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九州経済圏における交通及び観光の振興と近代化を図るための事業を行い、もって地域経済の均衡ある発展に寄与し、あわせて民生の安定に資することを目的として、調査研究事業、施設整備事業、その他広報啓発等事業を柱に活動しています。

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第65回九州運輸コロキアム開催報告[2024年12月24日(Tue)]
               第65回九州運輸コロキアム開催報告

 令和6年10月11日(金)、福岡市において第65回九州運輸コロキアムを開催しましたので、その概要を報告致します。

  〇 日 時 令和6年10月11日(月) 13:30 〜 15:30
  〇 会 場 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階 YAMAKASA
  〇 主 催 公益財団法人 九州運輸振興センター 
  〇 後 援 JR九州
  〇 プログラム
    基調講演  講 師:中村学園大学大学院流通科学研究科 特任教授 星野裕志氏
          テ−マ:「カーボンニュートラルに向けた九州の港湾対応」
    事例発表1  講 師:株式会社商船三井さんふらわあ 特別顧問 赤坂光次郎氏
          テーマ:「脱炭素化へ向けた取り組みについて」
    事例発表2 講 師:東京九州フェリー株式会社 取締役営業部長兼新門司支店長 寺田光徳氏
          テーマ:「海の高速道路〜モーダルシフトの受け皿に〜」

  〇 参 加 者 51名

  〇 開催概要
 基調講演では中村学園大学大学院流通科学研究科、特任教授の星野裕志様より、カーボンニュートラルに向けた取り組みの状況と九州の戦略等について講演いただきました。事例発表として、株式会社商船三井さんふらわあ特別顧問の赤坂光次郎様よりLNG燃料フェリーの導入の取り組み等について、また、東京九州フェリー株式会社取締役営業部長兼新門司支店長の寺田光徳様よりモーダルシフトに向けた長距離フェリーの役割や取り組みについてご講演いただきました。


【基調講演 星野講師: カーボンニュートラルに向けた九州の港湾対応】
 船舶も少なからず温室効果ガスを排出しており、地球規模の気候問題解決のため、「2050年国際海運のカーボンニュートラル」を目指し、海運各社が取り組みを始めている。しかし海運業界では新燃料への転換のあり方は各社がばらばらの動きをしており、足並みが揃っていない。現時点では多様かつ不透明な状況であるが、今後の趨勢をみながら九州域内の環境整備が求められることとなる。九州の国際競争力維持と向上には、カーボンニュートラルに向けた対応力強化が重要との問題意識が示された。
 国際競争力向上に資することが期待される九州域内の港湾には、「2050年国際海運のカーボンニュートラル」達成に向けた海運各社の取り組みに対して、次世代燃料への転換(燃料供給、備蓄、作業他)など適切な対応力強化のための環境整備が求められる。対応を誤ることによって、ポストパナマックスのコンテナ船が寄港先から外れるということと同様の事象が生じることが予想される。このようなことから、カーボンニュートラルは世界の潮流であるとともに、九州にとって重要な課題として認識される必要があるとの指摘があった。
 近況として、2024年問題で課題が露呈したトラック輸送から大量輸送機関である船舶や鉄道へのモーダルシフトが増えて来ている。働き方改革や環境問題への対応といった社会的課題を考えると、フェリー・内航船のカーボンニュートラルへの取り組みは不可避である。また、長距離輸送において、モーダルシフトに向けた新たな燃料供給や港湾オペレーションの変革は必須であり、船舶や港湾に限定しないサプライチェーン全体の対応が求められていると述べ、講演を締め括られました。

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【事例発表1 赤坂講師: 脱炭素化へ向けた取り組みについて】
 商船三井グループが2050年までのネットゼロ・エミッション達成に向けた環境ビジョンについて触れ、脱炭素化に向けた取り組みとして、LNGほかメタノールやアンモニア、バイオディーゼル、電池、水素などの代替燃料船の開発、導入状況について報告があった。
 lNGについては、実用可能な低排出燃料との認識のもと積極的に活用しており、大阪〜別府を結ぶ大型LNG燃料フェリーを例にメリット、課題について説明された。
LNG燃料フェリーのメリットとしては、環境性能が抜群で、ほぼ無臭・無色の排気であること、燃焼生成物が少ないといった点が挙げられるが、その一方で、導入や運航でのコストが高く、船員の技能取得や船舶への燃料供給面での課題がある。燃料供給については、現在、Truck to Ship方式であるが、燃料供給の頻度や燃料補給作業に従事する者には資格が必要といった点なども考慮し、将来的にはLNGバンカリング船を利用したShip to Ship方式への変更を検討している。
 また、運送業界のカーボンニュートラルを考えた時にLNG燃料フェリー利用によるCO2削減効果は大きいことから、大洗〜苫小牧航路に2隻投入予定。これらの船舶には推進効率を高めた高性能エンジンや省エネ装置などの新技術を採用、トラックの積載台数も増加となる。低速エンジンとすることで低燃費となり、深夜便として就航し、物流中心の船となる。フェリーの利用は脱炭素、2024年問題への解決策として有効であり、フェリーのシェアがこれからますます拡大していくものと予想される。
 商船三井グループでは今後も脱炭素、低炭素化実現に向けたクリーン代替燃料の導入を推進していきたいと述べられました。

