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九州経済圏における交通及び観光の振興と近代化を図るための事業を行い、もって地域経済の均衡ある発展に寄与し、あわせて民生の安定に資することを目的として、調査研究事業、施設整備事業、その他広報啓発等事業を柱に活動しています。

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企業経営基盤強化等セミナー開催報告[2024年12月24日(Tue)]

               企業経営基盤強化等セミナー開催報告

 令和6 年11 月20 日(水)、福岡市において企業経営基盤強化等セミナー(「物流効率化促進セミナー」)を開催しましたので、その概要を報告致します。

  〇 日 時 令和6 年11 月20 日(水) 13:30 〜 16:00
  〇 会 場 オリエンタル福岡 博多ステーションホテル3 階 YAMAKASA
  〇 主 催 (公財)九州運輸振興センター、九州運輸局、九州トラック協会
  〇 後 援 JR九州、九州地方倉庫業連合会、九州冷蔵倉庫協議会、九州冷凍事業協議会、
       九州長距離フェリー協議会
  〇 プログラム(講演のみ)
  第1部:物流を取り巻く現状について(60 分)
     ・テーマ 2024 年を「物流革新元年」に
     ・講 師 国土交通省 物流・自動車局 物流政策課長 紺野博行氏
     ・テーマ 九州の物流の現状
     ・講 師 九州運輸局 自動車交通部 貨物課長 東祐樹氏
  第2部:事例紹介(60 分)
     ・テーマ バース予約・受付システムの開発・導入による物流効率化
     ・講 師 福岡運輸 業務推進部 システム課長 生津瑠美氏
     ・テーマ 物流効率化の取組
     ・講 師 潟}キタ運輸 取締役 東良二氏
     ・テーマ 集荷&モーダルシフトの取組事例
     ・講 師 日本通運兜汢ェ海運支店 博多港支店 内田紘史氏
  〇 参 加 者 約150 名

  〇 概 要

【第1部:物流を取り巻く現状について】
<2024 年を「物流革新元年」に>
 物流業界の現状として、事業規模を令和3 年度の統計でみると、主要な業種の営業収入の合計は約29 兆円、従業員数は約223 万人で、全産業比に占める物流の割合は、それぞれ2%、3%。トラック運送業を含め物流企業の多くは中小企業率が高い。トラックドライバーの働き方をめぐる現状として、年間労働時間は、全産業として比較して約2割長く、年間所得額は約1 割低いが有効求人率は約2 倍高い。ドライバーの人手不足が深刻であり、長時間労働が常態化している。トラックドライバーの長時間労働の主な要因としては、長時間の運転時間、荷待ち時間、荷役作業等が挙げられる。こうしたことから平成30 年改正の「働き方改革関連法」に基づき、時間外労働時間規制について、見直されることとなった。
 労働時間規制等による物流への影響は大きく、何も対策を講じなければ物流の停滞が生じかねないという物流の「2024 年問題」に直面している。
 この間の物流政策の動きとして、昨年6 月に、@物流の効率化、A商慣行の見直し、B荷主・消費者の行動変容を柱とする抜本的・総合的な対策を取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」が決定され、また2023 年10 月には、可能な施策の前倒しを図るべく「物流緊急パッケージ」が取りまとめられた。
 さらに、本年2 月には、両パッケージに基づき、中長期的な対策として、物流の適正化・生産性向上をさらに進めるため「2030 年度に向けた政府の中長期計画」が策定・公表された。
 物流の「2024 年問題」は、当該時点を乗り越えれば終わる一過性の課題ではなく、年々深刻化する構造的な課題でもある。2030 年には輸送力が34%減少すると予測されるため継続的に対応していく必要がある。また、中長期計画については毎年度フォローアップを行い、次期の総合物流施策大綱を閣議決定するタイミングと合わせて見直すこととしている。
 このため、令和7 年度予算の概算要求において、2030 年に向けた関係予算を計上するとともに、改正物効法・トラック法の円滑な施行に向け準備を進めている。2024 年は、物流事業者、荷主企業、一般消費者が協力し、物流革新の実現に向けて始動する重要な1年である。

<九州の物流の現状>
 物流業界においては、本年4 月から時間外労働の上限規制が適用となり、物流の停滞が懸念される物流の「2024 年問題」への対応が喫緊の課題となっている。九州管内の物流の影響を把握するため、物流事業者(トラック事業、海運業、倉庫業、鉄道事業)を対象に、令和6 年10 月10 日から11 月1 日にかけてWEB 方式でアンケート調査を実施。2024 年以降の物流の影響、荷主との運賃等の交渉の有無、各社の取り組み状況等について、調査票送付事業者数6,893 社中、1,176 件の回答があった。
 「2024 年問題」による物流への影響については、70%以上が感じていると回答。2024年問題により影響が出ている事項としては、「営業収入の減少」「荷主との交渉の発生」と回答した数が何れも550 件を超え、約半数の事業者に発生。労働者の離職が増加したとの回答も367 件となった。また、「2024 年問題」により、労働力不足を感じるかとの設問では、70%以上が感じていると回答。さらに、荷主との運賃交渉等の有無については、80%以上の事業者が荷主との交渉を実施し、その内容については、運賃・料金、附帯作業、保管料金等の値上げに関するものが殆ど。運賃値上げ等に対する荷主の理解度について、理解いただいているとの回答は50%弱、理解いただいていないとの回答が18%弱という結果を見ると、物流事業者への理解はある程度進んでいると考えられる。
 また、令和2 年4 月に告示された標準的運賃の浸透、活用状況等の実態を把握することを目的に全日本トラック協会の会員事業者約2000 社を対象に令和6 年1 月22 日から3 月10 日にかけて実施した実態調査結果についても紹介があった。標準的運賃を提示又は考慮した自社運賃の提示、具体的な値上げ額や値上げ率を提示して運賃交渉を実施した事業者が71%。その内「希望額を収受できた」との回答と「一部収受できた」との回答を合わせ75%となったが、今後も引き続きトラック・物流G メン等の制度を通じて、荷主に対し、理解を促していくことが必要。

