子どもに遊びを提供すること、それ自体が世代間交流
大人たちが寄り集まって、自分の得意な趣味や特技、
遊びなどに関わる
「屋台」を出店。
遊びに来た子どもたちとの間で、世代間交流が始まる…
このユニークな取り組み
「だがしや楽校」が、いま、注目されている。

とある休日、公園の一角に集まってくる、ひとクセありそうなオトナたち。
ビールケースにベニヤ板を載せた上に、ある者は特製のシャボン玉キット、
ある者は見たこともないような珍しい木の実を山ほど広げる。
子どもたちは面白そうなものに敏感だ。
次々に駆け寄ってきては
「これ何?」「どうやって遊ぶの」と興味津々…。

これが
「だがしや楽校」の典型的な風景だ。
参加する大人が、ビールケースとベニヤ板でできた自分の
「店」に
得意種目を並べる。
そこにやってくる子どもたちや、かつての子どもたちと会話が始まり、
そして遊びの輪が広がっていく。
昔はどこにでもあった
「駄菓子屋」の役割=食べ物やおもちゃを通して社会との関わりを学んでいくこと…を、
現在に復活させようというコンセプトから
「だがしや楽校」と名づけられた。
山形県でスタートしたこの取り組みは、現在全国各地に広まりつつある。

コーディネイターとして活躍しているのが、米沢市在住の山口充夫氏。
「子どもに遊びを提供しているようなものですが、
実際には世代間交流の場が実現しているんです」一見すると、それは、子どもが大人に遊びを「教わる」場のように見える。
だが、一方的なものではない。
「大人も子どもの感覚になって、子どもから学ぶ場でもある。
この視点に惹かれました」(山口さん)。

学校ではなかなか見られない、子どもたちのいきいきした笑顔が飛び出す場、
それが
「だがしや楽校」。
自分たちの地域でも開催したいという希望者は多い。
しかし、面白そうだから、ぜひ同じコトをやってくれ…というのでは、この催しは難しい。
「自分が地域で何かをしたい、伝えたいという思いが必要です。
自分を見せていくということ。人は誰でも自分が得意なものをもっていますが、
それに気付かない人は、難しいですね」(山口さん)
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