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【事例発表2 寺田講師:海の高速道路〜モーダルシフトの受け皿に〜】
 本年3月まで猶予されていた「働き方改革関連法」の自動車運転業務への適用が4月に開始されたことを受け、2024年問題のポイントや改善基準告示の内容、ドライバーの現状について説明があった。時間外運行の減少や物流コストの上昇がドライバー、運行会社、荷主に及ぼす影響について解説された。              
 2024年問題への社会的注目が高まる中、こうした課題を解決するための方策の一つとして海上モーダルシフトが進んでいる。長距離フェリーを活用することのメリットとして、有人車航送の場合、フェリーの乗船時間は休息時間として取り扱うことができる。また、定時性に優れており、事故や渋滞に巻き込まれることがなく、事故率の低下にも繋がるといった点について紹介があった。
 無人車航送の場合では、トラックドライバーの賃金、燃料費、高速道路の利用料が削減でき経済合理性で優位である。軽トラックから大型トレーラなど様々な種類の車両の積載が可能であり、荷崩れ・荷痛みも少なく輸送品質の面でも優れている。環境問題が地球規模の課題となる中、海上輸送への転換は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みであり、長距離フェリーは地球環境にやさしい輸送機関と言える。さらに、大規模な自然災害が発生した際の代替輸送機関としても役割も担うことができる。
 今後もモーダルシフトの受け皿としての役割をしっかりと果たしながら環境問題に取り組んでいくと述べられました。   

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 気候変動問題への対応が全産業的に求められる中、海事・海運分野におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みは重要です。今後もこうしたコロキアムやセミナー等の機会を通じ、海運、物流、造船・舶用などの事業者はもとより、カーボンニュートラルの実現に向け取り組みを進めておられる方々にとりまして、参考となるような情報を提供して参ります。

Posted by 九州運輸振興センター at 15:08 | コロキアム | この記事のURL

第65回九州運輸コロキアム開催について[2024年09月12日(Thu)]
               第65回九州運輸コロキアムのご案内

 この度、(公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第65回九州運輸コロキアム」を下記により開催致します。
 2050年のカーボンニュートラルに向け、交通運輸分野においてはトラック輸送の効率化のほか、モーダルシフトの推進、カーボンニュートラルポートの形成促進、鉄道・船舶・航空機の脱炭素などを推進するとされたことから、各モードにおいて脱炭素化に向けた燃料転換等、さまざまな取り組みが進められているところです。
 本コロキアムでは、中村学園大学大学院、特任教授の星野裕志氏より「カーボンニュートラルに向けた九州の港湾対応」について、(株)商船三井さんふらわあ、特別顧問の赤坂光二郎氏より「脱炭素化へ向けた取り組みについて」、東京九州フェリー(株)新門司支店長の寺田光徳氏より「海の高速道路〜モーダルシフトを受け皿に〜」についてご講演頂きます。目標達成に向けた取り組み方策や進め方、課題、展望等の意見交換や質疑応答なども行い、交通分野におけるカーボンニュートラルについて考えられている方々にとって、有益な講演となっております。ご関心をお持ちの皆様には、ぜひご参加を頂きますようご案内申し上げます。
 なお、会場の都合等がございますので、ご参加の申し込みは10月9日(水)までに下記要領にてお願いいたします。

                       記
       ○日  時 : 令和6年10月11日(金)13:30 〜15:30
       ○会  場 : オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階 YAMAKASA
       ○講演等の概要
        <基調講演> 
         テーマ:「カーボンニュートラルに向けた九州の港湾対応」
         講 師:中村学園大学大学院流通科学研究科 特任教授 星野裕志様 
        <事例発表1>
         テーマ:「脱炭素化へ向けた取り組みについて」
         講 師:株式会社商船三井さんふらわあ 特別顧問 赤坂光次郎様 
        <事例発表2> 
         テーマ:「海の高速道路〜モーダルシフトを受け皿に〜」
         講 師:東京九州フェリー株式会社 取締役営業部長兼新門司支店長 寺田光徳様
        <意見交換> 会場参加者を交えた自由討論

       ○申  込  お電話をいただくか、または当センターホームページのお問合せ
            フォームにて、 通信欄に「セミナー参加希望」と明記して、会社名・
            住所・電話番号・参加される方の役職名及びお名前を記入の上、令和
            6年10月9日(水)までに、お申し込みください。
           (参加無料、セミナー参加人員70名)


★お問合せ先
  公益財団法人 九州運輸振興センター
  TEL 092-451-0469  FAX 092-451-0474

Posted by 九州運輸振興センター at 15:54 | コロキアム | この記事のURL

第64回九州運輸コロキアム「離島航路の現状と課題」開催報告[2022年12月13日(Tue)]
          第64回九州運輸コロキアム「離島航路の現状と課題」開催報告
            −離島航路の改善は離島住民との合意形成が不可欠−