【第2部:事例紹介】
<バース予約・受付システムの開発・導入による物流効率化>
 運送業においては、人手不足、長時間労働、高い離職率、労働生産性の低さといった従来からの課題に加え、働き方改革や環境問題への対応が求められている。
 経営ビジョンとして「物流×テクノロジーでデジタル時代の新たなイノベーションを創出する」を掲げ、これまで属人化していた業務を、プロセスの標準化や省人化、自動化を図り、発生する情報を可視化や共有化することで、業務を変革できるような仕組作り・場の創出に取り組んでいる。
 そうした取り組みの一つとして、令和元年よりバース予約・受付システムの稼働を開始した。当社バースの特徴として、1つのバースを時間帯毎にTC(Transfer Center:在庫を補完しないタイプの物流センター)・DC(Distribution Center:商品の在庫を保管管理した上で、各納品場所へ出荷するタイプの物流センター)で共用していることが挙げられる。
 システム導入前までは、アナログツール・人を介した情報のやり取り・状況確認・バース
運営を行っていた。そのため、構内外での車両混雑、待機時間の長期化、倉庫内での作業率低下といったような稼働上の問題と共に、運用においても受付やバース稼働状況の把握が煩雑、人への依存度が高く業務付加が大きいなど様々な問題点があった。
 これらの課題を解決するためドライバーや作業員、配車担当者にヒアリングを行い、TC/DC に対応可能な自社独自のシステム「バース予約・受付システム」を開発・導入した。
これにより、問い合わせや呼び出し作業の削減効果は年間で8,000 時間となった。バース状況の可視化・共有化、オペレーションの省力化、バース運営の効率化・最適化が図られ、データの分析や活用環境の整備にも役立っている。
 開発におけるポイントでは、問題を細分化して取り組む、システムを素早く作る、日々の業務をする中で改修・改善を行いブラッシュアップする。さらには、業務の効率化、全体最適化につながること、つなげることを前提に開発を進め、AI なども活用して、業務や時代、環境の変化にも柔軟に対応することが挙げられる。
 今後も業務のデジタル化を進め、関係するシステム間でのデータ連携や利活用を図り、ボトルネックの解消や物流全体の最適化を進めていきたい。

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<物流効率化の取組>
 長距離輸送が多いことから、宮崎、神奈川、大阪、福岡、鹿児島に物流拠点の整備を進め、ドライバーの宿泊休憩所を設置し、休息できる場所を確保。2024 年問題への対応としての拠点整備は終了。
 温度管理が必要となる商品について、関東・関西エリアの消費地へはカーフェリー・RORO 船を積極的に利用。これによりドライバーの休息時間を確保し、改善基準にも対応できている。宮崎発の関西エリア以東は全てフェリーを利用することで、環境負荷の低減、ドライバーの長距離運行の抑制を実現。しかし、南九州発の荷物は生鮮食品(農畜産物・乳製品)など、賞味期限が短く、輸送で欠車出来ない商品が多いので、ドック入りや台風等による欠航に備え陸送体制も構築している。
 当社の運行は混載便が大半を占め、貸切便が殆どない。そのため、2 次配送拠点を活用し、小口化している荷物の中継輸送を行っている。
 生産性向上に向けた取り組みの1 つ目、各拠点のパレット交換機を使用し、工場専用パレット・マキタ専用パレットからレンタルパレットや配送先指定のパレットに交換したことで、積作業時間を80%削減することができた。
 2つ目、運送業界を取り巻く環境は、人員の減少、高齢化傾向にあることから、約86tの商品を輸送するケースにおいて、2 段枠を使用し、10t車からトレーラー車へ変更したことで、1 日あたりの必要人員を66.7%削減できた。
 3つ目、トラックへの積載にあたり、2 段枠を使用することで1 パレット分の面積で2パレット分の積載が可能となり、ブロイラーの運搬のケースでは、1車あたり36 パレット積み込むことが可能となり、車両削減率約50%を達成できた。また、高積みによる潰れやドリップ漏れなどが減少し、商品の品質を落とさず、効率的な輸送が可能になった。

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<集荷&モーダルシフトの取組事例>
 当社の内航船輸送は、「九州〜東京航路」に2 隻、「東京〜北海道航路」に3 隻の合計5隻で運航。特徴としては、車輌が直接船倉に入るRO/RO方式であり、貨物積み下ろしスピードが早い、車輌直積であるため振動が少ない、特殊車両の輸送にも対応できるといったことが挙げられる。
 輸送機材としては、1.1×1.1 パレットが22PL 積載可能な13mウイングトレーラーほか、当社独自の中ロットの海上輸送に適した12Fコンテナ(1.1×1.1 パレットが6PL 積載可能)、Sea&Rail サービス(海上輸送と鉄道輸送の複合一貫輸送)に適した12FのRSVコンテ、冷蔵・冷凍対応の20Fリーファコンテナがある。
 自社で運航する以外にも利用運送という形で九州エリアや沖縄エリアを発着する他社航路を活用しての輸送にも関与している。
 海上輸送へモーダルシフトすることで、ドライバー不足への対応のほか、環境配慮型物流の実現に貢献でき、物流の効率化、長距離輸送コストの削減にも寄与できる。
 このようなことで、トラック輸送から海上輸送へ切り替えた、CO2 の削減に貢献する海上輸送を企業のイメージアップのために利用してもらえた、輸送コスト低減の観点から利用してもらえたなどの事例がみられる。2024年問題への対応も含め、今後もモーダルシフトの取り組みを進めていきたい。

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 トラックドライバーに労働時間の上限規制が適用された2024 年4 月から8 か月が経過しようとしている中、荷待ち・荷役の削減、積載率向上、モーダルシフト等の取り組みが進められています。本日のセミナーが、2024 年問題をはじめとする物流の課題解決のヒントになれば幸いです。

Posted by 九州運輸振興センター at 15:13 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

企業経営基盤強化等セミナー(事業承継セミナー)開催報告[2024年09月05日(Thu)]
              企業経営基盤強化等セミナー開催報告

 令和6年8月28日(水)、福岡市において企業経営基盤強化等セミナー(「事業承継セミナー」)を開催しましたので、その概要を報告致します。

   〇 日  時 令和6年8月28日(水) 13:30 〜 15:30
   〇 会  場 オリエンタル福岡 博多ステーションホテル3階 YAMAKASA
   〇 主  催 公益財団法人 九州運輸振興センター
   〇 後  援 JR九州
   〇 協力団体 九州旅客船協会連合会 九州地方海運組合連合会
            全国内航タンカー海運組合西部支部
   〇 プログラム(講演のみ)
     第1部(20分) 
     講師 九州産業大学 地域共創学部地域づくり学科 准教授 行平真也氏
     テーマ 「九州管内における海運事業者の事業承継の現状について」       
     第2部(80分) 
     講師 福岡県事業承継・引継ぎ支援センター 
        サブマネージャー 廣門 和久 氏(中小企業診断士)
     テーマ 「〜円滑に事業承継を進めるため、今から準備を始めませんか?〜」
   〇 参 加 者 会場23名、オンライン参加31名 合計54名

