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高等部からはじめまして [2021年08月21日(Sat)]
我が子は昨年、高等部に編入学しました。
編入して1年半が経ち、当初のことを驚きとともに振り返りました。

京田辺シュタイナー学校は、小学1年生から高校3年生までの一貫教育で、1学年1クラスのみ、20数名の少人数のメンバーで12年間学びます。そのうち高等部は、9年生(中学3年生)からの4年間を指します。

「中3の男子が、8年間一緒に過ごしてきたクラスに入って馴染めるのかどうか。」
編入に対して、まずはこの心配が大きかったのですが、特に印象に残る授業があります。

それは、『言葉の美学』という国語の授業です。
いったいどのような授業が行われるのか、想像がつかなかったのですが、3週間のエポック授業を終えて持ち帰ったのは、手作りの詩集でした。
そこには、自分の名前に文章を寄せて自己紹介した詩や、クラスメイトへ向けてお互いに贈る詩、願いや想像、夢などの詩に手書きのイラストが添えられ、製本されていました。

現代の中学3年の子どもがクラスメイトの異性に対して、果たしてお互いに「君は花のようだ」、「風のようだ」と、学校の授業の中とはいえど、心を寄せて美しい詩を贈れるものでしょうか。
友を大切に慈しむ純真な気持ちが言葉になって溢れていたことに、私はとても驚きました。

友の存在を、光や波や竹、あるいは宇宙に例えてイメージを表現した創作に、心豊かな感性、素直な温かさや優しさを感じ、このクラスの一員として学ばせてもらえることができ本当によかったなと、思いました。
初等・中等部での8年間、友だちとの深い関わりを体得して育ち、お互いを認め合い、それを喜びとして一緒に学んできたからこそ、新しい編入生を受け入れる時にも、心から温かく迎えてくれるのかと、胸がいっぱいになりました。息子もそんなクラスメイトに触発されて、素直で明るい自己紹介や贈る言葉を書いていたことが嬉しかったです。

反抗期や思春期で複雑な感情を、こうして美しく言葉に表現し、友から「風となれ!嵐をまきおこせ!」とエールをもらえたら、それは素晴らしく力になるなぁと感動しています。

当初の馴染めるか、などという心配はすっかり吹き飛び、毎日楽しそうに登校する姿を心から感謝して見守っています。
高等部4年間のカリキュラムは、私にとっても新鮮な学びとなり、これからの授業もとても楽しみなのであります。

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*エポック授業など、シュタイナー教育の特色はこちらをご参照ください。
Posted by 京田辺シュタイナー at 16:24 | はじめまして | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
夏休みの宿題 [2021年08月08日(Sun)]
抜けるような青い空に湧き立つ雲の峰がまぶしい。
昼寝から目を覚ますと、8年生の娘がエポックノートを広げて、地球をとりまく大気の様子をパステルで描いていた。無色の対流圏の上は、彼女好みのレモンイエローとライムグリーン、そしてラベンダーで色分けされて、下から順に成層圏、中間圏、熱圏と色鉛筆で書いてある。地球学の夏休みの宿題らしい。へー、外の夏空の上の方はこうなっているのか。わたしも習ったはずだけどな。そんなことを思いながら、宿題の1ページが仕上がるのを見ていた。

そういえば、この学校に編入して以来、子どもたちが宿題をする様子を眺めるのが、わたしの楽しみの一つになっている。5本の編み針の扱いに苦戦しながら靴下を編んでいたことや、木塊を削って作った器やスプーンを、根気よくヤスリがけしていたこともある。先生が作ってくださる誕生日の詩を唱えたり、歌や笛のパート練習をしたり、劇の台詞を覚えたり、宿題はさまざまだ。

植物のロゼットを探す宿題が出たときや、俳句作りの宿題が出たときは、5年生だった娘と近所の畦道を散歩した。地面に張り付いて冬越しする葉は、個々に美しい色と形をしていた。それまで目にしていたはずだけれど、見ているようで見ていなかったのかもしれない。さえずりながら空に溶け込んでいく雲雀を一緒に見た。声を頼りに見つけっこするのが楽しかったらしく、娘はそれを俳句に詠んだ。

この学校へきて、娘たちは新しい世界と出会い、わたしは世界と出会い直している気がする。量が多いと嘆く彼女たちをよそに、わたしはこの夏休みの宿題も楽しみにしている。  h


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Posted by 京田辺シュタイナー at 10:30 | 生活 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)