 令和4年10月24日(月)、福岡市において第64回九州運輸コロキアムを開催しましたので、その概要を報告致します。

  〇 日 時 令和4年10月24日(月) 13:30 〜 15:00
  〇 会 場 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階
  〇 講 師 九州産業大学 地域共創学部 地域づくり学科 講師 行 平 真 也 氏
  〇 テ−マ 離島航路の現状と課題
  〇 参加者 92名(会場参加者41名、オンライン参加者51名)
  〇 開催概要
 大黒伊勢夫氏「九州運輸コロキアム等実行委員長」の主催者挨拶及び鈴木史朗氏「九州運輸局長」の来賓挨拶の後、行平真也氏「九州産業大学講師」による講演が行われました。

『講演』
 離島航路は、本州・九州などの本土に附属する島である離島及び、離島と離島を結ぶ手段として全国に291の航路があり、離島住民の移動手段や物資の輸送を支えている。
陸上の多様な交通システムに比べて、離島への移動手段は航空路を除けば「船のみ」で、離島にとって船より大切な交通手段はなく、特に物資の輸送は航空路があっても船によるところが大きく、航路は島の生活に必要不可欠である。
 このため国では「海上運送法」「離島航路整備法」「(旧)国内旅客船公団法」の制定により、離島航路の維持改善に努めてきた歴史がある。特に島民の生活のため航路確保維持は重要となってくる。そのため赤字航路である126航路の離島航路に対し運営費補助として、欠損見込額全体の1/2を補助し、住民の大切な移動手段として国等が支えていることが説明されました。

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 次に離島航路の現状として、離島の人口は年々減少傾向にあり、昭和50年は120万人であったが現在は半減しており、2019年4月では全国離島住民が約61万人となり、今は60万人を下回る状況にある。九州でも平成27年に31万人であったが現在30万人を下回っている。
 離島航路は全国で291航路あり、全国の約30%の85航路が九州の航路となっている。またその内、国庫補助航路となっているのは全国126航路、九州では約40%の50航路が国庫補助航路となる中、島民生活を支えている。全国の国庫補助航路推移は横ばいが続くが、九州では最近4航路が補助航路として新たに指定されている。
 補助航路の乗客数の推移は減少傾向であり、津久見市保戸島航路を事例として、島の人口減少は離島航路の乗客減に直結することが紹介されました。離島航路の現状は、深刻な少子高齢化、進学・就学に伴う人口減少による輸送人員の減少によるもので、航路運営事業者や地方公共団体にとって厳しい経営環境であり、航路の維持が困難となっている。しかし代替えの交通手段がなく、航路なしでは島民の生活が出来なくなることから廃止は絶対にできない。また、コロナ前は離島人口の減少分を観光客で補おうと観光振興に力を入れる島も多かったが、コロナ禍においては渡航自粛を呼びかける島も多く、利用者数の減少が著しく、事業者の経営はますます厳しくなっている状況が説明されました。

 個別航路の事例では、北九州市の小倉〜藍島、馬島航路の新型コロナ感染症拡大初期の離島航路の状況として、地域の特徴を生かし観光客の利用が多い航路であったが、観光客への来島の自粛や親族などの帰省の自粛により利用者が4割まで減少した事例が紹介されました。

 また、直近話題となったのは2022年10月に津久見市の保戸島航路が、民営から市営に転換を図った事例である。
 マグロで有名な保戸島だったが、人口減少と相まって高齢化が進み、輸送実績も減少傾向であった。そうした中、2021年5月に経営者の高齢化と船員不足により、航路事業者が撤退を表明したため、2021年7月15日に津久見市は同航路の運航に係る新規事業者の公募を実施したが、応募する事業者がなく津久見市が市営(運航は以前からの会社に委託(2024年9月末まで))として運営することとなった。
 航路運営に際しては、サービス基準の変更を行い、運航回数を「6往復/日」から「3往復/日」に減便、始発地を保戸島港から津久見港に変更した。しかし、2024年10月1日以降の運航体制は未定であることから、存続するために如何していくかが今後の課題であることが説明されました。

 最後に、今後の航路維持のための方策として、観光などによる交流人口の増加への取組み、部分的なデマンド運航の導入、燃料費や修繕費など船舶にかかるコスト削減や船員不足など対応ができる可能性がある小型船舶の導入などが考えられる。しかし、航路によって状況が異なっていることから、これら航路維持のための方策が、どの航路にも適用できるわけではない。例えば、海域や定員によっては既存の船舶を小型船舶に置き換えることが困難な場合もある。さらに船員確保の問題も大きくなっており、多くの離島航路の始発地が離島側にあるため、離島に住まなければいけないという問題もある。
 人口減少・少子高齢化において離島航路は厳しい状況に置かれているが、離島住民にとって欠かすことの出来ない交通手段であり、その維持・確保は最優先事項となっている。今後の航路改善に際しては、離島航路の最大の受益者である離島住民に対する丁寧な説明と合意形成が必要である。と締めくくられました。