   〇 概  要

【第1部:九州管内における海運事業者の事業承継の現状について】 
 離島を多く抱える九州地域において、生活物資の運搬や人の移動を担う海運事業者は重要な役割を担っているが、少子化、高齢化が急速に進む中、労働力不足や後継者不足が大きな課題となっている。これを受け、事業承継に関する現状や課題を把握することを目的とし昨年度、九州運輸振興センターからの委託によりアンケート調査を実施した。
 経営者年齢別の後継者の決定状況について、「後継者は決めていないが、事業は継続したい」という回答において、経営者が50歳未満では40.9%、70歳以上の経営者でも15.4%となっている。
 「既に後継者を決めている」についての回答では経営者の年齢が上がるほどその割合が高く70 歳以上では40.4%となっている。
後継者を決めていない理由として、「これから検討を始める予定」との回答が最も多かったが、「適当な後継者が見つからない」「子・親族に事業を継ぐ意思がない」「事業を継ぐ子・親族がいない」などの理由もみられた。
また、「後継者は決めていないが事業は継続したい」と回答した者において、事業承継を行うにあたっての障害・課題では「後継者の探索・確保」を挙げる者が多く、後継者の確保が重要な課題となっている。
さらに、「事業承継について相談を行っている」と回答した者はわずか14.0%で、その相談先としては、税理士、会計士、金融機関が多かった。
 今回の調査結果をもとに考察すると、事業承継の進め方や支援策について、事業者に知見が得られているのかが懸念される。
 今後も事業を継続するにあたり、第2部での講演を含め本日のセミナーが事業承継を考えるきっかけになれば幸いである。
行平講師.png

【第2部:〜円滑に事業承継を進めるため、今から準備を始めませんか?〜】
 事業承継とは現経営者から後継者への事業のバトンタッチを行うことであり、企業がこれまで培ってきたヒトやモノ・カネのほか、目に見えにくい経営資源(知的財産)を含め、様々な資源を引き継ぐことである。事業を渡す者(現経営者)は、引き継ぐ者(後継者)ができるだけ順調に事業運営が行えるように多面的に事業を磨き上げるとともに、支援を行う必要がある。後継者は伝統を守りつつ、新たな知識・技術を用いて事業の成長を遂げなければならず、事業承継は会社の存続において極めて重要な課題である。
 事業承継の成功のカギは「バトンタッチの日」を決めることであり、「ゴール」を決めることから始まる。
 事業承継は親族内承継、従業員承継、第三者承継の3つに分けられる。事業承継の現状として、1983年以前は後継者の大半が親族だったが、近年は従業員と第三者承継が大幅に増加している。そして、日本において事業承継が遅れているということをまず認識しなければならない。
 事業承継の進め方は3つそれぞれではあるが、親族内承継、従業員承継については事業承継に向けた必要性を認識し、事業承継の意思を固めることから始まる。その後は、経営状況・経営課題の把握(見える化)、事業承継に向けた磨き上げを行い、段階を踏みながら進めていくのが一般的。
 第三者承継については、まずは相談・検討といった準備段階から交渉段階、実行段階へと進めていくが、M&Aの成功の鍵で重要なのは、最初の取り掛かりである。ここではその業界に強いアドバイザーをつけるということが大きなポイントとなるが、何れにしても早め早めに動いていくことが重要。
 事業承継に関する支援策として国や県等でも補助金や税制面での支援メニューを用意している。各支援メニューにおいて、補助対象となる経費や補助率、補助上限、申込受付期間などが異なるので、詳細は各機関のHP等により確認願いたい。
 福岡県事業承継・引継ぎ支援センターは国が設置する公的相談窓口であり、事業承継計画書の策定支援のほか情報提供、マッチングなども無料で行っており、中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応している、と締めくくられた。
廣門講師.JPG

 現在、交通運輸・観光事業者を取り巻く経営環境は、人手不足、物価高、燃料油価格の高騰など多くの課題があります。そうした中、将来にわたりその活力を維持していくためには、円滑な事業承継によって事業価値をしっかりと次世代に引き継ぎ、事業活動の活性化を実現することが不可欠といえます。今般のセミナーが皆様の今後の事業運営にお役立ていただければ幸いです。

Posted by 九州運輸振興センター at 10:46 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

企業経営基盤強化等セミナー(事業承継セミナー)開催のご案内[2024年07月24日(Wed)]
          企業経営基盤強化等セミナー(事業承継セミナー)
            〜後継者問題を先送りしていませんか〜


 この度(公財)九州運輸振興センターでは、九州旅客船協会連合会、九州地方海運組合連合会、全国内航タンカー海運組合西部支部のご協力をいただき、企業経営基盤強化等セミナー(事業承継セミナー)を下記により開催することとなりました。
 日本企業のうち99%を占める中小企業は、雇用や技術の担い手として日本を支える重要な存在となっています。将来にわたってその活力を維持し、発展していくため、事業承継は企業にとって避けて通ることのできない重要な経営課題です。また、円滑な事業承継を確実に進めるためには、計画的で余裕のある準備が必要です。
 しかし、現在、中小企業では経営者の高齢化や後継者不在の状況が深刻であり、ここ九州においても例外ではなく、廃業の増加により貴重な技術や雇用への影響が懸念されています。
 本セミナーでは、九州管内における海運事業者の事業承継の現状や課題、支援策等についてご講演いただくこととしており、どのように事業承継に取り組むのかイメージがわかないといった方々にとって、非常に有益なセミナーとなっております。
 ご関心をお持ちの皆様には、ぜひご参加をいただきますようご案内申し上げます。


                       記

     〇日  時  令和6年8月28日(水) 13:30 〜 15:30

     〇会  場  オリエンタルホテル福岡博多ステーション 3階 YAMAKASA 
             福岡市博多区博多駅中央街4−23

     〇参 加 者  会場70名(参加無料) Zoomによるオンライン配信も併用します。

     〇講  演 第一部
           講師 九州産業大学地域共創学部地域づくり学科 准教授 行平真也氏
           テーマ 「九州管内における海運事業者の事業承継の現状について」
           第二部 
           講師 福岡県事業承継引継ぎ・支援センター サブマネージャー      
                        廣門和久氏(中小企業診断士)
           テーマ「円滑に事業承継を進めるため、今から準備を始めませんか?」

