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きょうの福祉

「障がい者というコトバを
    使わなくて済む社会になればいいなぁ」
 障がいのあるひとが、
 地域で役割を担い、ふつうに生きる。。。
 この願いに向かう kyokyo の日々をつづります。


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「今出来ること」という一人ひとりの小さな道が一緒になって大きな道へ
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意思決定を支援すること  [2021年05月10日(Mon)]

先日、あるひとの訃報に接しました。

作業療法士として病院で勤務していた彼女は
24歳のときに
神経難病の重症筋無力症を発症し
支援する側から支援される側になり、
28歳からは
24時間人工呼吸の生活となりました。

その後、
一時はあきらめていた
在宅中心の生活を取り戻してからは、
障がいのあるひとも
健常と呼ばれるひとも
住みやすい地域づくりを目指して
NPO法人を立ち上げ、
在宅医療・看護の助けを借りながら
精力的に活動されていました。

彼女は、愛知県尾張旭市の押富俊恵さん。

昨年9月の講演が、
パワーポイント画面をもとに
彼女の音声が字幕となって
わかりやすく工夫された映像として
残されています。





タイトルは、
「 意思決定を支援すること
   ― 支援者の視点、当事者の想い ― 」。

病気になったことで彼女は
支援する側から支援される側になり、
今まで自身がする必要がなかった
深刻な意思決定を数多く迫られました。

人工呼吸器をつけますか、
急変時の心臓マッサージはどうしますか。

彼女は
28歳で24時間365日人工呼吸器を必要になり
ずっと病院で過ごしていました。

30歳のある日、主治医から彼女に
この先 一生、病院か医療の整った施設で
暮らすしかないと告げられます。

その後、主治医が異動となり、
新しく担当になった主治医が彼女にこう言います。

「 医学的なことは置いておいて、どうしたい?」。

まず、彼女の希望を聞いてくれたのです。

「 家に帰りたい 」。

無理だと言われると思いきや、
「 そうだよね。在宅医療をフル活用して
家に帰る準備をしよう 」と言われ、
拍子抜けすると同時に
医師や医療者の
在宅医療のイメージや知識の量の差で
“ 最も重要なこと ”が決まってしまうかもしれない
という現実に 直面します。

もしも 自分の担当が
他のひとだったら、
もっとたくさんの情報に触れることができて
選択肢も増えて
人生、将来が 変わっていくのかな、と。

それらを“理不尽なこと”で終わらせず、
彼女は
自分にできることを
変えていけることを
探り、共有できる場を立ち上げます。



「 一番 優先することは、
質の高いケアをすることではありません。
わたしのやりたいことを実現するために
応援してくれることです 」。

「 専門性は 凶器にもなります 」。

「 わたしの意思決定を
社会が 支援者が どう扱うかで、
わたしの意思決定の重さが変わります。
自分で決めたことなのに、
その重さは 重くもなり 軽くもなります。
意思決定を支援する立場のひとには
そのことを忘れないでほしい 」。

「 意思を引きだすことと誘導することは紙一重」。

「 今、決めたからって
気持ちが変わることは 当然 あります。
意思決定は 永続的なものではなく、
その時の“ 今の気持ち ”。
変わって当然だという気持ちで支援してほしい 」。

「 そのひとにはそのひとの価値観があり
優先順位もちがってきますが、
尊重し、同じ重さで扱ってほしい 」。


彼女の残した言葉は
どれも尊く、心に残ります。

心に留めるべきひとへ、届きますように。

最後に、
押富俊恵さんのご冥福を
心からお祈りします。




*NPO法人 ピース・トレランス
尾張旭市桜ヶ丘町3-146サンハウス第4あさひの2D
https://www.facebook.com/peace.tolerance2016/


※「意思決定」とは、
一般的にはある目標達成のための諸手段を
考察し、分析し、
その1つを選択決定する
人間の認知的活動といい、
ある目標を達成するために
複数の選択可能な代替的手段の中に
最適なものを選ぶこととされています。