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Posted by 九州運輸振興センター at 16:34 | コロキアム | この記事のURL

第64回九州運輸コロキアム「離島航路の現状と課題」開催のご案内[2022年10月04日(Tue)]
          第64回九州運輸コロキアム「離島航路の現状と課題」開催のご案内

 この度、(公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第64回九州運輸コロキアム」を下記により開催致します。
 九州地域の有人島は108島と全国416島の35.5%を占め、これら島への交通手段は多くの場合船を使ったもので、航路数は85航路と全国291航路の29.6%を占めています。
 また、赤字を国や地方自治体が補てんする国庫補助航路は、50航路で全国126航路の39.7%を占め、国庫補助事業者数は43者で全国112者の38.4%を占めています。
 このように離島が多い九州において、離島航路は人の移動に欠かせない交通手段であるものの、人口減少に伴う運賃収入の減少による運営状況の悪化、少子高齢化に伴う乗組員の確保難など、今後の運営に課題を抱えています。
 こうした状況を踏まえ、離島航路の研究をしている九州産業大学、地域共創学部地域づくり学科講師の行平真也氏をお招きし、「離島航路の現状と課題」をテーマにご講演頂きます。
 今回のテーマは、離島航路の運営に携わる皆様、航路維持にご協力をいただく皆様、離島航路を利用される皆様にとりまして、今後の事業の在り方などに直結した大変有意義な内容になっておりますので皆様のご参加をお待ちしております。


                        記

日  時 : 令和4年10月24日(月)13:30 〜15:00
会  場 : オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階
        福岡市博多区博多駅中央街4-23  TEL 092-461-2091
講  師 : 九州産業大学 地域共創学部 地域づくり学科 講師 行 平 真 也 氏
テ − マ : 「離島航路の現状と課題」
参 加 者 : 約50名(参加無料) Zoomによるオンライン配信も併用します。
参加申込 : お電話をいただくか、または当センターホームページのお問合せフォームにて、通信欄に「企業強化セミナー参加希望」と明記して、会社名・住所・電話番号・参加される方の役職名及びお名前を記入の上、令和4年10月21日(金)までにお申込み下さい。

※オンラインでの視聴希望の方は、下記のQRコードまたはURLよりお申し込みください。後日、視聴用URLをメールにてご連絡します。
なお、自由討議の時間での発言は会場参加者のみとさせていただきます。

【申込フォーム】 https://forms.gle/rcorGh1kLdAqeBZE7

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Posted by 九州運輸振興センター at 18:05 | コロキアム | この記事のURL

運輸・観光 女性活躍促進セミナー(令和4年3月18日開催)報告[2022年04月06日(Wed)]
              運輸・観光 女性活躍促進セミナー開催報告

 令和4年3月18日(金)、福岡市において「運輸・観光 女性活躍促進セミナー 〜女性活躍の一層の促進に向けて〜」を九州運輸局との共催により開催しましたので、その概要を報告致します。
   〇 プログラム
    ・基調講演 
      @『女性採用に向けた事業者の意識改革』
      講 師:一般社団法人女性バス運転手協会  代表理事 中 嶋 美 恵 氏
      A『観光における女性の力』
      講 師:大正大学社会共生学部公共政策学科 教 授 柏 木 千 春 氏
      B『女性採用活動におけるポイント』
      講 師:潟潟Nルートジョブズリサーチセンター センター長 宇佐川 邦子 氏
      C『女性活躍のための環境整備に向けて』
      講 師:厚生労働省 福岡労働局 雇用環境・均等部 部 長 室 谷 留 美 氏
    ・全体討論
        
   〇 参加申込 会場36名、オンライン視聴115名

   〇 講演概要

@『女性採用に向けた事業者の意識改革』
 バス運転手不足の原因として、高齢化「団塊の世代退職の10年問題(2007年に団塊の世代が60歳に達し、2022年に75歳。団塊世代ジュニアが現在50歳で10年後に定年)」や中高年の男性に偏った採用であり、改善のポイントは「若者と女性の採用」にある。しかし、応募は未経験の中高男性からがほとんどで、若者や女性のバス運転手のなり手は少ない。
 バス運転手に必要な大型二種免許所有者は、約6割が60歳以上で、男性833,000人に対し女性は15,000人、2019年と2020年の比較では男性が3000人減少し女性は34人増加している。
 女性バス運転手への懸念として「運転が苦手」、「ステアリングが重いのでは」、「MT車は無理では」などが言われているが、逆に運転が得意で好きな人もいれば、バスもAT車が増えるなど状況は変わってきており、女性運転手のイメージも、運転がソフト、アナウンスが優しい、お年寄り・子供たち、からだの不自由な方から評判が高いなどとなっていると説明されました。
 また、運転手の募集にあたって、ポスターを張って応募する従来型とネットによる求人など二極化しているが従来型では応募が少ないのが現状、バス運転手の採用を増やすには、積極的に女性を採用する意識改革が必要であり、また、バス運転手未経験者でも幅広く採用し自社で研修を進め育てることが重要であることなどバス業界の現状が説明されました。