     〇申  込 会場およびオンライン申し込みは8月21日(水)までにお願いします。
            ※会場参加をご希望の方はお電話をいただくか、または当センター
             ホームページのお問合せフォームにて、通信欄に「企業強化セミ
             ナー参加希望」と明記して、会社名・住所・電話番号・参加され
             る方の役職名及びお名前を記入の上、お申込み下さい。
            ※オンラインでの視聴希望の方は、QRコードまたは下記のURL
             よりお申し込みください。後日、メールにてご連絡します。
             オンライン申し込み用URL→https://forms.gle/8hZaVKUs7PLzrNf76
オンライン申込QRコード(小).png

Posted by 九州運輸振興センター at 16:46 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

モーダルシフト利用促進セミナー2023開催のご案内[2023年11月10日(Fri)]
          モーダルシフト利用促進セミナー2023開催のご案内

 このたび当センターでは、日本財団の支援と助成を受け、九州運輸局及び九州トラック協会、九州長距離フェリー協議会との共催により昨年に引き続きモーダルシフト推進に係るセミナーを開催することといたしました。
 我が国の物流は、人手不足や労働生産性の低さといった課題に対応するための働き方改革の推進やカーボンニュートラルへの対応が迫られているほか、物流の停滞が懸念される「2024年問題」にも直面しています。
 このような中、「物流革新に向けた政策パッケージ」では、物流の効率化に取り組む上で、「モーダルシフト等を含む脱炭素化を進めることが必要であり、また、それらの基礎となる物流の標準化が不可欠である」とされところであり、モーダルシフトの推進はより一層重要性を増しています。

 本セミナーでは、モーダルシフト関連の海運事業者の参加が昨年より3社増え14船社、さらに日本貨物鉄道の参加により、多くのモーダルシフトの選択肢を提案しております。
 物流の大きな変革が迫られている今こそ、トラック輸送から、よりCO2排出量の少ない大量輸送機関である鉄道・船舶輸送へのモーダルシフトを荷主・物流事業者を中心に多様で広範な関係者が連携し、グリーンな物流を目指していかなければなりません。

 本セミナーが、物流業界の直面する諸課題の解決に向けた取り組みの一助となることを願っております。業務ご多忙の折ではございますが、多くの皆様のご参加を賜りますようご案内申し上げます。


                         記                  

     1.日 時:令和5年11月15日 13:30〜16:30
     2.会 場:オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階 YAMAKASA
     3.主 催:九州運輸局 九州トラック協会
                    九州長距離フェリー協議会 九州運輸振興センター
     4.概 要:・2024年問題の概要・問題点の説明、モーダルシフト取組事例の紹介
           ・九州の主要港湾管理者による海運航路の紹介
           ・日本貨物鉄道による鉄道コンテナ輸送の紹介
     5.参加費:無料
     6.申 込:当センターホームページの「お問合せフォーム」にて、通信欄に「モーダル
           シフトセミナー参加希望」と明記し、会社名・住所・電話番号・参加される
           方の役職名及びお名前を入力し送信してください。

Posted by 九州運輸振興センター at 11:29 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

「物流2024年問題研究会inKYUSHU」開催報告[2023年10月18日(Wed)]
           「物流2024年問題研究会inKYUSHU」開催報告

 この度、(公財)九州運輸振興センターと九州経済産業局、九州運輸局、(公社)日本ロジスティクスシステム協会は共催により「物流2024年問題研究会inKYUSHU 〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜」を下記により開催しましたので、その概要を報告致します。

   〇 日  時  令和5年9月7日(木)12:50 〜 16:20
   〇 会 場  TKPガーデンシティ博多新幹線口 プレミアムホール
   〇 主  催  (公財)九州運輸振興センター、(一社)日本ロジスティクスシステム
           協会、九州運輸局、九州経済産業局
   〇 テ − マ  物流2024年問題研究会in KYUSHU
              〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜
   〇講  演  「物流2024年問題への対応にむけて」
           (株)湯浅コンサルティングコンサルタント 芝田稔子氏
   〇事例紹介   企業事例@「2024年問題にむけたTOTO の取り組み」
           TOTO(株)物流本部物流推進部部長 河村孝史氏
           企業事例A「小売事業者としての2024年問題対応」
           イオン九州 株 取締役 常務執行役員 管理本部長 赤木正彦氏
           行政@「経済産業省における物流の2024年問題等に向けた
               対応について」
           九州経済産業局産業部流通・サービス産業課課長 田代信二氏
           行政A「トラック運送事業に関する九州運輸局の取組について」
           九州運輸局自動車交通部貨物課課長 東 祐樹氏
   ※講演、企業事例のみの概要報告とします。

<概  要>
□ 講 演
【物流2024年問題への対応に向けて:鞄註コンサルティング】
 トラックドライバーの働き方改革に関する法律が令和6年4月から適用される2024 年問題に直面している。このような中、令和5年6月2日に取りまとめられた「物流革新に向けた政府パッケージ」において、荷主・物流事業者・消費者が協力して、我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策が策定されたところ。
2024年問題への対応は、物流の近代化に向けた象徴的な取り組みであり、2024年問題をきっかけとして、物流をあるべき姿へと転換させるいい機会である。
2024年問題が社会的に大きくクローズアップされ、物流の停滞を回避するための良い取り組み事例なども出てきているが、物流のかたちを作るのは物流事業者ではなく、荷主であり、選ばれる荷主にならなければならない。まさに荷主が本気になるべき時が来たと言えるが、まだそのことに気づいていない事業者も多い。
効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者(運送・倉庫等)、着荷主事業者が連携・協働(タテ・ヨコの連携)して、改善を図っていくことが重要であり、連携することで異次元の取り組みも出てくる。その実効性を確保するためにも物流の適正化・生産性向上に向けたガイドラインに沿った取り組みを強力に進めていくことが求められているとの指摘がありました。

