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2024年04月07日

まちづくりシンポジウム「防災目線で多文化コミュニティを考える」実施報告

2024年4月7日(日)

まちづくりシンポジウム「防災目線で多文化コミュニティを考える」実施報告

 先月17日、宇都宮大学陽東キャンパス 8号館にて、宇都宮市まちづくりセンター主催 宇都宮大学地域デザインセンター共催による まちづくりシンポジウム 誰もが安心して地域で暮らせるように「防災目線で多文化コミュニティを考える」を開催し、40名(基調講演・事例発表団体除く)の皆さんにご参加いただきました。

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 宇都宮市まちづくりセンターでは、2021年から「多文化共生と防災」をテーマに、やさしい日本語やハザードマップの勉強会、書籍「はじめての地域防災マネジメント」をじっくり語る会、東生涯学習センター共催企画「自分に合った防災を考える」など実施してきました。また、センターブログでは、報告しておりませんが、オンラインで実施されてきた多文化防災などの講演会にも参加しながら調査研究及び事業を進めてきました。

 取り組む中で、災害発生後からの関わりだけではなく、災害前である普段の生活からのコミュニケーション、共に暮らしていくことの大切さを感じ、今シンポジウムを企画しました。

プログラムは以下の通りです。
@基調講演:災害における外国人の脆弱性と可能性
-留学生の防災意識調査と 地域での防災まちあるきの実践-
A栃木県内の多文化 コミュニティ事例紹介
B多文化防災ワークショップ(仙台観光国際協会教材)

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 まず初めに行われた基調講演。こちらはセンターブログでも2022年に紹介したことがある宇都宮大学留学生・国際交流センターと留学生アドバイザー 他共催によるプログラム「留学生と防災まち歩き」の実施及び留学生の防災意識調査報告などを交えて、留学生・国際交流センター准教授である飯塚明子先生より講演をしていただきました。

 防災意識調査では、外国人の災害の脆弱性(言語や幼少期から経験してきた避難訓練を含むストック情報や地震などの災害経験不足など)について背景と先行研究がある中で、

 留学生の防災についての知識や防災意識の現状を明らかにすることにより、「災害時の外国人支援の在り方」や「留学生の地域防災における役割(留学生の増加や就職する留学生の増加)」について考えることができると進められました。

 防災についての知識や備えとして、日本に来る前災害に遭ったことがあるか、日本に来てから災害に遭ったことがあるか、どこに避難するか、普段から準備していること。そして、自分が無事な場合何ができるかでは、主体的に支援活動(近所の人や友人を助ける、通訳や翻訳をするなど)をしたいと考えている調査からどのような事を進める必要があるのか、検討され、宇都宮大学版防災カード作成、留学生の防災まちあるきなどを考えるきっかけとなったとお話していただきました。

 2022年に行われた「留学生と防災まちあるき」にはまちぴあも参加させていただいたこともありますが、グループでのまちあるき、防災クイズ危険な場所や役に立つ場所についての話すといったワークショップなどが行われています。まちあるき後には、留学生が避難訓練に参加するなど地域での関わりが増えているとお話していただきました。

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事例紹介@多文化系まちづくり団体「TABUWATA」
 誰もが暮らしやすい地域社会を目指して、「○○さんと呼び合える関係」づくりを行っています。関心がない方でも地域のゴミ拾いや日本語で交流する「にほんごカフェ」などを通して楽しく学べる仕掛けを通して、自然と「多文化共生の地域づくり」を考えるきっかけになるよう活動されています。

 コミュニティFMミヤラジ番組「あなたの隣の外国人(毎月第4日曜日17:00〜17:55)」では災害時を想定した、日頃から外国人住民が聞いても楽しい番組づくりをされています。また、外国人住民による多言語放送開設支援も行い、現在では「ネパール語」、「タイ語」、「中国語」ラジオ(第1・第2・第3日曜日の17:00〜17:55)が行われており、広がりを見せています。

 毎年3月11日には「外国人住民と考える防災」などの特集番組も実施されています。今回の紹介では、一番初めに多言語放送を始めたギミレ・サントスさんより「いち・に・サントス!」を始めたきっかけと想いについてもお話していただきました。

 今後、団体の課題として、命に係わる情報をどう伝えるか、災害が起きても信頼し合える関係を日頃からどうつくるか、”まちづくり”からスタートしたTABUWATAが、本当に災害が起きたら何ができるのか、考え行動していきたいとお話していただきました。

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事例紹介A清原地区国際交流会
 清原地区住民と地区内に在住する外国の方々が、同じ地域の住民として済みやすい地域社会を造るため、地域に根差した国際交流活動を推進することを目的に、1999年から、日本語教室や交流活動(食文化交流や地域内果樹園などで収穫体験などを通して交流する機会づくり)を行う清原地区国際交流会。

 東日本大震災以降、災害伝言板、震災体験談・防災の必需品、個人・地域・行政の役割などルビややさしい日本語を使った資料作成、やさしい日本語版の清原地区防災マニュアル(災害時対応マニュアル)といった刊行物の発行などの支援活動を行う中で、

 総合防災訓練参加、災害時対応訓練主催などにも取り組まれています。「日本人も外国人も同じ地域の住民として生活するために・・・」今後、防災のためのやさしい日本語学習会など実施していきたいとお話していただきました。

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 最後に、仙台観光国際協会教材である「多文化防災ワークショップ」を行いました。基調講演でお話していただいた飯塚氏にコーディネーターをお願いしました。今回のケースは、@避難所のストーブ、Aこんな時でも必要なの?の2つ。机ごとに取り組んでいただきました。

 東日本大震災で見聞きした話をもとに制作。避難所の中で起こる「日本人」と「外国人」の間の問題をテーマとしたワークショップです。状況やシナリオ、セリフなどを進めていき、終了後、役割とは関係なく、感想や意見を話し合ってもらいました。

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 ワークショップ後、実際にやってみての感想を3テーブル程度から聞き、実際自分たちが同じ場面にいたらどうしたらいいのかなどの提案もありました。ワークショップのまとめとして、飯塚氏より、外国人は災害弱者にもなりうるが、地域防災の戦力にもなりうる。やさしい日本語やジェスチャー、ピクトグラム等を使って説明することや、外国語がわかる方に協力をお願いすること、自治体の国際交流協会や大学の留学生等に相談する、そして普段から、日本人も外国人も「ご近所」として顔見知りになっておくといったことをお話していただきました。

 シンポジウムを実施して感じたことは、コミュニケーションのきっかけは、同じ地域に居ても、仕事や何かしらの接点がないと始まらないこと。災害が起きた後では、心の余裕も含め、コミュニケーションを取る難しさ(言語・文化)があるかと思いました。それ以外にも、「通じる言葉が話せないからコミュニケーションを取ることができない」などそれぞれが持つイメージを外す必要があり、地域の中で話す場や環境が必要と感じました。

 「留学生と防災まち歩き」のような取り組み、TABUWATAや清原地区国際交流会のような取り組みが各所で増加すること、また、活動に参加することで輪が広がり、災害発生後にも共に助け合える関係ができるかと思います。今回のシンポジウムで「多文化共生と防災」を理解していただき、誰もが安心して地域で暮らせるような社会に繋がると嬉しく思います。ご協力・ご参加いただきました皆さまありがとうございました。

(記事作成:小松)
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