そして「意思決定支援」とは、
自ら意思を決定することに困難をかかえる
障がいのあるひとが、日常生活や社会生活に関して
自らの意思が反映された生活を送ることができるように、
可能な限り本人が自ら意思決定できるよう支援し、
本人の意思の確認や意思及び選好を推定し、
支援を尽くしても
本人の意思の確認や意思及び選好の推定が困難な場合には
最後の手段として
本人の最善の利益を検討するために
事業者の職員が行う支援の行為及び仕組みを言います。









福祉避難所 10  [2021年05月04日(Tue)]


新型コロナウイルスという災害が続く中、
容赦なく起こる
地震、突風、洪水などの 自然災害。

災害時に、
地域の避難所で過ごすことが難しい
支援が必要な
高齢のひとや障がいのあるひとを
受け入れる設備や 支援するひとなどを備えた
福祉避難所

発災後、
受け入れ体制が整ってから開所されるため、
発災後 すぐの対応が難しく、
それが課題とされていました。

この課題にふれた記事を
先日、目にしました。


「 福祉避難所へ直行 促進
 災害時 高齢者や障害者 」
  ( 2021年4月19日付け:読売新聞 )


政府は、災害時に自治体が
介護施設などに開設し
福祉の専門職らによって運営される
福祉避難所に、
高齢のひとや障がいのひとらが
自宅から直接避難できる仕組みを
本格導入する方針を固めた、とありました。

現状では、
自宅から地域の避難所へ避難し、そこから
福祉避難所へ移る必要があるひとの
人数を把握した上で 福祉避難所は開設され、
2019年時点で
約8700か所が 福祉避難所と指定されていても
発災直後の避難に対応できておらず、
移動による負担が大きい と指摘されていました。

今国会に提出された
災害対策基本法の改正案では、
支援が必要な 高齢のひとや障がいのあるひと
一人ひとりについて、
具体的な避難手段を盛り込んだ
「 個別計画 」づくりを
自治体の努力義務とする という規定が
盛り込まれているとありました。

そして、「 個別計画 」の作成時に
福祉避難所のニーズを把握しておけば、
施設開設の準備も進めやすく、
福祉避難所が不足している地域には
新たな指定が進む、とありました。


でも、ちょっと待ってください。

支援が必要なすべてのひとの
「 個別計画 」を
自治体は 把握できているのでしょうか。

2012年度より
障がいのあるひとの計画相談支援が始まり、
現状では 相談支援事業所を通して
支援計画を作成するひとが多い ですが、
障害のあるひと本人や家族による支援計画の作成
= セルフプラン を利用するひともおり、
制度開始から7年後の調査では
セルフプランを利用するひとが増えている
という結果があります。

セルフプランを利用するひとの
福祉避難所に関する「 個別計画 」は、
誰が どこで どの時点で 行うのでしょうか。


福祉避難所を利用するひとは
高齢のひとだけでは ありません。

災害時、避難に支援が必要な
高齢のひとや障がいのあるひとは、
2019年時点で
約784万人とされています。

政府がいう「 個別計画 」は、
そのひとたちの
誰一人も 抜け落ちていない と言えますか。

地域の避難所への避難をためらう
障がいのあるひとと
その家族が多いと言われている中で、
記事にあるように、
自治体が開設した福祉避難所へ
高齢のひとや障がいのひとが
自宅から 直接 避難できる仕組みが整うことは
一歩 前進と思います。

でも、「 セルフプラン 」を利用している
障がいのあるひとの「 個別計画 」を、
忘れないでください。

置き去りにしないでください。














THEATRE for ALL [2021年04月28日(Wed)]


今年2月、日本で初めて生まれた
バリアフリー・多言語対応の
オンライン型劇場。

その名は 『 THEATRE for ALL 』。

――だれでも、いつでも、どこからでも。
 ひとりひとりが繋がれる “ 劇場 ”。
 劇場体験に、アクセシビリティを。
 それが『 THEATRE for ALL 』のミッションです。
 子どもから大人、そして、お年寄り。
 聴こえない人、見えない人、車椅子で移動する人。
 使う言葉が異なる人、育児・介護をしている人、
 海の向こうで暮らしている人。
 環境や身体のちがいから劇場を訪れなかった人が、
 別の方法で“ 劇場 ”に
 アクセスできるようになれば、
 ひとりひとりの日常も
 ひとつひとつの作品も、
 もっとおもしろくなるはず。
 『 THEATRE for ALL 』はそんな思いから生まれた
 アクセシビリティに特化した
 オンライン劇場です。――   ( HPより )


