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全国キャラバン in 広島 [2007年12月25日(Tue)]

報告者:森山(NPO法人ライフリンク)


 平成19年12月11日(火)、広島県東広島市(東広島市市民文化センターアザレアホール)にて、「広島県自殺対策シンポジウム かけがえのない命を守るために〜私たち一人ひとりにできること〜」が開催されました。(参加者205名)
 


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 まずはじめに、伯野春彦さん(広島県福祉保健部保健対策室室長)より、主催者挨拶がありました。 



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 次に、「我が国の自殺の実態と対策」として、名越究さん(厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 課長補佐)よりご講演がありました。

 名越さんからは、自殺対策基本法が成立し、国や地方自治体の責務が明記されたこと、そして近年の自殺対策の取り組みについて、スクリーンを使いながらご説明がありました。



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 その後、自死遺族からのメッセージとして、DVD上映があった後、南部節子さんから体験発表がありました。

 南部さんは、3年前にご主人を自殺で亡くされ、自分のような思いをする人を一人でも減らしたいとの思いから、当事者として体験を伝える活動を行っておられます。

 南部さんは、ご主人を亡くされた直後、まわりの方々からの言葉で癒しとなったのは「頑張って」や「元気出して」という言葉ではなく、「つらかったね」という言葉だったといいます。また、自殺は特別な死ではないということを伝えられました。
 亡くなった方は戻ってこないけれど、どうしたかったのか一緒に考えることは出来るので、もし身近にご遺族の方がいらしたら、話を聞いてあげて欲しいと、ご遺族の立場からお話されました。



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 南部さんの体験談の後には、「かけがえのない命を守るために〜私たち一人ひとりにできること〜」として、シンポジウムが行われました。
 シンポジストとして、横田則夫さん(広島県立総合精神保健福祉センター所長)、清水康之さん(NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表)、山口和浩さん(自死遺族支援ネットワークRe代表)、塩山二郎さん(社会福祉法人広島いのちの電話理事・評議員及び運営委員長)、そしてコーディネーターとして、桐山美紀子さん(広島県東広島地域保健所保健課長)がご参加なさいました。



 まず、横田則夫さんからは、広島県の自殺の現状がお話されました。スクリーンを用いてくださいながら、広島県の場合、中高年男性に自殺者が多く、都市部にも自殺者が多いとのお話など、広島県の現状についてご説明くださいました。そして、全国の様子についてもお話がありました。

 清水康之さんからは、自殺の問題をどう捉えるかについてお話がありました。自殺対策がどのようにして成り立ってきたのかの経過説明があり、まず遺族の方々が声を上げ、それを聞いたまわりの人たち(国会議員や、民間団体など)が動いたことが自殺対策が本格的に進むきっかけとしてあったことをお話されました。自殺対策基本法は、プライバシーに関わる問題だからと当初取り組まれていなかった状況を見て、遺児の子どもたちがこの事態をなんとかしなければと声をあげ、勝ち取った法律であるということをお話をされました。

 山口和浩さんからは、遺族支援が自殺対策基本法に明記されているということ、そしてご遺族の気持ちには個々それぞれ様々な実情と感情があり、決めつけずにいてほしいということがお話されました。安易ななぐさめや批判、風評に苦しめられているご遺族もおり、どのような立場の方でも、ご遺族の助けにもなりうれば、傷つける側にもなりうるということをお話されました。どちらかになるかは皆さんしだいで、ご遺族が心の痛みを安心して語れ、笑え、泣ける場を作っていきたいとお話されました。また、ご自身のNPOのスタッフには遺族以外の方々もおり、参加者の方には、語りの相手は何もご遺族だけではなく、体験が無い人でもわかってもらえるんだ、という体験をしていただいているというお話もされました。最後に、自分に何が出来るか考えてほしいというお話がありました。

 塩山二郎さんからは、広島いのちの電話が来年で20周年になるということ、電話相談のうち1割弱が死をほのめかすお電話だということを明かされました。電話相談の中で、目に見えない心の動きに対して、だれもなかなか力になれず、見ることができないという電話対応の難しさもお話になられ、自分に出来る限界があるなかで、自分たちがどんな対応を出来るか日々考えているということをお話されました。 

 最後に、各々のシンポジストの方々からまとめのお言葉があり、その中で、清水康之さんは、「ひとりひとりの力は微力ではあるけれど、無力ではない。この場をきっかけに、生きること、命の支援がこの広島県でも進んでいけば」と締めくくられました。

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 最後に、演奏者栗本ひろこさんによる篠笛の演奏が行われました。
会場の外では、「遺族語る」のパネル展示が行われ、多くの方々がご覧になられていました。

 なお、広島でのキャラバン・キーワードは、「耳を傾けよう 命の声」となりました。
全国キャラバン in 三重 [2007年12月17日(Mon)]

