ラヒホイタヤ
[2017年05月27日(Sat)]
ちょっと舌をかみそうな言葉『 ラヒホイタヤ 』。
これは、
保育や介護など 保健医療分野にまたがる
北欧・フィンランド独自の
共通資格制度のことで、
フィンランド語で
「 そばで ケアするひと 」を 意味します。
フィンランドは、ご存知のように
北欧型の 社会保障、社会福祉システムをもつ
福祉先進国ですが、
2025年には、高齢化率が
EU圏内で 最も高くなる と言われています。
その フィンランドには、
少子高齢化により
人材不足が 懸念されることから
福祉人材確保を 目的とした
『 ラヒホイタヤ 』の養成制度が
1990年代前半から 存在しています。
この『 ラヒホイタヤ 』は、
准看護師、精神障害看護助手、歯科助手、
保育士、リハビリ助手、救急救命士、
知的障害福祉士、ホームヘルパーなど
保健医療部門 7つ、社会ケア部門 3つの
合計10の資格を 統合したものです。
その 養成課程は、
2年間の基礎学習 プラス
1年間の専攻課程プログラム という形。
2年間の 基礎学習では、
リハビリ援助、介護と看護、
成長への指導と援助(保育のこと)の項目を
高齢や障がいや子どもといった
対象者別ではなく、
すべてのひとにおいての基礎的なケアを学びます。
1年間の 専攻課程では、
児童・青少年ケア教育、高齢者ケア、
顧客サービス・情報管理、
障がい者ケア、精神衛生・依存症中毒ケア、
口腔・歯科衛生、救急ケア、リハビリケア、
看護・介護 について学びます。
実は、日本では、2015年に
『 日本版 ラヒホイタヤ 』の導入が
見送りとなった経緯があります。
しかし今、
医療・福祉の複数資格に共通の
基礎課程を創設し、
資格ごとの専門過程と2階建ての養成過程を
検討しはじめているそうです。
候補としては、
医療 では、
看護師、准看護師、理学療法士、
作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、
診療放射能技師、臨床検査技師 が、
福祉 では、
社会福祉士、介護福祉士、
精神保健福祉士、保育士 があげられており、
これらを 共通資格で くくれば
ケア、リハビリ、医療工学、相談 の
4資格が 共通化することになります。
しかも、
「 医療、介護、福祉の専門資格について、
複数資格に 共通の基礎課程を設け、
一人の人材が 複数の資格を取得しやすいように 」
「医療、福祉の 業務独占資格の範囲について、
現場で 効率的、効果的なサービス提供が
進むよう見直す 」と、
政府が ちょっと大胆な提言もしています。
何事にも メリットがあれば デメリットもあります。
『 ラヒホイタヤ 』にも 言えることです。
介護・福祉の現場からは、
幼児から高齢者までの
異なる技術や知識が必要な業務を
1人でこなすことへの不安、そして
資格の一本化に対する反発があるそうです。
でも、これから来るであろう
少子高齢化による
福祉の人材不足を解消し、
より質のよいケアを
誰もが 受けられるために、
『 ラヒホイタヤ 』の実現に向け
一考する価値はある と思います。
なぜならば、『 ラヒホイタヤ 』には
「 ひとが 生まれてから死ぬまでを学ぶことにより、
広い視野と ひとに寄り添う心が備わっている 」
と 思うからです。
介護と看護の 一本化、
介護福祉士と准看護師の 資格の共通化など、
病気や障がいがあっても
「 住み慣れた地域で 暮らし続けたい 」と
思うひとが 増える中で、
それらが実現できる可能性が大きい
『 ラヒホイタヤ 』。
一人二役、
一人三役を 担うには、
さまざまなハードルがあると思いますが、
「 その役割を担いたい 」と思う
スペシャリストは、
案外 いるのではないでしょうか。
希望と期待を 込めて。