中嶋講師.png

 最後に女性を採用するにあたって、女性用設備は年齢・状況を問わず必要であるが、平均的な女性の生涯を考慮すべきで、初婚30歳、第1子出産31歳、32〜38歳子供が保育園、38歳〜44歳子供が小学校、44歳子供が中学校となり、子供が中学生以上であれば男性と同じよう勤務が可能となるため、この年齢を中心に採用を進める必要性を説明されました。


A『観光における女性の力』
 観光統計データから女性は観光旅行市場を創造している存在であり、全就業者数に占める女性の比率は、男女雇用機会均等法の施行以来増加傾向にあり、平均初婚年齢、第一子出産平均年齢が遅くなっている。しかし、逆に経験値を持っている人が増えていることが言え、また子育て期間でも働きたい人が増えているなど観光地域づくりに活かせる女性の資質と経験が高くなってきていることが説明されました。
 女性は、「働きたい」「学びたい」「誰かのために行動する」といった意欲が地域活性化の原動力になるととらえられており、女性の特性として、情動、感情が豊か、感情を伝えるのが上手い、情緒的な出来事をよく覚えている、ながら仕事が得意などの能力が男性より高い。また、「つながり」「謙虚」「素直」「忍耐」「共感」「信頼」「寛容」「柔軟性」「弱さ」「調和」など女性的な資質がリーダーシップとして優れていると言われており、女性と男性には身体的な構造上、「性差」はあり、社会的・文化的背景も影響するが、差や女性的な資質に目を向けることで、女性の活躍だけでなくイノベーションを生む機会に繋がるのでと説明されました。

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 最後に、女性の資質と経験を活かすには、観光地域づくり法人などにおいて積極的な役員の登用を図ることにより変革型・女神型リーダーシップを発揮することにつながり、また、戦略会議・理事会などで発言の機会を創出することで、平和的な関係づくり、共感力を活かした機会が増えることにつながる。また、観光地域づくりに関わる女性を増やすためには、活躍の場は沢山あるが経験・知識・スキルを持った人を特定し、その人たちを誘い出し見つける機会を沢山つくり、その人達が活躍できる柔軟な時間設定するなどを支援すればダイナミックな事業に繋がっていくと考えていると締めくくられました。


B『女性採用活動におけるポイント』
 有効求人倍率はリーマンショック時(2009年)に0.47倍まで悪化したが、コロナ禍でも1倍を超えたままで失業率もリーマン時5.1%まで悪化したが、コロナ禍でも3%を割っていない。離職率でもリーマン時5.1%から減少し2019年が底で2021年11月は2.8%で人余りではない。産業別雇用者の2019年及び2021年7−9月の対比でも宿泊・飲食で50万人減少したが、医療福祉・情報通信等では68万人増加しており、失われる雇用部分を吸収する産業があるなど労働市場全体の説明がありました。
 しかし、人手不足感はコロナ禍でも一時改善したが現在では悪化して来ており、人口減少、若年人口の激減、高齢化の構造的な課題が原因で、労働人口は30年間で1割減り、29歳以下は4割減り、2030年にはシニアも減少する状況にある。
この人手不足解消のためには、働く女性を増やす、働くシニアを増やす、外国人を増やす、生産性を向上させることが解消のポイントである。特に女性を増やすためには働いていない既婚女性180万人に働いてもらうことが必要で、そのために働く時の不安要素を解消しなければならない。中小企業では人出不足・育成難を4割以上が考えており、2022年注力したい分野でも人材確保・育成を過半数の企業が考えていることの説明がありました。
 次に、求職者の意識として仕事探しの重点に考えているのは、勤務日数、勤務時間、勤務地で、女性6割、男性で4割が重要視しており、賃金より働き続けられる勤務時間や確実な休日取得など考えている。33歳以下の初職離職理由も、勤務時間・休日、心身負担、やりたい仕事ができないというのが原因となっている。
 また、勤務時間も新入社員の残業時間の許容範囲は、1か月残業31時間はOKが約3割、20時間までが男性1/3、女性2/3で、若者の勤務時間の理想は1日7時間であり、女性の場合は6時間程度を希望する者が多く、正社員も7時間までが希望であり、勤務時間7時未満、残業なしの求人の効果は大きいとの解説がありました。
 ドライバーの実態では、求職者がドライバーを希望するケースは男性でも低いが女性はさらに低くメカニックも同様である。一方、避けたい職種として男性ではドライバーは3割、メカニック2割、女性ではドライバー5割、メカニック4割程度となっているが、職種として認知されていないことも要因として考えられる。また、ドライバーが離職した理由の上位は、仕事がきつい、体力的にきつい、時間が長い、残業が多い、休日が少ないが上位で、給与に関しては現状より今後期待できないことの理由が大きい。現在働いている人が改善してほしいところは、人員増、有給休暇、残業減、シフトを変えてほしいなど負荷軽減と評価、スキルアップ、適材配置の環境改善が上位となっており必ずしも賃金が要因ではなく働くことを如何に柔軟にしていくかが大事であることが説明されました。