緊急事態宣言が発出されたり
まん延防止等重点措置が適応されたり、と
これまで以上に
外出の機会に制限がかかる日が続いています。

そのような中で、開かれた“ 劇場 ”
『 THEATRE for ALL 』が注目されています。


演劇、ダンス、映画・ドキュメンタリー、
ドラマ・芸能、現代美術などを対象に、
日本語字幕、音声ガイド、手話通訳、
多言語(英、中、韓、西、葡、泰)対応などを
施した動画の配信(一部有料)など
社会参加の回路を生み出す
『 THEATRE for ALL 』を運営しているのは、
THEATRE for ALL LAB さんです。

「 ちがう 」ことを
前提にした対話の中からこそ生まれる
豊かな視点や新しいアイデアを
たくさんのひとと共有し、
社会に実装していくことを目指されている
THEATRE for ALL LAB さん。

そのひとにとってのアクセシビリティを高めた映像を
『 THEATRE for ALL 』で 配信することで、
自分なりの劇場を体感できるサービスを
開発・提供するだけでなく、
動画作品にアーティストや学者による解説を付けたり
ワークショップを通じて
参加者どうしがつながり学ぶ場を
ラーニングプログラムとして提供したり、
障がいのあるひとやアーティストらが
さまざまな立場のひとがチームになって
新しいバリアフリー表現の実験を重ね
それらの結果をレポートし
次なる 議論を 問いを 生み出すという、
今まで 日本にはなかった事業を
展開されています。


さまざまな “ 障がい ” は、
自分だけでは 気づけなかった。

新たな一歩を踏み出す
きっかけとなるような体験が
ここで 得られるかも。


利用方法は、
下記のHPから
新規会員登録(無料)をし、
無料視聴できる作品から入ってみてください。

早速、わたしは
観たい映画が 見つかりました。
ステイホームで 楽しみます。






*THEATRE for ALL
https://theatreforall.net/


*おすすめの映画は
ドキュメンタリー映画『 白い鳥 』。
全盲でありながら、20年以上にわたって
美術鑑賞を続けている白鳥建二さん。
その方法は
目の見えるひとと見えないひとが
一緒に「会話」をしながら鑑賞するというもの。
白鳥さんと友人たちの
活動、旅、日常生活を追いながら
「なぜアートに惹かれるのか?」
「会話だけで何をどこまで伝えられるのか?」
に迫った映画です。










フェーズフリー  [2021年04月22日(Thu)]

フェーズフリー という言葉を
先日、耳にしました。


「 日常時 」と「 非常時 」という
2つのフェーズ(段階、局面)の制約から
自由であることを目指す概念のことを
「 フェーズフリー 」といい、
十分な備えが難しいと認めざるを得ない時代となった今、
地震、天災、ウイルス感染などの
“ 災害 ”に備えるために、
“ 備え ”を
“ 守りたい思い ”を
カタチにするために生まれた
「 フェーズフリー 」は、
「 身のまわりにある モノやサービスを、
日常時はもちろん、
非常時にも 役立てることができる」という
新しい防災の考え方だと知りました。

どのような状況においても利用できる = 常活性、
日常から使える = 日常性、
使い方や利用限界がわかりやすい = 直感性、
気づきや意識、災害に対するイメージを生む = 触発性、
参加でき、広めたりできる = 普及性、
この5原則に基づいた
商品やサービスが
これから求められる、と。


日常生活でも
便利に 活用できて、
もしものときにも 役立つ。

これまで 防災用品と呼ばれるものは
普段は しまってあるもので
非常時のみ 取り出して使う、という
これまでとは、
大きなちがいがあります。

たとえば、
水にぬれても文字が書ける筆記具や、
電気自動車の電気を
非常時に車の外へ給電できたり、
カセットボンベで
電気をつくる非常用電源があったり、
「 災害時でも
すべてのひとの制約が 最小限で済む 」
それが、フェーズフリー商品です。