HP用写真.JPG

□企業事例@
【物流2024年問題に向けたTOTOの取組み】
 物流2024年問題への取組として、本日は、2019年4月からの東日本物流部在籍時の活動について紹介したい。
 TOTO物流本部は、TOTO+構内協力企業の800名で組織。物流本部は、TOTO(株)の全社方針である「TOTO WILL 2030」に基づき、三つの柱からなる物流本部方針のもと「世界5極において、適正コストで安定供給ができる物流体制を構築し、世界中にTOTOファンを増やしていく活動に貢献する」ことを目的に活動を展開している。
 具体的には、現状のサービスとニーズのギャップをアジャストし安定供給強化を図るため物流部門関係者で物流サービスの現状と今後の方向性について、本社スタッフをはじめ、物流センターや各営業所の関係者が認識を共有し、安定配送に向けた活動を行っている。
 物流2024年問題への取り組みとしては、@配達能力枠の設定、A東京都の輸送ルートの改善、B注文締切タイミングの早期化、CSMSメールによる持ち戻り削減、Dトラック待機時間削減(ダイヤグラム化)Eトラック待機時間削減(パレットファインダーの導入)の6項目について、支線輸送に関するもの、幹線輸送に関するものに区分し、課題解決に向けた取組を行い、物流の平準化や効率化、安定供給、DX化の進展が見られたところ。
 今後も様々な改善活動を通じて、安定供給体制を強化し、物流の2024年問題と将来のカーボンニュートラルに向けても物流事業者と共に取り組んでいくこととしているとの説明がありました。

□企業事例A
【小売り業者としての2024年問題への対応について】
 2024年問題の小売業・九州エリアへの影響について、(株)NX総合研究所データによると業界別に係る分析で、卸・小売業・倉庫業においては、2019年比で9.4%輸送能力が不足するとの試算。また、地域別では、九州は19.1%不足し、2030年には39%不足するとの結果。この試算結果を踏まえ、イオングループへの影響について見てみると、2024年にはドライバー不足となり、常温商品のカート残荷が発生し、ショッピングモールへの配送が不可能となりかねない。
 そのため、イオン九州(株)では、イオンG物流改革プロジェクトと九州物流研究会の下、持続可能な社会の実現、九州に貢献し続ける100年企業を目指し、物流の2024年問題やサステナブルへの対応に向けた二つの取り組みを進めている。
物流2024年問題については、コネクティッド技術やデータの活用を行いトヨタ生産方式によりセンター内の作業改善や配送効率化、物流効率化を目指し取り組みを進めており、こうした取り組みにより川上から川下までの工程を一気に変えることができるのではないかという思いで取り組んでいるとの説明がありました。

 物流業界においては、2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制等の働き方改革や脱炭素化に向けた取り組みへの対応が求められています。
本セミナーを通じ、物流が停滞・途絶することは、運送事業や倉庫業者等の物流事業者のみならず、荷主企業や消費者を含め、物流に関わる関係者全てにとって、さらには経済社会全体にとって、回避しなければならない事態であることを認識し、物流が直面している諸課題の解決に向けた取り組みが進められていくことを期待するものです。

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企業経営基盤強化等セミナー「サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと」開催報告[2023年05月08日(Mon)]
   企業経営基盤強化等セミナー「サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと」開催報告

 令和5年4月26日(水)、福岡市において「企業経営基盤強化等セミナー」を開催しましたので、その概要を報告致します。

   〇 日 時 : 令和5年4月26日(水)13:30 〜 15:00
   〇 会 場 : オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 2階
   〇 テ−マ : サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと
   〇 講 師 : 株式会社BCC クラウドサービス事業本部 
           クラウド営業部 部長 奥 新一郎 氏
   〇 参加者 : 51名(オンライン含む)
   〇 配布資料: サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと

★概  要
 病院でのランサムウェア感染、自動車メーカーの全工場稼働停止、ウクライナ情勢に伴う世界的なサイバー攻撃の増加、メールを使ったEmotetの大流行などこれまでに類を見ないほどサイバー攻撃が激化している。運輸・海運業界は世界で2番目に多くのランサムウェアの影響を受けた業界であり、標的型攻撃の検出では首位になっている。
 主な感染理由は、ネットワーク機器などの脆弱性、リモートデスクトップ等の設定不備、フィッシングメール等によるものであることが説明されました。

 日本国内でもサイバー攻撃被害が出ており、機器の停止、流失したデータがダークウェブ上にアップされたケースなどがあった。東京都の製造業35社へのサイバー攻撃状況の推移を可視化した結果、東京五輪やロシアのウクライナ侵攻を機に急増しており、企業規模に関わらず国際的な社会情勢の影響を強く受けており、サイバー攻撃を他人ごとと済ませるのは危険であることが説明されました。

 このような状況から、国では中小企業のサイバーセキュリティリスクにどう対応するかが課題となっている。2019年度・2020年度、経済産業省主導で中小企業の被害実態等の把握や中小企業の支援機能を低コストで構築するため「サイバーセキュリティお助け隊実証事業」を行った。
 中小企業や業種、規模を問わず例外なくサイバー攻撃の危険に晒されているが、中小企業のセキュリティ対策が進まないのは人材・体制・資金面が原因となっていた。これを受けて、導入・運用の負担が少なく、安価なセキュリティ支援サービスとして、「見守り」「駆付け」「保険」をワンパッケジで提供する「サイバーセキュリティお助け隊サービス制度」が創設された。このサービス制度を提供する事業者として、現在全国で33社が登録されていることが説明されました。

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 事業活動において、セキュリティ対策を怠り、マイナバーを含む従業員情報や取引先情報などが外部に漏洩した場合、金銭的損害賠償、社会的信用失墜、システム停止による業務停止等々、被害は計り知れない。これらを鑑みても情報セキュリティ対策は必須であり、さらに社内情報の持ち出しによる内部不正を防止するための社内ルール作りや教育も重要であることが説明されました。

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 最後に、やみくもにセキュリティ対策することは非効率的であり、中小企業の情報セキュリティガイドラインを意識した対策を行う。「OAやソフトウェアは常に最新の状態にする」「「ウィルス対策ソフトを導入する」「パスワードを強化する」「共有設定を見直す」「脅威や攻撃の手口を知る」などの対策をまず行い、その後セキュリティ対策を行うこと。
 また、OSやソフトウェアの更新は業務のシステムが動かなくなるなど、様々な課題があるので、その場合は専門業者に相談してもらいたい、と締めくくりました。