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 最後に、職員の採用には「勤務日数・時間」と「心身負担軽減」への対応が大切であり、これがうまく改善することによって、女性に限らず若者の離職・転職防止に繋がり、採用力が上がることに繋がることを考えると、「女性だから」「女性は特別」と考えるのではなく各社の従業員全員にメリットがあることだと考えていただきたい、これからの少子化で若手の採用が益々難しくなる中、いかに若者を採用するかを考えるとき避けて通れないことであると締めくくられました。


C『女性活躍のための環境整備に向けて』
 女性活躍促進法は女性能力を十分に発揮してできる社会とするため平成28年に施行された。今般、一部改正され、@常用労働者301人以上から101人以上の事業主に一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大、A女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化、
B女性活躍に関する取り組みが特に優良な事業主への「プラチナえるぼし」の創生が図られ令和4年4月1日から施行されたことが報告されました。
 行動計画では、@採用、就業継続、労働時間等、管理職の割合など自社の女性労働者の「活躍状況の把握」と「課題の分析」、A1つ以上の数値目標を定めた行動計画の策定、社内周知、公表、B行動計画に策定した旨の都道府県労働局への届出、C女性の活躍に関する1項目以上の情報公表など事業主の責務と行うべき具体的内容が説明され、また創設される「プラチナえるぼし」では商品や求人広告等に付けることができ、企業イメージ向上や優秀な人材確保などが期待でき、福岡県内では38社が認定を受けていることが説明されました。
 また、男女雇用機会均等法の性差別禁止の順守にとどまらず、企業における男女差別解消を図るため、女性の能力発揮を図るために個々の企業が進める自主的かつ積極的な取り組みとして「ポジティブアクション」が説明され、女性活躍を雇用管理上の施策と考えず経営戦略ととらえ継続した取り組みを期待するもので、具体的には募集・採用、職域拡大、登用、継続就業、環境整備・風土改善をテーマとして各社での取り組み進めてほしいことが説明されました。

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 さらに、改正育児・介護休業法に基づく取り組みとして、令和4年10月1日から実施され育児休業を取得しやすい雇用環境整備、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、産後パパ休の創設、育児休業の分割取得など法制度を中心に説明がされました。



会場全体.png
会場全体

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全体討論(モデレーター:長ア真友子氏)

 今回のセミナーでは、色々な視点で女性活躍の一層の促進に向け取り組まなければならない課題を講演いただき、女性が志望する職場こそ若者や男性も希望する職場基盤であると感じました。このセミナーが女性の活躍、企業基盤の構築に資することを期待します。

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「運輸・観光 女性活躍促進セミナー」開催のご案内[2022年02月25日(Fri)]
            「運輸・観光 女性活躍促進セミナー」開催のご案内
           

 この度、(公財)九州運輸振興センター及び九州運輸局は、福岡市において共催による「運輸・観光 女性活躍促進セミナー 〜女性活躍の一層の促進に向けて 〜」を以下の通り開催いたします。
 政府が推進する働き方改革の実現のため、多様な人材の活用が注目される中、女性の活躍が重要な課題と位置づけられており、交通政策基本計画では交通事業における女性労働者の人材確保の目標数値が掲げられています。
また、女性が輝く社会を目的とした「女性活躍推進法」も平成28年4月に成立し、各施策も順次進められているところです。
 本セミナーでは、中小企業も多い運輸・観光事業者を主たる対象として、職場の働き方改革や女性にとってより快適かつ安全な職場環境の創出、女性職員の採用拡充やキャリア形成支援・登用の拡大といった女性の活躍を、より一層促進するための各種取組の最新状況に関して4名の講師をお招きいたします。
 業務ご多忙の折ではございますが、多くの方にご参加頂きますようご案内申し上げます。


〇日  時  令和4年3月18日(金)13:30〜16:00(13:00開場)

〇会  場  TKPガーデンシティ博多 新幹線口「プレミアムホール」
       福岡市博多区博多駅中央街5−14 福さ屋本社ビル5階


〇プログラム
  第1部 基調講演
      @女性採用に向けた事業者の意識改革
       (一社)女性バス運転手協会 代表理事 中嶋美恵氏
      A観光における女性の力
       大正大学社会共生学部公共政策学科 教授 柏木千春氏
      B女性採用活動におけるポイント
       (株)リクルートジョブズリサーチセンター センター長 宇佐川邦子氏
      C女性活躍のための環境整備に向けて
       厚生労働省福岡労働局雇用環境・均等部 部長 室谷留美氏
     
