津軽平野に蒸気機関車を走らせるその日まで
世界遺産である白神山地や歴史と文化の薫る津軽平野など、
日本海に沿った美しい車窓が楽しめるローカル線として、
鉄道マニアの中でも人気の高い
五能線。
この五能線に昔懐かしい
蒸気機関車を復活させることを夢見るNPOがある。
その名もずばり
「五能線活性化倶楽部」
2006年には実際に
茨城県の日立市かみね公園に保管されていた
蒸気機関車
SL8620型を、解体撤去寸前のところに譲渡を申し入れ、
西津軽郡深浦町の観光施設ウェスパ椿山に移設。

現在は清掃、整備などを繰り返しながら、煙をあげて日本海岸を走るその日を、
五能線活性化倶楽部の会員みんなで待ちわびている状態だ。
「お金があれば走らせられるんだけどね。でもなかなか集まらない」そう語るのは理事の小島重一さん。
実際に走行させるためには
2億円もの資金が必要だという。
五能線活性化倶楽部は現在、
ミニSLの運行イベントや
寄付金などで資金を貯めつつ、いつか来るその日に向けての準備を継続中。

全国の鉄道ファンの夢を、一心に背負った彼らの壮大な夢。
その実現を応援したい。
五能線活性化倶楽部
青森県弘前市安原2-13-10 TEL 0172-39-6110
理事 津島さとるさん
理事 小島重一さん
―――蒸気機関車を青森に移送するだけでも大変だったんじゃないですか?
津島 そりゃあ
何千万円もかかりましたよ(笑)。
小島 日立の議会で撤去が決まって、それがネットで話題になった。
そして
「おたくでもらってくんないだろうか」って、
向こうの
鉄ちゃん(鉄道マニア)からのメールをもらったんです。
そこから3ヶ月で日立市と交渉をして
「タダでください」ということになりました。
助成金なんかもらおうとする時間もないよね。
だから
自己資金でやるしかない。借金してやろうと。
そうしなかったら、すでに今は
鉄くずになっいてる頃です。
小島 行政がちゃんと補修して展示してくれてれば良かったんだけれども、
しないからボロボロになっちゃって。それで行政もお金がなくなったから
「じゃ捨てようか、廃棄しちゃおうか」と。
そっちのほうが安くつくからね。
それで譲り受けたわけなんです。
でそういう車両は全国にたくさんある。日立は完全にそのパターン。
津島 鰺ヶ沢にもSLがあるんですけど、それも一緒。
蒸気からディーゼル機関車に全部変えた時代があって、
その時、子どもたちが
「欲しい」って言うんで各市町村なんかが譲り受けた。
でもちゃんと管理しなかったというのが全国的な実態なんですよ。
<<後半へつづく>>