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2022年07月04日

宇都宮大学地域デザイン科学部主催「教員向け“春の模擬ゼミ”」参加報告

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2022年6月25日(土)、宇都宮大学陽東キャンパス11号館にて「教員向け“春の模擬ゼミ”」が開催されました。

昨今、高校から大学への学びをスムーズに繋げるため、「高大連携」や「高大接続」といった取り組みが各地で盛んに行われています。その一環として、宇都宮大学地域デザイン科学部ではオープンキャンパス(進学説明会)後に、高校生向けの模擬ゼミを数回実施しています。
その際、引率の先生から「自身でもゼミを体験したい」という要望があり、高校教員向けの模擬ゼミが企画されました。

まちぴあは過去「若者とまちづくりシンポジウム」を共催した縁で、その後も高大連携や地域課題解決型学習の勉強会に度々参加させて頂いた経緯があり、記録補佐としてスタッフ1名が参加してきました。

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今回の模擬ゼミでは、企画担当者である若園雄志郎准教授(コミュニティデザイン学科:社会教育学)を始め、担当教員として各学科から石井大一朗准教授(コミュニティデザイン学科:コミュニティ政策)、古賀誉章准教授(建築都市デザイン学科:建築安全学)、近藤伸也准教授(社会基盤デザイン学科:防災マネジメント)の3名が交代でゼミを実施。

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さらに、白石智子准教授(コミュニティデザイン学科:心理学)、藤原紀紗助教(建築都市デザイン学科:社会環境工学)とコミュニティデザイン学科・社会基盤デザイン学科の学生数名も駆けつけて下さり、講師陣6名+現役大学生と豪華な布陣に。

ゼミ参加者である県内の高校教員7名と大学生で混合チームを編成、4つの班に分かれてワークショップを進めることになりました。
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今回のテーマは「文理複眼で考える災害対応〜ワークショップによる検討〜」ということで、『災害』における社会課題の解決について文系・理系両方の視点から考えます。

まず、近藤先生からA4用紙3枚にわたる状況設定資料について解説がありました。

栃木県が震源地となる大地震が発生し、宇都宮市で最大震度7を始め、県内各地で震度6・震度5の揺れを観測した場合、どのような状況となるのか。県災害対策本部会議資料に模して、被害状況・避難者数・ライフライン被害・交通規制・避難所の様子・国の対応状況などが想定とはいえリアリティーを持った数字で記載されています。

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ワークショップでは災害発生から4日後の状態と仮定されました。
「72時間の壁」という言葉があり、災害3日を過ぎると生存率が著しく低下することから人命救助のタイムリミットとして災害時の救命・救助活動の目安となっています。災害4日目というのはその72時間を経過して人命救助から生活支援に移りつつある時期です。

ここで、「宇都宮市民になったつもりで、これから1週間でどんな困りごとが発生するか考える」という個人課題が出されました。思いついたことをとにかく付箋に書く、ふせんワークです。

ここでワークショップ運営を得意とする石井先生に進行をバトンタッチ。
ふせんの書き方のコツのレクチャーを受けて、いざ個人ワークへ。

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大学生たちは現在進行形で学んでいる専門分野ということでスラスラとペンを走らせます。
負けじと大量のふせんが机に広がる先生も。聞けば、高校でアクティブ・ラーニング式の授業を取り入れているとのこと。考え込んでしまう先生もいましたが、学びの現場にいるだけあって、皆さんそれなりに書き出していました。

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書き出したところで、グループワークに移ります。
出てきた困りごとを地域デザイン科学部の3学科のどの領域に値するのか振り分けます。
つまり、災害における一つひとつの課題解決にどの分野の専門知識が必要となるのか間接的に考えます。コミュニケーションの問題なのか、建築構造の問題なのか、それとも社会インフラ全体の問題か。

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これが、どこに振り分けるのか結構難しい。トイレの問題一つとっても、不足するトイレの使い方ルールならコミュニティ、簡易トイレの建設なら建築、そもそも災害に強い上下水道整備なら社会基盤になる。

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余談で「なんで、こんな大災害なのに建物火災が40件しか起きていないないんだろうね?」と話していたら、通りかかった古賀先生から、「地域全域が停電の想定だから、通電火災(停電から電気が復旧する際のショート等によって発生する火災)がまだ起きていないんですよ」と、専門的な返答が。秒で回答が得られるなんて、なんて贅沢な空間!!

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それぞれの問題が一つの分野に収まることなく複数の分野に横断することを感じながら、
模造紙いっぱいにふせんがゾーニングされたところで、グループワークのまとめとして一番話題になった事柄を各班ずつ発表して共有します。

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障がい者やペットといった弱者の問題、災害時の連携の問題、更には生活環境・衛生管理が最善ではない学校施設をなぜ避難所とするのかといった疑問や、災害対応を前提とした校舎建築が必要なのではないか、といった公共インフラのあり方にまで話が及びました。

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これらの問題について、各先生の専門分野から事例や、「スフィア基準」「正常性バイアス」といったトピックが紹介されました。

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「目の前に見える課題には、違う問題が絡んでいる場合がある。色々な分野の人が関わらないと解決しない問題も多い」
建築安全学を突き詰めていくうち、人の行動心理を考え、環境心理学にも精通した、まさに文理複眼の古賀先生の言葉が印象的でした。

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例えば、車いすの方の避難支援を考える場合、まず医学・介護学、通路確保や段差解消では建築学、器具性能であれば機械工学、介助補助なら地域コミュニティ、制度整備が必要なら法学も関与します。

文系・理系を超えて複数の見方で考え・取り組むことの重要性…テーマの「文理複眼」を体感して模擬ゼミは終了しました。

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このブログの内容に興味を持った方におすすめの3冊
地域デザイン学部の先生方が執筆しています



最後の30分は高校の先生方と現役大学生とのフリートークの時間に。
地域デザイン科学部の志望動機や大学生活の現状まで、ざっくばらんな会話となりました。

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とある先生は、「生徒が将来、地元の活性化(農村振興)に携わりたいという希望があるがどんな学科を勧めたらよいか分からない」といったお悩みが。先生が現役の頃にはまだ多様な学部・学科はなく、農業経済学科くらいしか思い付かないと。
それに対して学生からは、「コミュニティデザイン学科では“むらづくり”も勉強します」「社会基盤デザイン学科には交通インフラを扱う研究室があります」といった返答が。複数の学科の情報が一気に手に入るのは、3学科合同の模擬ゼミの空間ならでは。高校の先生方にとって進路指導のヒントになったのではないでしょうか。

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8月6日(土)に開催される宇都宮大学オープンキャンパスでは、高校生向け「夏の模擬ゼミ」が実施されます。今回の模擬ゼミと同じ3名の担当教員が同じく防災のテーマで災害ボランティア・ハザードマップ・災害復興について考えるゼミを開講します。

宇都宮大学志望の高校生はもちろん、地域活動を体験したい高校生、令和元年東日本台風で様々な思いを抱いた高校生、就職希望だけど大学の雰囲気を味わってみたい高校生、とにかく視野を広げたい高校生、皆におススメです。

まちぴあスタッフとしては、“まちづくり”について考える機会を多くの高校生に持ってもらいたいと思います。

「夏の模擬ゼミ」の詳細についてはこちらをご覧ください。



(記事投稿:鈴木)

【参考URL】
宇都宮大学地域デザイン科学部HP
「若者とまちづくりシンポジウム2019+高校生のためのワークショップ」開催報告
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