先日、“ 動物介在療法 ” という
治療行為がある と初めて知りました。
“ 動物介在療法 ”とは、
医療現場で 専門的な治療行為として行われる
動物を介した 補助療法 で、
そこで活躍する犬を
『 ファシリティドッグ 』と言います。
犬好きな わたし。
気になって、少し調べてみると。
現在 日本で、フルタイムで活動している
ファシリティドッグ は、
神奈川県立こども医療センターで
今年9月から 先輩犬「ペイリー」の
後任として勤める「アニー」と、
静岡県立こども病院に勤める「ヨギ」の 2頭。
ファシリティドッグ は、
セラピードッグ とは ちがいます。
そのちがいは、大きく分けて4つあり、
@ セラピードッグが常勤ではない のに対して
ファシリティドッグは
1つの病院に毎日出勤するフルタイムワーカー、
A セラピードッグの多くは
基本的なしつけを受けた家庭犬である のに対して
ファシリティドッグは
専門的なトレーニングを経た使役犬、
B セラピードッグは
ハンドラー(犬をコントロールするひと)が
飼い主であるケースが多い のに対して
ファシリティドッグのハンドラーは
医療従事者であり
ファシリティドッグと共に
専門的なトレーニングを受けたひと である、
Cセラピードッグの役割が
“ 動物介在活動 ”= ひとを癒やすこと であるのに対して
ファシリティドッグの役割は
“ 動物介在療法 ”= 単に患者を癒やすだけでなく
医療行為にかかわる部分ま踏み込んで活動を行う こと、
と ありました。
病院で日々
ファシリティドッグは、
入院病棟を回って
病気の子どもたちに触ってもらうことから
子どもたちとなかよくなっていくことで
採血や点滴、手術室へ行く時などに
「 ファシリティドッグに ついてきてほしい 」
という子が出てきたり、
薬を飲むことが苦手な子の「 応援 」に行ったり、
リハビリに同行したり、
外へ一緒に 散歩したり。
いずれも、単なる癒しを超え、
医療の分野にも
大きくかかわっていることが 特徴です。
毎日 病院に居る
ファシリティドッグだからこそ、
入院中の子どもたちとの 絆もうまれ、
その絆は 強いものになっていきます。
そして、このファシリティドッグは
子どもたちだけでなく、
その家族へのケアにも 効果があります。
わたしも経験があり よくわかるのですが、
小児病棟で 治療に向き合うのは
子だけでなく、
その家族も 同じです。
治療が進まなったり
思い病気を宣告されたり、その度
親は 大きなショックをうけ、脱力感にも苛まれます。
そのような時、
医師や看護師の傍らで
ファシリティドッグが いるだけで
その場が 和み、
告知する医師の心的負担も
軽減されるケースが多い と。
重い病気を 抱えていても
辛い治療を 余儀なくされても
ファシリティドッグを 見るだけで
子どもの表情が 明るくなったり、
そんな子の表情を見た親が ほっとなぐさめられたり、と
とても重要な
「 子と家族のケア 」につながる仕事を担っています。
このような『 ファシリティドッグ 』ですが、
現在 日本には、2頭しかいません。
ここまで知ると、
全国の小児病棟のある病院に
広がってほしいと思ってなりません。
しかし、
病院に導入する資金のこと と
ファシリティドッグの育成について が問題で、
普及に至っていません。
資金に関しては、
1頭のファシリティドッグを
病院に導入するにあたってかかる経費は、
初年度に 1200万円、
その後も 年間約900万円ずつが必要です。
ファシリティドッグの育成に関しては、
今 日本で活躍する2頭ともが
ファシリティドッグのプログラムを生み出した
アメリカの ハワイにある育成施設で
ストレスを抱えたひとびとに
愛情と安らぎを与えるよう
子犬の時から専門的なトレーニングを積んだ犬で、
日本での育成には、問題が山積しています。
ハワイにある
ファシリティドッグ育成施設は、
一度に管理する頭数は 6頭までと制限し
犬舎もクレートもなく
森や海岸などの のびのびとした場所で、
無理なく過ごさせる環境です。
そのような環境を
日本で整えられるのか など
ファシリティドッグの日本での育成を考えた時、
難しさが大きく頭をよぎります。
病気に苦しむ子どもだけでなく
大人やその家族を、
さまざまな面で 助けてくれる
寄り添ってくれる『 ファシリティドッグ 』。
もっと 日本で普及させるために できること。
まずは、ひとりでも多くのひとに 知ってもらうこと。
知ってください、
『 ファシリティドッグ 』の存在を。
*認定NPO法人 シャイン・オン!キッズ
東京都中央区日本橋本町3-3-6 ワカ末ビル 7階
http://sokids.org/ja/ → 2010年に 静岡県立こども病院で
常勤ファシリティドッグ・プログラムを開始。
2012年からは
神奈川県立こども医療センターでも開始。
小児がんや重い病気の子どもたちと
そのご家族を力づける活動、
医療チームと治療の充実のための活動、
小児がんの認知を高める活動を柱に
日本の小児がんや
重い病気を患っている子どもたちと
その家族の生活が楽になるように
支える活動をされています。
2006年 NPO法人タイラー基金として発足、
2012年に 今の団体名
認定NPO法人 シャイン・オン!キッズ に。
医療レベルでは
世界でも進んでいると言えますが、
患者や家族のサポートという面では
まだまだ遅れている 日本。
患者のサポートを 問い直し、
告知から治療、退院後まで
全面的に患者をサポートするシステムを整える
先駆的な活動を されています。