障害者差別解消法 と 障害者雇用促進法
[2013年09月05日(Thu)]
今年7月の通常国会で成立し、2016年4月に
施行される「 障害者差別解消法 」。
もとは、2007年「 障害者権利条約 」に
日本が 署名したにもかかわらず、
障がいのあるひとの差別を禁止する法律がないことを
国連から 指摘され
批准に至っていないことが 発端で、
今回「 障害者差別解消法 」と
「 障害者雇用促進法 」の改正案が成立しました。
この2つの法律の目的は、いずれも
障がいのあるひとの差別を禁止すること だそうで、
「 雇用 」の分野での
障がいのあるひとの差別をなくそう というのが
「 障害者雇用促進法 」で、
「 雇用以外 」の分野での差別を解消しよう というのが
「 障害者差別解消法 」です。
「 障害者差別解消法 」というのは略称で、正式名称は
『 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 』。
行政は、障がいのあるひとに対する
「差別的取り扱い」を 禁止し、
「社会的障壁の除去」を 実施するための
合理的配慮が必要だ と謳われています。
たとえば、行政サービスを行うとき
障がいのあるひとが
事実上 排除されることがないようにするといった
労働領域以外での 差別解消が目的になっています。
合理的配慮の義務とは、たとえば、
採用試験で 障がいを理由に不利な判定をしない
だけでなく、
採用後に 職場の段差をなくしたり、
障がい特性に合った
コミュニケーション方法を導入するなどの
合理的配慮 を、
過重な負担のない範囲で課すこと とありました。
そして これまでは、
グループホームの建設などの際に、
行政は 周辺住民の同意や 説明会の開催を
「 事業者側 」に 求めてきましたが、
これからは「 行政 」が
住民の啓発や調整に 責任を持つ など、
「国や自治体に 差別解消の責務がある」ことが
明示されています。
そして今回、合わせて成立した
「 障害者雇用促進法 」の 改正案。
新たに加わった章には、
募集・採用・待遇において 差別を禁止し、
障がいのないひととの均等な機会を確保するために、
事業主に対して、施設の整備を含む
「 障がいの特性に配慮した 必要な措置 」を
義務づけています。
「 障がいの特性に配慮した 必要な措置 」の
たとえとして 上がっていたのが、
車いすを利用する人を 雇う場合に、
その人が 使いにくくないように
机などの高さを調整したりすること でした。
これらの内容を 知るにつれて、
法律で義務付けないとできない 社会のあり方に
疑問を持つ と同時に、
憤りに近いものを 感じました。
「差別解消」って、そう言うこと自体が
差別になっているんじゃないか、と。
そして「 障害者雇用促進法 」で
障がい者雇用を 義務付けてはいるものの、
「 非正規雇用でもよい 」とする
政府の運用方針が 入っていることも知りました。
うーん、この一行が どうして入るのでしょうか。
障がいのあるひとの差別を 固定化してしまう
可能性を感じて止まない 一行に見えました。
障害者差別解消法 と 障害者雇用促進法。
障がいのあるなしにかかわらず、
すべてのひとが 暮らしやすい社会になれば、
こんな法律は 必要ないのに、と
つぶやくだけでなく、
一人ひとりの意識の変化へつなげるには、
本当に どうすればいいのでしょうか。
今、ここに生きるひと すべてのひとが
「安心して 生きることができる社会」ならば、
こんな法律なんか 必要ないのに。
安心して 生きることができる社会を
絵空事に終わらせないためには、
一人ひとりの意識を変えることしか 近道はない、と。
一人ひとりの意識を変える には、
小さい頃から育つ環境、教育が キーポイントです。
「 分けない教育 」
分けない教育が、
一人ひとりの意識を変えることに必要なことだ と
あらためて 思いました。