(公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第21回海事振興セミナー」を、九州運輸局、九州地方海運組合連合会との共催により、令和3年4月21日(水)に福岡市において開催いたしました。
講演ではまず、国土交通省海事局の秋田未樹内航課長から「令和の時代の内航海運に向けて」をテーマに、内航海運の現状や内航海運暫定措置事業が令和3年8月に事業終了することなどの説明に続き、2020年9月に公表された「令和の時代の内航海運に向けて(中間とりまとめ)」を全体像として、荷主のニーズに応え、内航海運の安定的輸送を確保するため、「労働時間管理の適正化、多様な働き方の実現」、「船員の労働時間を考慮した運航スケジュール設定などオペレーターの関与」、「遠隔監視を前提に船舶の定期検査を簡素化」などを総合的に実施することを取りまとめたと説明されました。
この取りまとめを踏まえて、造船法、海上運送法、船員法などの法律は改正中で、事業基盤強化計画認定制度では生産性向上や事業再編等の支援、特定船舶導入計画認定制度では安全・低環境負荷で船員の省力化に資する高品質な船舶の導入に支援が受けられ、内航海運業法改正では、荷主・オペレーターに船員の労務監理に係る配慮を求める仕組みを設け契約内容を「見える化」することで適正な運賃・用船料の収受につなげる。など説明され、各法律の施行時期は、公布後3月以内から2年以内となる見込みであることが説明されました。
次に、ITec Marin株式会社の石川和弥社長から「ITを活用した船員採用と人材育成の取組み事例」として、船員採用と人材育成の課題を整理するため、半年間に渡り船員や海運業者からヒアリングを行い現状把握した結果等を含め紹介があった。海運業界は社会的役割の大きさに比べて認知度が低く知られていない。特に船乗りや海運会社に就職を考える、中・高・大学生に対し、ITを活用し、業界の認知度向上に取り組んでいる。テーマは「わかりやすく」、「見やすく」、「面白くて」、「手軽」で、スマホで見られる動画に注目して発信していることなどが説明されました。
最後に、日本無線株式会社情報ビジネスグループの池山智道氏から「海運情報化時代のJRCの取り組み」として、船舶の安全・高効率化運航に向けて、船陸間通信、船内IoTサーバー、クラウドサービスなどデジタル化の基盤となるインフラの技術開発、「船の見える化」の取り組みとして、VDR、船内IoTサーバー、クラウドプラットフォームを活用した船内情報の収集、船舶情報の陸上への伝達と陸上での管理、陸の気象情報の船舶への提供、収集した船舶の機器情報をJRCで監視、蓄積データの解析を行い、通信でシステムアップデートを可能とするなどが説明されました。
今回のセミナーには、内航事業者、旅客船事業者をはじめ海事関係事業者55名及びオンライン視聴者77名に参加いただきました。
参加者からは、内航海運の今後に動きが良く理解できた、船員の採用にあたって今後の方向性にヒントになった、長期的な視野では船の自動運行につながる話だ、など、参加された皆様には今後の取り組みなどに大変参考になる有意義なものとなりました。




