです。公助を期待することはまず不可能と考えの上にたって災害に備えましょう。

とはいえ、日々訓練を重ねながら災害に備えるレスキュー隊の皆様には、本当にご苦労様です。