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雨ニモマケズ 風ニモマケズ

- 災害系ボランティア情報 ブログ-

日本は台風・火山・地震と世界でもっとも自然災害の多い国です。

阪神・淡路大震災以降、大規模災害でのボランティアによる救援活動は、いまや被災地の復興には欠かせぬものとなり、その活動は被災者へのエールにもなっています。
雨にも負けず、風にも負けず、汗を流す災害ボランティアに対する各方面からの応援をよろしくお願い申し上げます。         


森林整備と災害【1】 [2006年08月27日(Sun)]
日本は国土面積の7割が森林に覆われている森林国家です。その内の4割、約1千万ヘクタールがスギ・ヒノキといった、人の手によって植えられた人工林と呼ばれる森林です。戦時中の木材需要による伐採と戦後の経済復興での新たな需要を見込み、質がよく成長の早いとされるスギ・ヒノキなどの針葉樹が国策によって日本各地で植えられました。人工林は良質の材料を得るために1ヘクタールに3千本ほどの苗木が植えられ、枝打ちや間伐(劣勢木の間引き)など人が手を加えながら、最終的には500本ほどになったものが製品として価値のある木材になるのです。

しかし、昭和30年代半ば頃から外国の安い木材が大量に入り込み、経済的価値を失っていった日本の森は一部のブランド木材産地を除き、徐々に人の手が入らなくなり放置され荒廃へとつながっていったのです。またかつては間伐された木材も目的によってさまざまな使われ方をしていましたが、搬出のコスト高や木材に代わる製品の登場などで倒されたまま森の中に放置されることも多くなりました。

このように間伐されずに木々が密集したままの森は光が入り込まず、昼間でも真っ暗で細く痩せ細っていることから線香林とも呼ばれています。地面が光を受けないことから下草などはまったく生えず、そのため雨によって少しずつ地表の土が流され、根が剥き出しになり次第に保水力を失い、ひとたび大雨が降ると斜面もろとも流される大災害をまねく結果にもなります。

2004年は7月の新潟・福井の集中豪雨による水害に始まり、本土に上陸した台風の数が10を数え、各地で大きな被害をもたらしました。10月23日には新潟中越地方を中心に大地震が襲い、まさに災害の当たり年かの様でした。多くの被災地で人工林が地すべりを起した箇所や濁流によって山から流された木が橋桁に掛かりそれが川を堰き止めダムとなりその水圧で破壊された橋の光景を随所で見ることができました。

その日本の森林が今は別の役割で注目を浴びています。2005年2月に発効した地球温暖化防止の国際的な取り決めである京都議定書で、日本の二酸化炭素削減量の一部は森林の吸収量で賄われるという話です。しかし実際には今の日本の森林の現状から申せば、吸収どころか森はその力さえ発揮できない状況に置かれているのが真実といえるでしょう。

クヌギやナラなどの広葉樹が生い茂った里山、スギ・ヒノキの人工林、いずれも人が自然の状態にあった植生を変え、人間だけの都合で人工的に森を造ったのであるから途中で放棄せず、最後まで面倒を見なくてはならないのは今更言うまでのことではありません。

この国は生活に使う道具や日用品から建物にいたるまで、昔からあらゆるモノが木からつくられ、水を守るため森に分け入り、さらには木や森を信仰の対象とまでしてきました。災害は人が森へ入ることを怠ってきたことへの戒めか。そのことに気づかせるための警鐘であったように思えてなりません。