海上モーダルシフト利用促進セミナー開催報告
令和4年10月11日(火)福岡市において「海上モーダルシフト利用促進セミナー」を開催しました。
本セミナーでは、九州発着の長距離フェリー及び内航RORO船の11社が一堂に会し航路概況等を説明する機会として全国で初めてとなりました。その概要を報告いたします。
〇 日 時 令和4年10月11日(火) 13:30 〜 14:45
〇 会 場 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
〇 主 催 (公財)九州運輸振興センター、九州運輸局、九州トラック協会
九州長距離フェリー協議会
〇 後 援 JR九州
〇 説 明 九州発着の海上輸送サービスの案内
説明事業者 オーシャントランス梶A東京九州フェリー梶A阪九フェリー
名門大洋フェリー梶A潟tェリーさんふらわあ、宮崎カーフェリー
商船三井フェリー梶A日本通運梶A近海郵船梶A川崎近海汽船
マルエフェリー
〇 モーダルシフト支援施策の紹介
説明者 九州運輸局 交通政策部 環境・物流課長 小山 充 氏
〇 参 加 者 135名
〇 資 料 @九州発着長距離フェリー、内航RORO船航路概要(11社)
Aモーダルシフト支援施策について
〇 セミナー概要
【主催者挨拶】
鈴木九州運輸局長から、トラック事業が抱える課題として、トラック運転手不足への対応があり、特に時間外労働の上限規制が令和6年4月から適用される「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっている。トラック事業における働き方改革を進め、労働環境・労働時間の改善が求められる。また、環境問題への対応として、温室効果ガスの排出量を削減し、カーボンニュートラルを推進する必要がある。さらに災害時の物資輸送への対応として、災害時に陸上輸送の継続が困難となった場合に、海上航路が救援資材や支援物資等の輸送に大きな役割を果たすことが期待されている。
このような様々な課題へ対応するため、長距離フェリーや内航RORO船など海上輸
送の活用を図る「海上モーダルシフト」は極めて有効であると考えている。九州は関東、関西向けに多くの長距離フェリーや内航RORO船が就航しており、特にここ数年は、船舶の大型化が計画的に進められ、自動車航送能力が増強されるなど、海上モーダルシフトを進めるための環境が整っている。
本日のセミナーで、荷主やトラック事業者にフェリー航路や運航ダイヤ、トラック積載台数など知っていただき、その活用に向けて検討いただく貴重な機会になると考えている。との挨拶がありました。
【九州発着長距離フェリー、内航RORO船航路概要等】
九州を発着する長距離フェリー事業者6社、内航RORO船事業者5社から、船舶概要、運航航路・ダイヤ、積載能力、電源設備、船内設備、予約サービスやその他自社で特に提供するサービスなど各社から資料に沿って説明がありました。
【モーダルシフト支援施策について】
トラックドライバーの働き方をめぐる状況では、少子高齢化の影響などでドライバー不足が喫緊の課題となっている。2024年度からトラックドライバーに関する時間外労働の上限規制が罰則付きで適用され、これまでの輸送が出来なくなる恐れがあり、特に市場から距離のある九州では大きな影響があると思われる。
そのためモーダルシフトの対策を推進し、早急に物流の効率化を図ることは有効な対策の1つとなる。さらに2050年までにカーボンニュートラルの実現達成という政府の大きな目標がある。この目標達成に向けてもモーダルシフトの推進が必要となってくる。
このような中、政府は昨年6月に新たな「総合物流施策大綱」を閣議決定した。この大綱では「簡素で滑らかな物流」、「担い手にやさしい物流」、「強くてしなやかな物流」の3つを柱とし取り組むべき施策を実施しているが、モーダルシフト推進も施策の大きな柱となっている。
物流効率化、モーダルシフト等を推進するために物流総合効率化法が制定され、モーダルシフト等の取り組みを実施するにあたり国として支援策、補助制度が定められている。
具体的なモーダルシフト等推進事業は、計画策定経費の補助として、物流の効率化を始めてみようと思う意欲のある荷主・運送業者に対して、その方法を検討する会議の開催経費や試験的な運行を行うためのトライアル経費等を補助するもの。運行経費補助として、物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定を受け、その計画に基づきモーダルシフトや幹線輸送の集約化を行う事業者に対し、初年度の運行経費の一部を補助するもの。効率化を進めたいが、コストアップの懸念を抱いて転換を迷っている荷主や運送事業者に、国が経費の一部を支援し転換に踏み切りやすい環境を提供するもの。
物流総合効率化法の計画認定状況は、令和3年度末までにモーダルシフト事業として全国104件、そのうち九州が起終点となる計画は43件で、九州に関係する計画は全体の41%に当たり、九州でモーダルシフト推進の必要性がわかる結果となっている。
令和4年度は5月10日から6月10日の1ヵ月間で募集が行われ、九州管内では計画策定経費補助が1件、運行経費補助が2件採択されており、毎年事業認定されている との説明があった。その後、認定事業の例が資料により解説があり、環境負荷の低減効果が大きく、また長距離ドライバーの負担軽減など働き方改革に繋がる省力化の効果も大きいということが認定の重要な点だと説明されました。

〇 その他
セミナー後、長距離フェリー事業者、内航RORO船事業者とトラック運送事業者において、セミナー時に説明できなかった詳細情報の交換が行われていました。
この機会を通じ「海上モーダルシフト」への転換が進み、労働環境・労働時間の改善、環境問題への対応が一層促進されることを期待するところです。