今、民間企業では
この概念を取り入れた 商品開発が、
行政では
この概念を取り入れた まちづくりが、
急速に 広がりを見せているそうです。

商品やサービスに具現化させることで、
平常時のみならず
災害時においても有効に利用され、
社会的脆弱性を解消しようとする。


この考え方は、
社会の仕組みだけでなく、
障がいについての考え方も
大きく変えるかもしれません。







*一般社団法人 フェーズフリー協会
(Phase Free Association)
東京都文京区湯島4-6-11-A-1607
https://phasefree.or.jp/













遊び  [2021年04月16日(Fri)]

“ 遊び ” は、
一人ひとりの子によってちがいます。

それは、障がいのある子にとっても同じです。

身体に障がいのある子と
知的や発達に障がいのある子にも
“ 遊び ” はちがい、
遊び方にも ちがいがあります。

昨年12月、
拙ブログ “みんな” を付けなくてもいい街へ で、
東京都内に「みんなのひろば」という公園が
その年の3月にオープンした経緯を 紹介しました。

「みんなのひろば」がオープンして1年が経った先日、
同じこの公園について書かれた記事を 目にしました。


「 障害のある子が遊べる公園
広がるインクルーシブ公園 」
( 2021年4月7日付け:読売新聞 )


「 障がいがある子どもも安心して遊べる
インクルーシブな公園が増えている。
親と一緒に滑ることができる滑り台や、
車いすに乗ったまま遊べる砂場などが設置されている。
障がいのある子どもとない子どもが
交流する場所としての役割も大きい 」と始まり、
遊具メーカーが車いすのまま触って遊べるパネルを
本格的に開発している、と
身体的な配慮がされた遊具を紹介されていました。

最後まで、
知的や発達に障がいのある子については、
ひと言も触れられていませんでした。

ああ、またか、という思いで
がっかりしました。


インクルーシブって、何なのでしょうか。

直訳すると
包み込むような、包摂的な。

インクルーシブ教育 のことを
ともに生きる教育 と言われることがありますが、
何と何がともになるのか、と
思ったことがあります。

目の前にある“ 課題 ”を
“ みんなの課題 ”として解決すれば、
インクルーシブなどと言わなくても済むのに。

そう考えたとき、これは
インクルーシブな公園ではなく、
イクスクルーシブな公園に見えてきました。

イクスクルーシブは
直訳すると、
排除的な、排他的な、
一部のひとを外へ追い出す。


多様性を尊重する
時代の流れはありますが、
どのような障がいがある子にとっても
尊厳を損なわれることなく
一緒に遊べる場が
インクルーシブな公園と呼ばれるのであって。

「みんなのひろば」は
“ だれ” のためのひろば なのでしょうか。


「 公園 」という
子が遊べる安全な場が
まちのあちこちにあれば、
遊びの輪は 自然に 生まれます。

子は 遊びの天才です、
障がいのあるなしにかかわらず。

A公園には ○○遊びをしたい子が集まり、
B公園には △△遊びをしたい子が集まり。

元来、遊びを介した場において
障がいのあるなしは
それほど関係がないものです。

大人の勝手な想像だけが先走りして、
大人が知らないだけで。

大人がやるべきことは、
これら A、B、そして DやE公園を
見守り、安全面でサポートする。

“ インクルーシブな公園 ”を
“ イクスクルーシブ ”にしているのは、大人です。

自分が子どもだったころの経験を
思い出してみてください。

何が楽しくて、何がウザかってですか。

そこに、障がいは 関係ありましたか。

















相談支援  [2021年04月10日(Sat)]


2012年(平成24年)4月、
相談支援体制を強化するために
市町村に基幹の相談支援センターを設置(施行)し
自立支援協議会が法律上位置付けられ、
2015年(平成27年)3月までに
障害福祉サービスを利用する
すべての利用者に
サービス等利用計画の作成が義務付けられました。