報告者:ライフリンク事務局長 藤澤 克己


 「全国キャラバン」20番目のシンポジウムが三重県にて開催され、約150名の参加がありました。(12月9日(日)、三重県庁講堂にて)



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 開会に先立ち、野呂昭彦知事が挨拶をされました。「お互いに支えあい安心して暮らせる地域づくり」としてできることから始めるのが肝要で、「意義深いシンポジウムになり、着実な前進に結びつくことを願っている」と話されました。



 また、三重県自殺予防対策推進協議会長の棚橋尉行氏からシンポジウムの趣旨説明があり、自死遺族支援はとくに遅れているので、このシンポがきっかけとなって、自死遺族支援に役立ってもらいたいと話されました。

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 シンポジウムは3部構成です。

 第1部は、清水康之(NPO法人ライフリンク代表)による基調講演でした。
 1)自殺の問題を一人ひとりがどう考えるか、
 2)自死遺族や自殺未遂者の声に耳を傾けることの重要性、
 3)自殺総合対策がこれまでの自殺予防・防止とどう違うのか、
といったポイントを話しました。

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 続いて第2部は、「自死遺族からのメッセージ(体験談)」。登壇してくれたのは、弘中照美さんです。



 弘中さんは、いつもは「多重債務による自死をなくす会」の代表幹事として話をするのですが、「自死遺族」として体験談を語ったのは今回が初めてでした。3年前にお母様が自殺で亡くなったのですが、お母様のお墓が三重県にあるそうです。「母が生きた証として、話をさせてもらいました」と結ばれました。

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 第3部は「自殺予防・自死遺族支援 〜支えあう地域を目指して 今、私達ができること〜」
と題したパネルディスカッションでした。



 三重県健康福祉部医療政策監の西口裕氏がコーディネーター役を務め、パネリストがそれぞれの活動紹介を兼ねて、「今、私たちにできること」を話してくれました。

 まず、NPO法人ライフリンク代表の清水康之からは、体験談を語ってくれた弘中さんに対して、いつも笑顔のイメージの弘中さんでさえ「涙の枯れることはなかった」と、その痛みを開いてシェアしてくださったことに感謝します、と。
 また、その貴重な体験談を聴いて、自殺で亡くなっていった方の人生や顔を思い浮かべる想像力が問われていると発言がありました。

 続いて、NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表の山口和浩氏は、長崎県において先進的な自死遺族支援を展開しており、その活動内容を紹介してくれました。
 自死遺族は悲しみや苦しみだけではない複雑な心情をもっているので、安易な慰めや励まし、批判や風評によって傷つけられやすいということ、活動を通してご遺族の気持ちに大きな変化があることなどを教えてくれました。
 印象的だったのは、参加する人が「分からない、でも、分かりたい」という気持ちで集まっているということでした。行政と連携して行っている出張遺族会の取組み紹介もありました。

 NPO法人三重いのちの電話協会副理事長の珍道世直氏からは、活動内容の紹介をいただきました。
 自死遺族の方からの相談は、別の悩みで話しをしているときに出てくることがあるそうです。日本社会の構造改革が緊要だと力説されていました。

 三重県自殺予防対策推進協議会代表で三重大学医学部付属病院精神科の准教授谷井久志氏からは、自殺前サインを読み取ることを目指したリスナー制度など、県における自殺対策の基本的なことを説明いただきました。

 三重県こころの健康センター所長のア山忍氏からは、三重県における自殺の実態について、資料を使って分かりやすく説明いただき、地域社会の変革に向けて研修実施などできることから着手していくとお話し下さいました。

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 会場から発言を求めたところ、何人もの人から意見・質問がありました。

 多重債務者支援に取り組んでいる司法書士会の方から、行政における多重債務者支援の担当者と、自殺対策の担当者の連携を進めてもらいたいとの意見が出されました。

 また、熊野市でこの10月に「自殺防止センター」を立ち上げたというボランティアの方からも
発言がありました。県南地区の自殺率が高いことを鑑みて、住んでいる故郷で亡くなっていくいのちを見捨てられないとの思いから立ち上がったと説明があり、会場からエールの拍手が大きかったように思います。
 
 さらに、ご自身が職場でのストレスからうつ病になり追い詰められた経験を持つ男性から、医療機関のネットワークが可能とは思えない・不信感を持っているという率直な意見が出されました。うつ病になった原因が明らかであるのに、主治医も産業医も、職場の問題を無視しようとしたというのです。
 パネリストからは、医療現場も実は過重労働だということ、社会的な背景を理解していない医療従事者が多いと認識していること、等のコメントがあり、貴重な意見として今後検討していくと返答がありました。

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 最後に、一番印象に残ったキャラバンキーワードをパネリスト・会場のみなさんと一緒に選びました。いくつかの候補の中から、「分からない。でも、分かりたい」が選ばれました。

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 「全国キャラバン」の会場には、「遺族語る」のパネルが展示されます。
自殺で身近な方を亡くした方が、亡くなった方のことを思い出して綴ってくださったものです。
どの会場に行っても、多くの来場者の方がそのメッセージを見入ってくださいます。


