半年ほど前に 目にし、
今も 心に残っている記事。
「 精神科の患者、自ら選んだ家で笑顔に
入居支援で 自立促す 」
( 2014年7月28日付け:毎日新聞 )
精神科病院を 退院後
受け皿となる住まいが 地域で借りられないために
長期入院を余儀なくされる患者が多いことを知った
岡山県にある 不動産会社の社長さんたちが、
自ら扱う物件の中から これまでに
精神に障がいのあるひとたち
約450人の住まいを提供、とありました。
成年後見に携わる弁護士や
医療や福祉の関係者たちで 構成された
NPO法人 おかやま入居支援センターさん
(2008年に 設立)が、
障がいのあるひとへの入居支援に
取り組まれています。
専門的な知識をもったひとたちと
不動産業者さんが
スクラムを組んだ サポート体制は
全国的にも めずらしく、
地域での暮らしに必要な
さまざまな支援につながる
注目すべき活動です。
ただ 住む場を提供するのではなく、
医療や福祉などのサポートを含めた支援が
含まれている点は、
障がいのあるひとや その家族にとって
とても 心強いですね。
「 自らが選んだ家で住む ということが、
心に病気や障がいのあるひとの
自立しようとする力、生きる力になる 」
支援に携わるひとたちが
そう感じている とありました。
今までは(今も)
障がいのあるひとの住まいを
自分が選ぶ という選択肢は 少なく、
たとえば
風呂やトイレが壊れかけたアパートを斡旋されたり、
正当な家賃を払っているのに
「善意で 貸している」とたびたび大家に言われたりと
そこから 漏れ伝わる声には
聞くに耐えないことが 多かった(多い)。
ひとが暮らす環境。それは
そこに住むひとへ及ぼす影響が
どれほど 大きいものなのか。
これは、障がいのあるなしにかかわらず
言うまでもないことです。
なのに、なぜ
障がいのあるひとの
一人暮らしなどの住まいは
冷遇され続けているのでしょうか。
記事には、
自ら選んだ家で生活するひとの声が
こう ありました。
「 手入れのされた家に住み始めてから
自ら3度の食事をとり、入浴し、
表情が明るくなりました」。
「 親と同居のときは
病気が原因で 親に当たることもあり
発作で入院したこともあったが、
今は 一人暮らしができて
同じ境遇のご近所さんもいて、
精神的に 安定できています 」。
この記事を 読んで思い出した
『 ハウジング・ファースト 』。
ホームレス地域生活移行支援事業の一環として
始めた政策。
このような『ハウジング・ファースト』が
ひとを 限定することなく、
社会で 地域生活移行支援が必要なひとに
広範囲にわたり 届く支援になれば。
「 自ら選んだ家に
住むことから生まれる、生きる力 」
障がいのあるひとが
地域で暮らすために必要な
支援の方法や形が、
もっと 社会にあふれるがごとく
増えてほしいです。
「 選択肢のある生活が、
障がいのあるひとたちにとって
あたりまえとなる 社会へ 」
そう願うと同時に、
このような願望を記すことに
悲しみを 覚えます。