ミスマッチ
[2022年05月23日(Mon)]
「 まわりのひとから見ると大変だと思われるでしょうが、
これがあたりまえだと思っています。
確かに 大変なこともありますが、
わが子だからこそ、続けてこられました」。
障がいのある子と生活を共にする
ある親子の声を目にした時、
何とも言えない複雑な思いが
いつもよぎります。
障害支援区分が区分6の
最重度の障がいのある子を介護する
母親は70歳代。
自宅がある自治体や
その周辺の自治体の入所施設を探し、
何度も見学へ出向いたり、電話で問い合わせたりしても
空きが出ない状況が続いていて、
「定員50名の入所施設に 入所希望待機者が40名います」
と 言われたところもあったそうで、
埼玉県では「2人の空きに161人の待機者」という
信じがたい事実も。
「 入所施設へ入所を希望し、
待機している障がいのあるひとが 何人いるのか」。
実は この状況を 国は調査していません、
もちろん、人数も把握していません。
自治体ごとで調査しているところもまちまちで、
2021年時点で人数を把握してる
27都府県の入所施設の待機者数は少なくとも
述べ 1万8640人(きょうの福祉調べ)。
人数を把握している都府県によると、
入所施設を希望しているのは、主に
重い知的に障がいのあるひとであることがわかっています。
そのうち、東京や埼玉、広島、宮城など13の都県では
待機者が 年々増える傾向にあり、
知的に障がいのあるひとについては
この10年間で 2倍に増えた県もありました。
障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)に基づく
国の基本方針によって、
入所施設への入所者数を
段階的に減らす目標を立てたその結果は、
5年前に比べて
全国で約4500人減少し、
全国のグループホームや入所施設への入居者は
5年前に比べて
約4万1000人増加、と
受け入れ人数自体は
5年間で3万人以上増えた計算になっています。
しかし、
「施設に限らず、多様な暮らし方ができる社会へ」と
うたわれたこの施策が起こした“ ミスマッチ ”に
気付いていても 声を上げても 国は動きません。
看護師などの配置を義務付けていないグループホームで
暮らせない、入居できない
重い障がいのあるひとを
切り捨てるかのような行為が続いています。
全国のグループホームや入所施設への入居者のうち、
必要とされる支援の度合いが最も高い
「区分6」のひとは
1割にも満たない(きょうの福祉調べ)。
昨年 全国の自治体を対象に行われた調査で
回答があった997の市区町村のうち、43%が
「重い知的に障がいのあるひと向けのグループホームが
特に不足している」と答えている(きょうの福祉調べ)。
待機者とされるひとの多くは 重い障がいのあるひとたち。
重い障がいのあるひとは
国が今 増やしているグループホームでは
暮らせないのです。
そして、国の調査によると
在宅の
40歳以上の知的に障がいのあるひとの人口は
2000年の 7万5000人から
2016年には 38万2000人(いずれも推計)と
5倍余りに急増しており、
在宅の
65歳未満の知的に障がいのあるひとのうち、
74%が親と同居、という結果がありました。
高齢の親が 障がいのある子を介護する
「 老障介護 」。
聞いたことがあると言うにとどまらない実態を
知ってほしい、今すぐに。
将来への不安から
入所施設へ入所希望するケースが相次ぐことは
目に見えているのに、
なぜ、入所施設を減らし続けるのですか。
実態を直視しないのは なぜなのでしょうか。
実態を直視しないのは だれなのでしょうか。