当初より、相談支援は、
単に障害福祉サービス等の利用調整を行うものではなく
「 障がいのあるひとが
どのような暮らしをしたいのかという意思を
十分に 反映させなければならない 」と
されているにもかかわらず、
計画だけを立てているケースも
少なくありません、それも
相談支援事業所が知る、都合の良いことのみの中で。


3年前、拙ブログの障がい者雇用2 /859 で
相談支援について記してから、
今も、相談支援専門員の在り方への疑問は
消えません。

初めから 相談支援ができる支援者は いません、
社会福祉士の有資格者であっても。

なのに、
直接 障がいのあるひととその家族と関わる
継続的な経験と それに関わる
適切な指導が受けられる現場が、
必要とされる知識と数が、
提供されているでしょうか
提供できているでしょうか。

「 福祉職の一人ひとりが その時々に
必要な経験を積める 」制度設計へ変えないと、と
危機感をもつひとが多いことは 事実です。

必要とされる経験を積めない現場が
増えていることも 事実で。



相談支援とは、目の前にいる
障がいのあるひとだけを支援するのではありません。

その家族の支援に
重きを置けることが大切です。

相談支援専門員に求める、それは
「 家族を支援すること 」の大切さを
持っているかどうかです。

と共に、経験、知識、情報、人脈を
持ち備えていないと
相談支援の仕事はできません。

今、障害福祉サービスを利用するために必要な
サービス等利用計画書を、
相談支援専門員に
安心して信頼して託している家族は
どれだけいるでしょうか。

今も尚、「 セルフプラン 」が
無くならない理由も、ここにあります。















生を活かす  [2021年04月04日(Sun)]


ちょうど、一昨年に目にした
ほぼ日刊イトイ新聞の
『 今日のダーリン 』のコラムを
思い出して。


――魔法というものが、ほんとはどういうものか。
 ぼくは知らないけれど、
 音楽というのは、
 かぎりなく魔法に近いものなんじゃないかねぇ。

 人というものが、どういうものか。
 やっぱりぼくは、よくわからないままだけれど、
 人のとても大事な部分が
 こころというやつだとすれば、
 音楽は、その、こころを響かせるからなぁ。

 音楽によって、こころを響かせた人は、
 よろこぶにしても、悲しむにしても、
 力を増してしまうんだよね。
 空っぽになりかけていたところが、
 生きる素みたいなもので満たされてしまう。

 そんなことをできる音楽ってやつは、
 やっぱり魔法みたいなものだと思うんだ。
 魔法ってやつがフィクションだとしても、
 音楽はフィクションじゃなくて、
 いくらでもあって、
 どこにでもほんとにあるからね。

 生活ということばがあるけれど、
 それって、夢のない、おもしろくないもの
 みたいに思われがちだよね。
 でも、生活って
 「生を活かす」ってことだとしたら、
 なんか、それがすべてでもかまわないくらいに
 大きくて広くて豊かなものだと言えるぞ。
 たのしみも、しあわせも、よろこびも、
 生活のなかに息づいているもんな。

 旅も夢も冗談も恋も、そうだ音楽も、
 生活のなかに含められるものなんだよね。
 ロケットだって、顕微鏡のなかの世界だって、
 数学の記号だって、一見すると
 そうは見えないかもしれないけれど、
 人の「生を活かしている」要素や場面だ。
 荒唐無稽も酔生夢死も、ホントもウソも、
 みんな「生を活かす」のなかにあるよ。
 音楽のことを考えていたら、
 「LIFE」のことに流れ着いちゃったな。――



さらりとした語り口の中から
じわりと突くが如く
流れ出る言葉に
うなずくこと、うなずくこと。

2年前に書かれた文章ですが、
今に通じることに
当てはまることに
不思議な感覚を 味わいながら。


コロナ禍だからこそ見えてきたものの中に、
自分に必要な
暮らしの中の優先順位があります。

それは
ひとによってちがうことは言うまでもなく、
でも、それらを 包みこむモノとして
ほとんどのひとに在ると想像できる、
それは、音楽。

さまざまな制限を負に感じながら過ごす中でも
そこに 音楽があったら、
少しは 心が緩み、
生を活かす。

音楽の持つ力に、
喜びと新鮮さを 感じる春。

年度が替わり、
新しいひと
新しい場
との出会いが、
清々しいものと なりますように。












映画『 夜明け前のうた 』 [2021年03月29日(Mon)]