 今回のセミナーでは、企業規模を問わず多くの事業者がサーバー攻撃の標的となり得ることや、セキュリティ対策を取ることの重要性を再認識できたと思います。

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令和5年度 企業経営基盤強化等セミナー開催のご案内[2023年04月12日(Wed)]
             企業経営基盤強化等セミナー開催のご案内
           〜サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと〜


 現在、企業や組織の運営に情報システムやインターネットは欠かせないものとなりましたが、利便性と引換えに私達は大きな危険性を抱えることにもなりました。
 顧客情報の漏洩による企業イメージの失墜や情報システム停止による事業停止など、自社への影響とともに多くの場合、取引先や顧客など関係者への被害や影響を及ぼすことにもなります。
 企業や組織にとって、情報セキュリティに対するリスクマネジメントは、重要な経営課題のひとつとなります。また、顧客情報など重要情報の取り扱いは企業や組織にとって社会的責務ともいえます。
 本セミナーではサイバーセキュリティの現状や企業や組織として、今やるべきことなどを専門的な立場から解説していただきます。
 セキュリティ対策は十分なのか、担当者に任せっきりになっていないか、安価な対策はないか、対策は必要と思うがよくわからない等々、課題は様々だと思います。この機会に是非ご聴講いただき、疑問点などをお尋ねいただきたいと思います
 会場の都合等がございますので、参加の申し込みは4月21日(金)までに下記の要項でお申し込み下さい。

                       記

      〇日  時  令和5年4年26日(水) 13:30 〜 15:00(13:00開場)
      〇場  所  オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階 
              福岡市博多区博多駅中央街4−23 TEL 092−461−2091
      〇テ − マ  サイバーセキュリティの実情と今やるべきこと
      〇講 師   株式会社BCC クラウドサービス事業本部 
               クラウド営業部 部長 奥 新 一 郎 氏
               (サイバーセキュリティお助け隊サービス実施事業者)
      〇定  員  50名(参加無料)Zoomによるオンライン配信も併用します。

      〇参加申込  会場参加・オンライン参加共4月21日(金)まで
       ※会場参加をご希望の方はお電話をいただくか、または当センターホームページのお
        問合せフォームにて、通信欄に「企業強化セミナー参加希望」と明記して、会社
        名・住所・電話番号・参加される方の役職名及びお名前を記入の上、お申込み下
        さい。
       ※オンラインでの視聴希望の方は、QRコードまたは下記のURLよりお申し込み
        ください。後日、視聴用URLをメールにてご連絡します。
        なお、当日の質問の受付は会場参加者のみとさせていただきます。
        オンライン申し込み用 → https://forms.gle/EnYt9yPL1T1Jmizt7

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企業経営基盤強化等セミナー 「輝け!フネージョin 九州」 開催報告[2023年04月12日(Wed)]
        企業経営基盤強化等セミナー 「輝け!フネージョin 九州」 開催報告

 令和4年12月15日(木)、福岡市において企業経営基盤強化等セミナー「輝け!フネージョ in 九州」を開催しましたので、その概要を報告致します。

   〇 日  時 : 令和4年12月15日(木)14:00 〜 16:00
   〇 会 場 : オリエンタルホテル福岡 博多ステーション 3階「EBISU」
   〇 基調講話 :「海事産業における人材確保育成事業と女性活躍推進の取組について」
           国土交通省 九州運輸局 海事振興部長 金平 成市 氏
          「造船業における女性活躍推進の取り組み」
           国土交通省 海事局 船舶産業課 課長補佐 遠藤 幸 氏

   〇 座 談 会 :「入社の理由、職場環境、仕事のやりがい」など
           JR九州高速船株式会社 QUEEN BEETLE 一等航海士 中野 愛都季 氏
           マルエーフェリー株式会社 フェリー波之上 機関員 山口 璃莉 氏
           株式会社大島造船所 船殻工作部 技能職員 松田 彩芳 氏
           東亜工機株式会社 横田製造部 技能職員 大戝 美枝子 氏
           博多港運株式会社 車両チーム特殊車輛班 夏目 結花 氏

   〇 参 加 者 : 42名
   〇 配布資料 : 海事産業における人材確保育成事業と女性活躍推進の取組について
          造船業における女性活躍推進の取り組み

   〇 概  要

【基調講話】
 四方を海に囲まれた日本において、海事産業は極めて重要な分野で、これを支える優秀な人材が必要となる。しかし、海事産業は国民の目に触れる機会が少なく就職先の選択肢になりにくい状況で、次世代を担う子供や若者を中心に海洋・海事への理解と関心の喚起を行うことが重要である。さらに職業の選択肢として海事産業を捉えてもらうには「海事産業の理解と関心を深める段階」「進路段階」「就職段階」に応じた働きかけが効果的であり、九州では平成20年に官民で立ち上げた「九州海事産業次世代人材育成協議会」において取組みを行っていることが報告されました。
 船員の人材確保・育成に向けた動きでは、船員法の改正により令和4年4月から船員の負担軽減、労働時間の短縮など職場環境の改善を講じる仕組みが整えられ、令和5年4月から労働時間の上限規制の対象外である航海当直の引継ぎや操練を労働時間の対象とする改正が行われる予定となっていることが報告されました。
 海事産業への女性活躍の推進に向けた動きについて、働く女性の現状は就業を希望しながらも働いていない女性が約237万人、第1子出産を機に約5割の女性が離職、出産・育児後の再就職はパートタイムの場合が多く、女性雇用者の非正規率が6割近いなどの状況となっている。 また、急速な人口減少により将来の労働力不足が懸念されるため、企業において女性社員が能力を高めながら継続就業できる職場環境を整えることは、多岐にわたり大きなメリットがある。このように女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、女性活躍推進法が2016年(平成28年)4月から全面施行されて、女性活躍の推進力となっている。という説明がありました。
 最後に、造船業における女性活躍促進の取り組み、海事産業界での女性の雇用にあたっての取組状況として、国土交通省が公表している「海事産業における女性活躍推進の取組事例集」から、好事例の紹介がされました。

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【座談会】
 海事産業で働く5名の女性の方に、入社の理由、職場環境、仕事のやりがいなどを語ってもらいました。

 入社の理由では、「幼少のころから海や船に触れる機会が多くあり、船へのあこがれがあった」、「地元が港町で小さいころから海事産業が身近にあった」、「以前から重機に興味がありクレーンなどを運転したいと思っていた」、「高校での溶接実習に興味を持った」、「モノを作る仕事に魅力を感じた」など、自分の体験や興味から現在の仕事を選んだ発言が多くありました。

