映画「チョコレートドーナツ」3
[2014年05月17日(Sat)]
4月19日に、東京で封切られてから
全国で 続々と上映されている
映画「 チョコレートドーナツ 」 。
先日 わたしが観た 京都の劇場では、
満員札止めの回もありました。
映画を観たひと
そのひとそのひとの感想は
もちろん 違うと思います。
この映画のエンドロールを観ながら
私は 思い出したことがありました。
1996年 ポーランドとフランスが合作した
映画「 八日目 」です。
日本での 映画公開は、
1997年だったと思いますが、
当時観た記憶が 鮮明によみがえってきました。
ネタバレになってしまいますが、
ダウン症のある少年の死で くくられている結末が、
何年経っても
そのような結末で 描かれていることが、
哀しいというか、情けないというか。
そして、
ダウン症のある子を育てる人物は「母親」で、
母親が ひとりで
さまざまなことを背負い込む姿を
痛々しく映し、
母親自身の生き方を、
曲げて描く。
「 落胆するしかない 」
「 そこで留まる、しかない 」
そういうイメージを持つひとが
多いだろうなぁ、と。
「 やっぱり、そうなの 」と
つぶやきながら、映画館を後にしました。
「チョコレートドーナツ」は、
アメリカ・カリフォルニアであった
実話をもとに つくられた映画、
「八日目」は ノンフィクション映画ですが、
ダウン症のある登場人物を
ダウン症のあるひとが
役者として 演じることによって、
いい意味でも そうでない意味でも
現実味を増すことから伝わるコトが
これででいいのだろうか、と。
知ってもらうことは、
すべてのはじまりであり、
ダウン症に限らず
障がいのあるひとのことを
知ってもらうために
伝える映画は、あっていいと思います。
でも、あえて言いたい。
こういう描かれ方はもう、終わりにしてほしい。
ふたつの映画はともに、
ダウン症のひとのことだけを
描いているのではなく、
彼らを含めた
社会に生きるひと すべてのひとについて、
生きる姿を
表現していることは、承知しています。
しかし、
死で終える結末を描く意図は、
もはや 現実に則しておらず、
誤解さえ 生みかねないと思うのです。
外国で よく見られる
障がいのあるひとを描く映画。
日本でも、
もっとつくってほしい。
映画を観たひとが
「障がいのあるひとに、さまざまな可能性を感じる」
映画をつくってほしい。
そして、
その映画を観た 障がいのあるひとが
「わたしも 頑張ろう」と思える
映画をつくってほしいです。
*映画「八日目」
あらすじ:
会社員アリーは 妻と娘に家出され、
一人イライラと 車を飛ばしていた。
その時、犬をはねてしまい、
その飼い主・ジョルジュを
同乗させることに。
ジョルジュは ダウン症のある青年で、
施設から逃げ出し、
母親に 会いに行くところだった。
母親の元に向かう二人。
だが、たどり着くと、
母親は 数年前に亡くなっていた。
アリーは ジョルジュを連れて、
施設までの旅に出る…。
主演の ダニエル・オートゥイユと
パスカル・デュケンヌは、
揃って1996年に
「カンヌ映画祭 男優賞」を受賞。
監督:ジャコ・バン・ドルマル
出演:ダニエル・オートゥイユ
パスカル・デュケンヌ
原題:Le Hutieme Jour
ベルギー・フランス合作/
1996年/118分/カラー
*映画「チョコレートドーナツ」
http://bitters.co.jp/choco/
監督:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング
(「グッド・ワイフ」、「マスク2」)、
ギャレット・ディラハント
(「ルーパー」「ウィンターズ・ボーン」)、
アイザック・レイヴァ、
フランシス・フィッシャー
(「タイタニック」)
原題:Any Day Now
アメリカ/2012年/97分/カラー