「遺族語る」のパネル展示


全国キャラバン in 岡山 [2007年12月10日(Mon)]

報告者:南部(NPO法人ライフリンク)


 去る11月28日、岡山衛生会館三木記念ホールにて、「おかやま自殺予防と自死遺族支援を考えるフォーラム」が開催されました。

 岡山は、紅葉真っ盛りで、会場からは岡山城もきれいに見えました。



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 フォーラムでは、まず花岡正憲さん(グリーフワーク・かがわ)による基調講演が行われました。



 テーマは、「『喪失と悲観への気づきとパートナーシップ』〜地域社会におけるグリーフケアのために〜」。

 私にとっては、花岡さんが資料に載せられていた、「あなたの友達や知人があなたにどのように接し、何を言って良いかわからないようであれば、あなたがして欲しいこと、欲しくない事をはっきりと伝えましょう」という言葉が、遺族回復へのいい言葉だと感じ、とても印象にのこりました。

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 次に、自死遺族体験発表ということで、私(南部)がお話させていただきました。



 自殺は他人事であった事、そして、「まさか!」の思い、助ける機会はあったのに、自分が殺してしまったのではないかとの自責の念、「あの時ああ言えばよかった」の思いは、ずーっと持ち続けるだろうと言う事。
 でも今は、もし生きていれば夫はどうしたかったのかを考えながら、一緒に生きていこうと思っている事などをお話しました。

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 その後行われたパネルディスカッションでは、「いのちを考え支える 今私たちにできること」をテーマに、川ア政宏さん(NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長)、三宅喜憲さん(岡山生と死を考える会)、徳山雅之さん(岡山県保健福祉部健康対策課長)、清水康之さん(NPO法人ライフリンク代表)、山口和浩さん(NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表)が話し合われました。

サポート・ファミリーズのHPをご参照ください。)




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 閉会後は、岡山臨床心理士会、岡山生と死を考える会、岡山県精神保健福祉センターの方々による個別相談が行われました。

 会場の外では、「遺族語る」のパネル展示も行われるとともに、チャリティーバザーも開催され、多くの方々がいらっしゃっていました。



 岡山県でのキャラバン・キーワードは、「安心して悲しみを吐き出すことのできる社会をめざして」となりました。
ライフリンクの美味しいものたちA [2007年12月03日(Mon)]

事務局 森山


ライフリンクの事務所が入っているビルには、
地下と一階にレストランが入っており、
お昼時にはいつもおいしそうなにおいが事務所内まで漂ってきます。

そのためか、事務所にいらした方々に、
「普段、どういったものを食べているの?」
とご質問を受けることがたびたびあります。

もちろん、普段は値段を気にしながらランチを選ぶのですが、
本日は、私たちのランチのほんの一部をご紹介させていただきます。

◆◆◆

最近、みんながはまっているのが、
事務所の近所にある、一風変わったカレー屋さんのカレー。

豆腐のカレーや、キャベツのカレーなどもあるのですが、
代表オススメが、この左手前に写る「合挽き肉と完熟トマトのチーズカリー」。


左手前:合挽き肉と完熟トマトのチーズカリー
右手前:とろけるトロ豚とキャベツのカリー
奥:完熟トマトとナスのチキンカリー


完熟トマトが、この通り。




口に入れた瞬間、トマトの程よい酸味がジュワッと口の中に広がり、
そこにお肉のうまみが加わって、さらにチーズがとろけます。

本格的なおいしさのこのカレー。
お店自体はカウンターしかない小さなお店なのですが、
このようにテイクアウトも出来るので(しかもだいたい5分ほどで仕上がります)、
事務所のみんなで食べることができ、オレンジテーブルも大活躍です。

◆◆◆

そして、実は先日、事務所に嬉しい差し入れが届きました。

私たちライフリンクのメンバーが日ごろお世話になっている沖縄料理店の、
おばあ特製サーターアンダギー。沖縄風ドーナッツです。



中はふんわり、外はさくさく。




外出時、たまたまお店の前を通ったところ、
「ライフリンクにあげようと思ってたところなの。」と、揚げたてをいただきました。
この東京でこんなに心のこもったものが食べられるなんて。
(本当にありがとう、おばあ。)

おばあのお店は、おいしいものがたくさんあります。

実はこれまで、あまり沖縄料理を知らなかった私も、ここで色々な料理を知りました。
そして、おばあをはじめ、おばあの息子さん、
そして常連の方々の温かい気持ちに、元気をもらうこともしばしば。

おばあは、ライフリンクメンバーの胃袋を守ってくれています。

お店のメニューには、本当に色々なものがあるので、
お店のご紹介は、また後日致します。

おいしい料理に囲まれて、
たくさんの温かい気持ちと、元気をいただく毎日です。

本日は、ライフリンクを支えてくれているありがたい「仲間」のご紹介でした。