 職場環境では、「力仕事では男性と差を感じるが、無理な仕事はサポートがある」、「男性が多い職場だがコミュニケーションもとりやすく、同僚や上司にも気軽に相談できる」、「仕事の相談も遠慮なくでき、丁寧にわかりやすく指導して貰える」、「上長や同年代に女性がいるので楽しく過ごせる」、「先輩から技術的な指導を十分してもらっている。しかし、レバー操作等の指導では、男性指導者からは手をとって教える時などは指導しづらいという事を聞いたことがある」、「女性を理由に気をつかって指導してもらえないのは困るので、男性と同じように指導してほしいと伝えている」など、関係者が働きやすい職場環境を作ることを心掛けているという発言がありました。

 仕事のやりがいでは、「一人でできる仕事が段々増えること」、「知識や技術を教えてもらい習得し、さらに良い方向にできないか試行錯誤する力がついた」、「いろいろな経験や必要な資格も取得でき楽しく仕事ができている」、「機械の操作がうまくできるようになっていく達成感、機械が自分の手にようになったような一体感が仕事が面白いと感じる」、「下船するお客様の笑顔や楽しそうな様子を見られた時には素直にうれしい」、「好きな物を造る仕事が続けられ、また、難しい技能検定に合格できたことにやりがいを感じている」など、仕事への情熱や達成感を感じながら働いているという発言がありました。

 女性が働く上で欠かせない職場の設備に関して、「女性用更衣室を作ってもらった」、「女性用の更衣室、シャワールーム、休憩用和室など完備、工場内に女性専用トイレも増設された」「職場にシャワーは無いが、近くに女性専用の寮があり不自由は感じていない」など、徐々にではあるものの職場設備の改善も進んでいるという発言がありました。

 女性が働き続けるための必要な制度に関して、「産休や育休の制度は充実しており、結婚や妊娠しても退職せずに陸上社員として働き続けられる」、「緊急時の代替要員の確保が難しく、出勤日の朝の子供の発熱時には苦慮することもある」、「働き続けるためには家族の協力が必要」など、各会社の休暇、産休や育休が充実してきていることを感じる発言も多くありました。

 座談会では、関係者が協力しながら働きやすい職場環境に変えている発言が聞かれ、 こうした環境変化が海事産業全体に広がっていくと、女性の海事関係への就業が進むと確信しました。
 
 今回の座談会の様子は、現地取材の映像も含め、YouTubeで配信し、海事産業の魅力を広く発信することとしています。


「輝け!フネージョ★ in 九州」〜海事産業の現場で活躍する女性たち〜
以下のURLにて配信中(YouTube 公式チャンネル「国土交通省九州運輸局」)
URL 【ダイジェスト】 https://youtu.be/YkICwWho0Is (約4分)
   【本 編】 https://youtu.be/M7Hl8vY0UB8 (約24 分)

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Posted by 九州運輸振興センター at 17:00 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

海上モーダルシフト利用促進セミナー(2022年10月11日開催)報告[2022年10月19日(Wed)]
             海上モーダルシフト利用促進セミナー開催報告

 令和4年10月11日(火)福岡市において「海上モーダルシフト利用促進セミナー」を開催しました。
 本セミナーでは、九州発着の長距離フェリー及び内航RORO船の11社が一堂に会し航路概況等を説明する機会として全国で初めてとなりました。その概要を報告いたします。

 〇 日 時 令和4年10月11日(火) 13:30 〜 14:45
 〇 会 場 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
 〇 主 催 (公財)九州運輸振興センター、九州運輸局、九州トラック協会
     九州長距離フェリー協議会
 〇 後 援 JR九州
 〇 説 明 九州発着の海上輸送サービスの案内
   説明事業者 オーシャントランス梶A東京九州フェリー梶A阪九フェリー
         名門大洋フェリー梶A潟tェリーさんふらわあ、宮崎カーフェリー
         商船三井フェリー梶A日本通運梶A近海郵船梶A川崎近海汽船
         マルエフェリー
 〇 モーダルシフト支援施策の紹介
    説明者 九州運輸局 交通政策部 環境・物流課長 小山 充 氏
 〇 参 加 者 135名
 〇 資 料 @九州発着長距離フェリー、内航RORO船航路概要(11社)
     Aモーダルシフト支援施策について
 
 〇 セミナー概要

【主催者挨拶】
 鈴木九州運輸局長から、トラック事業が抱える課題として、トラック運転手不足への対応があり、特に時間外労働の上限規制が令和6年4月から適用される「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっている。トラック事業における働き方改革を進め、労働環境・労働時間の改善が求められる。また、環境問題への対応として、温室効果ガスの排出量を削減し、カーボンニュートラルを推進する必要がある。さらに災害時の物資輸送への対応として、災害時に陸上輸送の継続が困難となった場合に、海上航路が救援資材や支援物資等の輸送に大きな役割を果たすことが期待されている。
 このような様々な課題へ対応するため、長距離フェリーや内航RORO船など海上輸
送の活用を図る「海上モーダルシフト」は極めて有効であると考えている。九州は関東、関西向けに多くの長距離フェリーや内航RORO船が就航しており、特にここ数年は、船舶の大型化が計画的に進められ、自動車航送能力が増強されるなど、海上モーダルシフトを進めるための環境が整っている。
 本日のセミナーで、荷主やトラック事業者にフェリー航路や運航ダイヤ、トラック積載台数など知っていただき、その活用に向けて検討いただく貴重な機会になると考えている。との挨拶がありました。

【九州発着長距離フェリー、内航RORO船航路概要等】
 九州を発着する長距離フェリー事業者6社、内航RORO船事業者5社から、船舶概要、運航航路・ダイヤ、積載能力、電源設備、船内設備、予約サービスやその他自社で特に提供するサービスなど各社から資料に沿って説明がありました。

