LLブック
[2017年07月27日(Thu)]
拙ブログを読んでくださるひとの中にも
「趣味は 読書です」というひとが
いらっしゃると思います。
本を 読む。
そこから得られるものは、
計り知れないものが ありますね。
人生を変えることも ありますね。
先日、
知的に障がいのあるひとを
読者の対象にした本があることを 知りました。
それらは
「 LLブック 」と呼ばれ、
北欧を中心に 普及しており、
「LL」の 語源は
スウェーデン語で「 Lattlast 」の略で
「 やさしく 読みやすい 」という意味だそうです。
とくに スウェーデンでは、
1960年代から
知的に障がいのあるひとの「 読書権 」を
平等に保障する という目的に、
国が 資金を出し、出版されています。
日本では、まだまだ
その本の冊数も
認知度も 低いですが、
昨年、障害者差別解消法が 施行され、
国や 自治体には
差別を解消するための
合理的配慮が 義務付けられ、
社会状況は大きく変わっても尚
変わらない現状が あります。
考えてみれば、
出版物の表現は 文字が中心で、
子ども向け以外の本は
内容も 表現も
複雑で 高度なものばかりです。
知的に障がいのあるひとが
読んで理解するには
難しいものばかりです。
そこで、ようやく
文字の読めない
障がいのあるひとたちにとっても
読書を 楽しみ、
情報を得ることができる本が 生まれました。
2015年に 出版された
『 わたしのかぞく なにが起こるかな?』と、
今年4月に 出版された、第2作の
『 はつ恋 』です。
ストーリーの理解が 苦手なひとのために
1編ずつの
ショートストーリー形式にし、
文字は 少ない あるいは無く、
写真を 多用し、
誰もが楽しむことができるように
工夫されています。
『 はつ恋 』では、
だれもが憧れる「 恋 」をテーマに、
写真によって
恋愛ストーリーを楽しむことができる
「 写真版 LLブック 」になっています。
そうですね。
青年から成人の年齢になると
自然に 異性への興味が芽生え、
恋愛や結婚などに 興味をもつことは
障がいのあるなしにかかわらず
あることですもの。
自分の興味を
理解へつなげるきっかけになる
それが「 本 」。
だとしたら、
知的に障がいのあるひとにも
その機会は なくてはならないものです。
LLブックを 日本にも取り入れ、
発行に尽力された
企画・編集・製作に携わるひとびとに、
そして、出版社さんに
感謝の気持ちが こみ上げてきました。
「 小さい頃に読んだ絵本を 今もよく読む」こと
それも 読書ですが、
成長すると 理解できる本が極端に少なくなると
感じているひとたちにとっては、朗報ですね。
必要としているひとへ、この本が届きますように。
*樹村房(じゅそんぼう)
http://www.jusonbo.co.jp/
*『 わたしのかぞく なにが起こるかな?』
LLブック制作グループ /編
藤澤和子・川ア千加・多賀谷津也子 /著
(2015 年4月30日 刊行)B5判・112頁
―― 小学生の少女「わたし」と
その両親、おじいさん、兄、姉の
それぞれのエピソード9編を
写真だけで4コママンガ風に表現。
マンガ「サザエさん」のような、
家族による身近な笑いがいっぱいです。
目次
1 はみがき
2 あさごはん
3 てつぼう
4 おしゅうじ
5 いす
6 ばどみんとん
7 ケーキ
8 デート
9 ランニング
*『 はつ恋 』
藤澤和子・川ア千加・多賀谷津也子/企画・編集・制作
(2017年4月27日 刊行) B5判・90頁
目次
1 海でであう
2 女の子を見つめる
3 うんていをがんばる
4 ロールケーキはおいしい
5 花をわたしたい
6 こわい人がくる
7 ふたりのクリスマス