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笛吹川 [2013年06月05日(Wed)]
 今週末8日から上映される、「今年の恋」に続いて「はじまりの道」の原恵一監督のお薦めによる作品は「笛吹川」。「楢山節考」に続き1960年に制作された本作は、パートカラーによる、戦国時代を舞台とした反戦映画。反戦映画といっても声高に反戦を謳ったものではない。
 戦国時代が舞台になると武将や剣豪を描いたものが多いが、この映画では、農民の家族の歴史を通して戦国時代を描いている。第2次世界大戦時に置き換えれば「軍部」と「一兵卒」今の時代に置き換えれば、暴走する政治家と、したたかな庶民たちという感じ。
 見終わった後の無常感、反戦メッセージがストレートに伝わってくる秀作である。演出的にも随所にこだわりをみせており、合戦シーンでずっと鳴り響く鈴の音、一家の家の前の橋を通る人馬のひづめの音など効果的な演出が散りばめられている。映像的にも実験的な白黒映像に部分的に色をつけるパートカラー(タイトル前の松竹マークのバックのお馴染みの富士山からもうそうなってる。)も効果的(黒澤の「天国と地獄」(1963年)が有名だが、それ以前に木下監督はパートカラーという手法を自作で取り入れている)。 
戦争の恐ろしさを描きつつ、戦争そのものを美化するようなことなく、木下恵介監督らしいヒューマニズム溢れる作品になっている。前作「楢山節考」が歌舞伎の世界ならばこの映画は「今昔物語」を思わせる世界観、映像美、モノクロの画面の空にカラー、下にもカラーとその色分けが戦争の不気味さ、恐さを更に深いものにしているようなそんなとにかく映像そのものが不気味な上に音の響きの恐さやら色んな恐さがこの映画にはある。
 相変わらず高峰秀子とのコンビが素晴らしいが、岩下志麻の美さも絶品!1週間の限定上映なので是非お見逃しなく!
fuefukigawa02.jpg
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