今月20日(土祝)に
東京都新宿区 K's cinema で
封切りされた 映画があります。


   



      映画「 夜明けの前のうた 」
      ― 消された沖縄の障害者 ―


1900年に施行された精神病者監護法によって
届け出をするなど
一定の要件の下で合法的に認められた
「 私宅監置 」。

この「 私宅監置 」によって
多くの精神に障がいのあるひとは
自宅の一室や敷地内の小屋などに閉じ込め、
治療も受けず、
不衛生で非人道的な環境に置かれていました。

1950年に精神衛生法が施行され、
私宅監置は禁止されることになりましたが、
しかし、近年も
家族が自宅で監禁する事件が発覚するなど
未だ、過去のものとなっていません。


この映画の監督 原義和さんは、
1960年代に
東京から医療支援で赴いた
精神科医が撮った写真と 出会います。

そこに写っていたのは、
小屋などに隔離されていた
精神に障がいのあるひとたちでした。

1950年に禁止となった「 私宅監置 」が
沖縄では 続いていたのです。

彼らの 鋭い眼光からは
なぜ 私を見ているのか、
あなたは 何者か、
何を しているのか、
そんな声が
聴こえるような気がした、と。

「 この映画は、隔離の犠牲を置き去りにし、
とてつもない人権侵害を放置している
日本社会の現状への 私なりの抵抗です 」。

そう記した、原義和監督の映画です。
 

今後の上映は、
4月3日(土)から 桜坂劇場(沖縄県)、
4月9日(金)から 京都シネマ(京都府)、
4月10日(土)から
横浜シネマリン(神奈川県)
シネ・ヌーヴォ(大阪府)、
4月17日(土)から
名古屋シネマテーク(愛知県)
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)、
4月24日(土)から
あつぎのえいがかんkiki(神奈川県)、
5月7日(金)から
盛岡ルミエール(岩手県)で 決定しています。

その他、
千葉、群馬、石川、
岡山、広島、福岡でも 公開予定です。



「 私宅監置 」の過去と
実は地続きで、形を変えた
「 私宅監置 」は、今も、そこに、在る。

過去と 向き合い、直視し、検証しなければ、
未来は 開けません。






*映画「 夜明け前のうた 」公式サイト
https://yoake-uta.com
監督:原義和
語り:宮城さつき  
音楽:白川ミナ  
歌:恵理歌  
創作舞踊:Danzatakara.  
題字:川満アンリ  
プロデューサー:中橋真紀人
制作:イメージ・サテライト
制作協力:
映画『夜明け前のうた』制作実行委員会
一般社団法人 障害者映像文化研究所  
公益社団法人 沖縄県精神保健福祉会連合会
配給:新日本映画
2020年/日本/97分/カラー

この映画は
「UDCastR」(バリアフリー字/音声ガイド)
に対応しています。

※ 京都シネマ(京都府)では、
4月11日(日)11時25分上映後、
原義和監督の舞台挨拶と、
高木俊介さん(精神科医)との
トークイベントが開催される予定です。











知ってもらう 11  [2021年03月22日(Mon)]


3月21日は、世界ダウン症の日 でした。

2006年から、
世界ダウン症連合(DSI)は
3月21日を 世界ダウン症の日と制定し、
2012年からは、
国連が 正式な国際デ―のひとつとして制定以来、
毎年3月21日の前後には
ダウン症に関する啓発やイベントなどが
世界の各地で 行われています。

日本では、日本ダウン症協会さんが
今年も 2021年版 啓発ポスター を作成配布し
全国で 掲示の協力を募ったり
イベントを配信(無料)で行ったり、
そして、全国各地でも
さまざまな取り組みが 継続して行われています。

今年は、サプライズが ありました。

世界的に有名なミュージシャン Sting (スティング)が
「 今年の世界ダウン症の日キャンペーンに
参加できて光栄です。あなたの役割を果たして、
今日から “ 雇用チェーン ” を始めましょう 」
というメッセージとともに
ショートムービーを SNS上で発表しました。