  第2部 意 見 交 換
       モデレーター:(株)Cheering 代表取締役 長ア真友子氏


〇定  員   40名(参加無料)オンライン配信も併用します。
※新型コロナウィルス感染防止対策のため定員になり次第締切らせて頂きます。

〇参加申込
 ◆会場参加をご希望の方は、本ホームページ左下の「お問合せフォーム」ボタンをクリックし、「お名前、会社名、メールアドレス、通信欄に「セミナー参加希望」」をご入力の上、3月14日(月)までに送信してください。
 ◆オンラインでの視聴希望の方は、下記のURLまたはQRコードより3月14日(月)までにお申し込みください。
URL:https://zoom.us/webinar/register/WN_2pal47bST_-rRlxY0_RTvA

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Posted by 九州運輸振興センター at 16:41 | コロキアム | この記事のURL

「海上ブロードバンドサービスの最新動向」に関する特別セミナーのご案内[2021年11月17日(Wed)]
      「海上ブロードバンドサービスの最新動向」に関する特別セミナー開催について

 (公財)九州運輸振興センター、九州運輸局、九州旅客船協会連合会及び九州地方海運組合連合会は、共催により、下記のとおり特別セミナーを開催することに致しました。
 旅客フェリーや内航貨物船等の内航海運は、国民生活や産業活動に不可欠な社会基盤で、モーダルシフトの受け皿にもなっており、今後も持続可能なものとして発展させる必要があります。
 そのためには実用可能な最新技術を適切に活用することが大切な要素のひとつで、円滑な海上輸送を担う上で欠くことの出来ない海上ブロードバンドサービスは、旅客フェリーや内航貨物船の通信環境の改善にとって重要なテーマであり、技術進歩がめざましいこの分野の最新動向をご紹介する機会として特別セミナーを企画したものです。
 また、海上における通信環境の改善は、旅客船における船内サービス、運航効率のみならず、船員の労働環境の改善、定着率の向上などに極めて有効なものであると考えられます。
 本セミナーでは、技術の進展が著しい、@船内における通信環境の改善に大きな影響のある低軌道衛星システムに関する最新動向、A省エネ効果が高く安全航行にも有効な航路選定を支援する気象海象システムに関する最新動向、について専門の講師に説明いただきます。
 内航海運など海事産業の今後の活動等に役立つものと確信しております。是非とも多くの皆様にご参加いただきたく存じます。

                  記
〇日  時 : 令和3年12月9日(木)13:30 〜 15:30
〇会  場 : オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階
        福岡市博多区博多駅中央街4−23  TEL 092−461−2091
〇講  演
   テーマ@   ソフトバンクのNTN構想
          講師:ソフトバンク株式会社
              サービス企画技術本部 部 長  押 田 祥 宏  氏
   テーマA   カーボンニュートラル推進に向けた気象海象データの活用について
             〜POLARISによる航海支援と事後評価〜
          講師:株式会社フォーキャスト・オーシャン・プラス
              海洋情報部長  山 形 宏 介  氏
             一般財団法人日本気象協会 社会・防災事業部
              営業課 グループリーダー  佐 藤 淑 子  氏
〇定  員 : 50名(参加無料)(オンライン配信も併用します。)
〇参加申込 : 下記のQRコードまたはURLより、12月6日(月)までにお申し込みください。
         なお、オンライン配信にて参加希望の方には後日、視聴用URLをメールにて
         ご連絡します。↓↓↓

https://forms.gle/EPWJNDxFHohAeKLC7

申込みQRコード.png

Posted by 九州運輸振興センター at 16:20 | コロキアム | この記事のURL

人材確保・育成促進セミナー(令和2年2月26日開催予定)の中止について[2020年02月21日(Fri)]
人材確保・育成促進セミナーの中止について


 令和2年2月26日(水)13:30〜15:30(会場:リファレンス駅東ビル5階 会議室X−1) に開催を予定しておりました「人材確保・育成促進セミナー」につきましては、新型コロナウィルスの影響を考慮して、中止させていただくことになりました。
 
 参加のお申し込みをいただきました皆様、関係先の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきたく、お願い申し上げます。


Posted by 九州運輸振興センター at 17:17 | コロキアム | この記事のURL

人材確保・育成促進セミナーの開催について[2020年01月31日(Fri)]
「人材確保・育成促進セミナー」のご案内


 この度、(公財)九州運輸振興センターと九州運輸局で、福岡市において共催による人材確保・育成促進セミナーを以下の通り開催いたします。

 運輸・観光業界においては人材不足が顕在化しており、女性や外国人、高齢者など多様な人材の確保や就業促進が喫緊の課題となっています。
 特に女性については、関係業界にとってこれまで採用実績が低く、職場環境の整備に十分な知識がないとの声も聞かれるなど、採用・就労に踏み出せない事業者も見受けられます。

 そうした状況を踏まえ、「女性活躍」に焦点を当て、女性採用のために必要な準備や心構えについてご講演いただくとともに、国の支援制度についてご紹介します。
 業務ご多忙の折ではございますが、多くの方にご参加頂きますようご案内申し上げます。



〇 日 時  令和2年2月26日(水) 13:30〜15:30(13:00開場)

