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2013年01月23日

自己実現

アメリカの心理学者であるA.マズローが、自己実現理論を唱え、以後の教育界に大きな影響を与え続けている。
マズローは「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説を立て、そこに至るまで、欠乏欲求と呼ばれる下位の欲求を満たしながら成長するという。
また「人は元来自己実現に向かう性質があり、それは本能である」とし、「その環境をつくることが即ちカウンセリングである」としたのが、同じくアメリカの心理学者カール・ロジャーズである。

この説は非常に的を射た理論で(人口に膾炙しすぎて誤解も多いが)、わかりやすく、多くの場面で指針となり得るように思う。
自然学校の目指す「人づくり」も、「自己実現的人間を作ること」と言い換えて差し支えないだろう。

しかし、経済的にも社会的にも厳しい時代と言われる現代において、ただやみくもに「自己実現」と言われても、プレッシャーにしか感じられない層が少なからずいるのが現実ではないだろうか。
不登校やひきこもりという現象は、自己実現に向かえないからこそ陥っている状態であるとも言える。
最終的な目標は「自己実現」であるにせよ、マズローの欲求段階説通りに、所属と愛に飢えている人には寄り添い、低次の承認を欲している人は褒めてあげる、ということが必要ではないかといつも考え続けている。
その見極めと対応こそが耕英寮の肝だとも感じている。

「自己実現」とは、自己に潜在する能力を最大限に引き出すことである。
ロジャーズの言うように、人間は一己一己がユニークな存在であり、それぞれの自己実現がある。普遍的にこれで良しというのがあり得ない。
だからこそ難しく、それだけに面白味もあり、そして何よりその子が楽しそうに何かに取り組み始めた時、疲れや迷いがいっぺんに吹き飛ぶほどの喜びを感じる。

S君は中断していた書道を再開した。
今朝は散歩の時に雪で滑ったボランティアさんを見て、自発的にスコップで階段を作っていた。
これがむらなく継続的にできたら、彼はもうどこへ行っても大丈夫という気がする。

いくぞう
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