      『 The Hiring Chain 』

「 パン屋さんが
ダウン症のある シモーネを雇った、
そこで働くシモーネを見た法律家が
ダウン症のある ジョンを雇った、
事務所で働くジョンを見た歯科医が
ダウン症のある ソフィアを雇った、
その歯科医院で働くソフィアを見た農家が
ダウン症のある ケイトを雇った、
農家で働くケイトを見た理髪師が
ダウン症のある ポールを雇った…
( すべてのはじまりは )
The Baker hired Simone! 」


ダウン症のある彼ら彼女らを信頼し
貴重な戦力として雇うことで
変わっていく世界を
Sting の楽曲にのせて紹介した
この ショートムービーは、
世界で 話題になっています。

この映像を観て、
それぞれが感じたことを
個人の感想で終わらせるのではなく、
「 じゃあ、自分には 何ができるか 」を
少しでもいいので、考えてほしい。

皆さんのたずさわる仕事に
ダウン症のあるひとが加わる可能性を
考えてみてほしいのです。


現在、日本では
ダウン症のあるひとの平均寿命が
還暦(60歳)に近づき、
ダウン症のあるひとの8人に1人が
最低賃金法が適用される「雇用」に就いています。

ダウン症のある彼ら彼女らの
「 ひたむきさ 」と「 笑顔 」を知らないなんて
損していますよ。



*世界ダウン症の日 公式サイト
http://www.worlddownsyndromeday.org/












命の選択 19 [2021年03月16日(Tue)]

出生前検査について、
1999年に母体血清マーカー
(妊婦の血液でダウン症などの染色体異常がわかる)の
慎重な実施を求める見解を出してから、
20年ぶりに
新型出生前検査について 国が検討を開始した と
2019年6月に
命の選択17 で記してから 約2年。

先日、下記のような記事を 目にしました。


「 新型出生前検査に 国 関与へ
 協議体参加 検査施設 指針や認定 」
  ( 2021年3月14日付け:読売新聞 )

新型出生前検査について
厚生労働省は、国が参加する協議体を新設し、
実施施設の要件を定めた指針の策定や
施設の認定を行う方針を 決めました。

関連学会や障がい者団体も 参画し、
多様な立場の関係者の意見を 反映させることで
認定制度への信頼性を高める、とありました。

これまで、新型出生前検査については
日本産科婦人科学会の指針に基づき
日本医学会が 実施施設を認定してきましたが、
美容外科など専門外の医療機関が
指針に従わず検査を行う認定外施設は 急増し、
カウンセリング体制の不備による
トラブル報告もある現状から
国が 重い腰を上げました。

協議体は 国からは独立した組織とし、
検査の精度管理や、
妊婦への情報提供の仕組みも整える、とありました。


認定外施設は
この1〜2年で 急激に増えており、
今月1日時点で 138施設あり、
認定施設数109を上回る という調査結果が。

その中には、検査費用が安く
事前説明や 夫との面談を省略するなど
手軽さで人気の施設もある、と。

妊婦が主体的に選択できるように支援するには
事前から 検査 そして 検査結果の意味を
十分理解できるような情報提供と
カウンセリングは 欠かせません。

新型出生前検査 自体にも
まだ 議論の余地はありますが、
出産の高齢化で
検査を希望する妊婦は増えており、
国内で 年間3万6000件の
検査が行われているという推計もある現状から、
検査がどのようなものであるかを
正しく知らせる体制を整えることは 急務です。


学会任せにしない、という国の判断は
新型出生前検査における
世論の声、とくに
障がい者団体の声が届いた結果だと思います。

でも、生まれてくる子に障がいがあると分かっても
障がいのある子を
安心して産み育てられる社会が目の前にあれば
その選択は、まったく変わってきます。

障がいのあるひとの
就学、就労、親亡き後の暮らしが改善されない
現社会を変えるために必要な議論の方が
本当は 先です。

「 排除 」へ傾く社会ではなく、
「 あっていい命」と「 なくていい命」を認める社会が
出来上がらないうちに。















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