【モーダルシフト支援施策について】
 トラックドライバーの働き方をめぐる状況では、少子高齢化の影響などでドライバー不足が喫緊の課題となっている。2024年度からトラックドライバーに関する時間外労働の上限規制が罰則付きで適用され、これまでの輸送が出来なくなる恐れがあり、特に市場から距離のある九州では大きな影響があると思われる。
 そのためモーダルシフトの対策を推進し、早急に物流の効率化を図ることは有効な対策の1つとなる。さらに2050年までにカーボンニュートラルの実現達成という政府の大きな目標がある。この目標達成に向けてもモーダルシフトの推進が必要となってくる。
 このような中、政府は昨年6月に新たな「総合物流施策大綱」を閣議決定した。この大綱では「簡素で滑らかな物流」、「担い手にやさしい物流」、「強くてしなやかな物流」の3つを柱とし取り組むべき施策を実施しているが、モーダルシフト推進も施策の大きな柱となっている。
 物流効率化、モーダルシフト等を推進するために物流総合効率化法が制定され、モーダルシフト等の取り組みを実施するにあたり国として支援策、補助制度が定められている。
具体的なモーダルシフト等推進事業は、計画策定経費の補助として、物流の効率化を始めてみようと思う意欲のある荷主・運送業者に対して、その方法を検討する会議の開催経費や試験的な運行を行うためのトライアル経費等を補助するもの。運行経費補助として、物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定を受け、その計画に基づきモーダルシフトや幹線輸送の集約化を行う事業者に対し、初年度の運行経費の一部を補助するもの。効率化を進めたいが、コストアップの懸念を抱いて転換を迷っている荷主や運送事業者に、国が経費の一部を支援し転換に踏み切りやすい環境を提供するもの。
 物流総合効率化法の計画認定状況は、令和3年度末までにモーダルシフト事業として全国104件、そのうち九州が起終点となる計画は43件で、九州に関係する計画は全体の41%に当たり、九州でモーダルシフト推進の必要性がわかる結果となっている。
 令和4年度は5月10日から6月10日の1ヵ月間で募集が行われ、九州管内では計画策定経費補助が1件、運行経費補助が2件採択されており、毎年事業認定されている との説明があった。その後、認定事業の例が資料により解説があり、環境負荷の低減効果が大きく、また長距離ドライバーの負担軽減など働き方改革に繋がる省力化の効果も大きいということが認定の重要な点だと説明されました。

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〇 その他
 セミナー後、長距離フェリー事業者、内航RORO船事業者とトラック運送事業者において、セミナー時に説明できなかった詳細情報の交換が行われていました。
 この機会を通じ「海上モーダルシフト」への転換が進み、労働環境・労働時間の改善、環境問題への対応が一層促進されることを期待するところです。

Posted by 九州運輸振興センター at 17:34 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

「企業経営基盤強化等セミナー」開催のご報告[2022年07月22日(Fri)]
             「企業経営基盤強化等セミナー」を開催いたしました

 令和4年7月11日(月)、福岡市において「企業経営基盤強化等セミナー」を開催しましたので、その概要を報告致します。(参加人数:会場46名、オンライン視聴なし)


 〇 テ − マ : デジタル技術を活用し働き方改革をサポート
 〇 講  師 : 九州デジタルソリューションズ株式会社 
         ソリューション営業部 営業企画グループ長代理 西 村 政 仁 氏

 〇 概  要

 運輸業界は、人材不足、長時間労働、人材の高齢化、高ストレスなど業界ならではの課題が山積しており、デジタル技術を活用した対策で適正な労務管理体制の確立、生産性の向上、業務の標準化・可視化ができると考えている。運輸事業者と共同で開発した「内航海運事業者向け勤怠管理サービス」により、船内記録簿など紙による管理では船ごとのファイリングにより勤務状況が船外からわらないなど課題があったが、デジタルを活用することによりペーパーレス、リアルタイムな情報共有、働く環境改善など導入効果が出ている。

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 「運送業者向け配送管理システム」では、貨物運送業の配送情報、ルート作成、配送先の変更など紙での管理では、紛失リスク、作成の属人化など課題があったが、デジタル活用で配送ルート作成の時間短縮、ペーパーレス、ナビゲーションと連動し最適な配送ルートの実現など導入効果が出ている。
「運送業者向け業務改善コンサルティング」では、社内外の紙媒体でのやり取り、情報転記など事務負担大であった課題がデジタル化したことにより、課題認識や改善点抽出、変革への意識改善等導入効果が出ている、など運輸業界への導入事例が紹介されました。

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 次に、今後の法改正の動きとして、2023年4月から労働基準法改正により月60時間以上では割増賃金率の値上げとなり、2023年10月から複数税率に対応した「インボイス制度」が導入され、2024年1月には「電子帳簿保存法」完全義務化がスタートする。さらに、2024年4月で時間外労働の上限規制の適用の運送業猶予期間が終了することになり、今後2年間で働き方改革につながる法改正が立て続けに行われる。その対応は急務であるが、デジタル化することで生産性向上のチャンスであることが説明されました。

 2022年4月に始まった船員の働き方改革に関しては、船舶業界が抱える「長時間乗船」「若者の意識の変化」「若者の定着率低下」などにより、2019年2月に働き方改革が着手された。今回の改正では、@船員の労務管理はこれまで船長が中心であったが、今後は船舶所有者が船員の労働時間の管理責任を負うことになる。そのために重要な労務管理記録簿は、これまでの「船内記録簿」と「休日付与簿」を統合したものとなっている。把握方法は原則として、パソコン、タイムカード等による客観的な記録・報告、船長等の現認による方法で、今後は電子化による客観性・効率性向上を図っていくことも必要。さらに労働時間規制の例外であった防火訓練等は労働時間として扱われ、割り増し対象の扱いに含まれるなど、船員法改正の具体的内容の解説がありました。

 最後に、1998年に制定された電子帳簿保存法は、電子化の準備に時間と手間がかかることや要件が多いなど導入のハードルが高く利用に踏み込めない企業が多かったため、2022年1月から「電子帳簿等保存」「スキャン保存」「電子取引」手続きの要件が大幅に緩和された。さらに「電子取引」は2年間の猶予期間が終わる2024年1月からは電子的な取引情報はデータ保存が全ての事業者で対象となり義務化されるなど「電子帳簿保存法改正のポイント」の説明があった。また、2023年10月1日以降は「適格請求書発行事業者」の有無により仕入先、課税事業者への消費税の課税が変わってくるなどの「インボイス制度のポイント」が説明され、こうした事務処理に際してもデジタル化の効果があることが事例とともに紹介されました。

 今回のセミナーでは、働き方改革に関連した法制度の説明とそれらに関連したデジタル技術を活用した取組事例の紹介があり、参加された各事業者の皆様の働き改革への取組みの参考になったと思われます。

Posted by 九州運輸振興センター at 14:56 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL

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