カード型手帳 普及の意味
[2021年01月27日(Wed)]
障がいのあるひとに
居住地域の自治体が交付する
障がい者手帳には、
身体障害者手帳、療育手帳、
精神障害者保健福祉手帳の3種があります。
どれも 紙製で、
情報を書き加える仕様で、
大きさも 自治体によってバラバラの大きさで、
発行時から何年経っても
ずっと同じものを使用する状況で、
外出時に持ち歩いたりすることで
ボロボロにならないように
各自が 工夫しながら使用しています。
そのような中で 以前より
利用者側の声から
手帳のカード化が 模索されていました。
そして、療育手帳のカード型発行が可能になり
(2015年から 山口県が導入済み)、
その後、国が省令を改正したことを受け
2019年4月から 全国の自治体の判断で、
3種の手帳すべてが
カード型手帳を 導入できるようになりました。
カード型手帳は、運転免許証と同じ大きさで、
耐久性が高い プラスチック製。
氏名、住所、生年月日、障がい等級、
手帳番号、交付年月日、有効期限、写真、
旅客鉄道運賃減額種別などが 記載されています
(障がい種別と自治体により記載内容がちがいます)。
手帳の様式が統一されることで
手帳の認知度が高まり、
かつ、障がいの詳細が記載されないため
外出先でのプライバシー配慮にもなり、
濡れや破れなどを気にすることなく持ち運べる
メリットがあります。
しかし、
カード型手帳が発行できるようになって
2年近く経つ今も、わたしの周りで
カード型手帳を持っているひとに
会ったことはありません。
2019年からこれまでに
全国で どれくらいの自治体が
カード型手帳を導入しているかを調べてみると、
東京都(2020年10月〜)、
大阪府箕面市(2020年10月〜)、
佐賀県(2021年1月〜)、
神奈川県横浜市(2021年1月〜)のみでした
( きょうの福祉調べ )。
厚生労働省は、
発行主体となる自治体が 積極的に
カード化に向けた検討を行って欲しい と
繰り返し呼びかけているものの、
カード型手帳の発行に伴うシステム改修費などの
費用負担が大きな ネックとなっており、
国の支援があれば行う という自治体が多いと。
紙製だった手帳が
カード型手帳になり
日々の利用で扱いやすくなった一方で、
ICチップ搭載や
マイナンバーカードと障がい者手帳の一体化
などの構想が 国にあったりと、
財政面から考えると
二重投資にならないかと
多くの自治体が カード型手帳へ
踏み出せない状況があることを知りました。
むつかしいですね。
でも、カード型手帳を
すぐにでも全国へ普及してほしいと思う
障がいのあるひととその家族が
多数いることに 変わりはありません。
実は、手帳発行時に貼る顔写真は、
発行後何年、何十年経っても
変わりません。
ひとによっては
現在の顔とは似ても似つかない
手帳を発行した当時の顔が
そこに在り続けます。
公共交通機関を利用する時などに
手帳の顔写真と
目の前にいる当人を
何度か見比べる駅員さんがいることも事実で、
何度も見る駅員さんが滑稽に見えて
(ごめんなさい)
いつも笑いをこらえるのに必死な
付き添い人がいることも事実で。
これを読んでいるひとのなかには、
「そうそう」と
頷いているひともいると思います。
昨年10月に導入した 大阪府箕面市と
今年1月に導入した 佐賀県佐賀市の
カード型手帳は、
カードに記載できるスペースが
狭いことを補うために、
カードに QRコードを載せて、
それを 携帯電話で かざせば
障がいの詳しい情報が
確認できるようになっています。
カード型手帳は、
利便性が向上する一方で
住所や障がいの状態などが変わった場合に
追記できる紙の手帳と ちがって
再発行が 必要になることもありますが、
2015年に カード型療育手帳を導入した
山口県では、約4割のひとが
カード型を 選んでいるそうです。
カード型手帳と 既存の紙製手帳は
どちらでも 選択できますが、
わたしなら すぐにでも
カード型手帳に 変えたい。
だって、交通機関や公共施設の利用時に、
窓口で手帳を提示したら
顔写真を見せろと
手帳の内側をめくって 顔写真を見せることが
ずっと 心の負担だったから。
手帳の本人と写真を見比べる担当者が
時折見せる 怪訝な顔を見たくないから。
いつになったら
障がいのあるひとやその家族が、
このような 理不尽な思いを
しなくて済むのでしょうか。
そのためにも、このカード型手帳が
全国で、選択できて
利用できるように 願います。