〇 会 場  リファレンス駅東ビル 5階 会議室X−1
        福岡市博多区博多駅東1−16−14 
        ※問合せ先 九州運輸振興センター TEL 092−451−0469

〇 セミナー概要
 ・基調講演 
   テーマ : 女性採用に向けた事業者の意識改革
   講 師 : 一般社団法人女性バス運転手協会 代表理事 中 嶋 美 穂 氏
  
 ・技術講演
   テーマ : 女性採用に利用可能な制度・補助(仮)               
   講 師 : 厚生労働省福岡労働局(仮)                  
  
   テーマ : 女性採用活動におけるポイント
   講 師 : 株式会社リクルートジョブズ ジョブズリサーチセンター 茂 戸 藤  恵 氏

〇 参加料  無 料

〇 参加申込 お電話をいただくか、または当センターホームページのお問合せフォームにて、通信
       欄に「人材確保・育成促進セミナー参加希望」と明記して、会社名・住所・電話
       番号・参加される方の役職名及びお名前を記入の上、令和2年2月21日(金)までに
       お申込み下さい。

★お問合せ先
  公益財団法人 九州運輸振興センター
  TEL 092-451-0469  FAX 092-451-0474

Posted by 九州運輸振興センター at 17:03 | コロキアム | この記事のURL

物流効率化シンポジウム in 大分 報告[2019年01月25日(Fri)]
物流効率化シンポジウムin大分を開催

−RORO船を活用した物流効率化の展望を探る−


 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「物流効率化シンポジウムin大分」を、国土交通省九州運輸局及び大分県との共催により、平成31年1月22日(火)、大分市において開催いたしました。
 このシンポジウムは、労働力人口の減少によるトラックドライバー不足や長時間労働の改善のため「RORO船」を活用した物流効率化を推進するために開催したものです。

 基調講演では、三菱造船(株)の森主席技師から、RORO船へのモーダルシフト促進のためには、運送コスト競争力強化、運送スピード競争力強化を求められる運送会社と大型化・高速化・省エネ化やライフサイクルコスト最小化を求められる船主、さらには船舶を建造する造船所が協力し良い船を造ること。造船所においては船主等の要望を最大限に応えるため設計、建造技術力の向上や新技術導入を図っていく努力を続けていく必要がある。また、港湾整備にあたっては競争力に優れたRORO船を生むために、公共岸壁の水深や陸上架道橋の整備など港湾・海事の連携した取り組みも大事であるとの説明がありました。

 大分県の取り組紹介では、平成29年3月に策定された大分県の施策として推進されている「九州の東の玄関口としての拠点化戦略」の策定の背景、目的、施策等の説明がされました。大分のRORO船航路状況やRORO船基地である大分港は東九州自動車道ICから7.3kmに位置し、九州各都市への道路網が充実しており、地域高規格道路「中九州横断道路」の整備中といった優位性があるとの説明とともに、RORO船の利用を促進するため、官民一体となった利用促進協議会を設置し取り組み、ポートセールスのためのセミナーの開催や大分県独自によるRORO船利用助成事業の紹介がされました。

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 物流効率化取組事例の紹介では、センコー(株)の殿村東九州車両支店長より、本州⇔九州間における長距離最適輸送モードの確立の取り組の説明と今後の長距離輸送のあり方として、東京、大阪それぞれにドライバー・トラックを充て長時間の拘束時間を要している。そこで大分に広域輸送網の中心となる物流ハブ機能を設け、九州各地の発地から大分港まではトラック輸送とし、ハブで仕分け、積替え、複数社の荷物を集約して幹線密度を上げ、船舶での無人輸送への変換することで幹線部分の輸送時間の短縮やドライバーの拘束時間削減につなげていくことが必要。また、関西、関東から九州向けの貨物についても大分のハブを活用した輸送により改善を図る。長距離輸送の長時間労働を解決するためには幹線部分の陸送から無人航送への転換が有効であり、無人航送をさらに進化させるには広域輸送網の中心となるハブ機能が必要不可欠であると説明がありました。

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 パネルディスカッションでは、大分は、東九州道が暫定ではあるが全線が繋がり、さらに中九州で熊本までの幹線道路の整備が進み、広域に貨物が集荷できる地域となっているので、関西、関東からの貨物も期待でき、ポテンシャルのある地域で期待も大きい。色々課題もあるが、RORO船各社とも船を増やし積極的に供給体制を変えて行くことを考えている。コストが下がり性能が良くなる船が出てくる。トライアルも含めてモーダルシフトを進めて行ければと考えている。
 大分でのRORO戦を使ったモーダルシフトの取り組を盛り上げていただきたいとのまとめがありました。

 今回の「第63回九州運輸コロキアム」には、観光事業者、経済団体、行政などを中心に幅広い関係者に参加いただき、140人の参加人数となりました。
 参加された皆様には、今後の取り組みなどに参考になる有意義で貴重なものとなりました。

Posted by 九州運輸振興センター at 18:38 | コロキアム | この記事のURL

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