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九州経済圏における交通及び観光の振興と近代化を図るための事業を行い、もって地域経済の均衡ある発展に寄与し、あわせて民生の安定に資することを目的として、調査研究事業、施設整備事業、その他広報啓発等事業を柱に活動しています。

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第26回海事振興セミナー(九州クルーズセミナー)開催報告[2024年09月05日(Thu)]
               第26回海事振興セミナー開催報告

 令和6年7月31日(水)、福岡市において第26回海事振興セミナーを開催しましたので、その概要を報告致します。なお、今回の海事振興セミナーは、九州クルーズ振興協議会との共催で、同協議会総会の後に「九州クルーズセミナー」として開催致しました。

   〇 日  時 令和6年7月31日(水) 14:20 〜 16:00
   〇 会  場 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション3階「YAMAKASA」
   〇 主  催 公益財団法人 九州運輸振興センター 九州クルーズ振興協議会
   〇 後  援 JR九州
   〇 プログラム
      講演1 講 師:国土交通省海事局外航課 課長補佐 楠山 賀英 氏
            テーマ:我が国のクルーズ振興における課題と方向性
      講演2  講 師:日本国際クルーズ協議会 副会長 糸川 雄介 氏
            テーマ:アジアにおける日本のクルーズの展望
      講演3  講 師:一般社団法人クルーズイズム 代表理事 久野 健吾 氏
            テーマ:クルーズの魅力と発信の重要性
   〇 参 加 者 73名

   〇 講演概要

 国土交通省海事局外航課課長補佐の楠山賀英氏から「我が国のクルーズ振興における課題と方向性」をテーマに、日本の出入国者数や訪日外国人クルーズ旅客、日本人クルーズ人口、さらに旅行の中のクルーズの位置づけについて紹介があった。訪日旅客の直近の動向や訪日クルーズ旅客の推移では、2024年6月までの訪日外国人旅客数が313万人と2019年の288万人を上回り、その中でも中国からの旅行者は66万人で2019年比75%となっている。
 2019年の中国人クルーズ旅客は全訪日クルーズ旅客の80.8%となっており、今後の訪日クルーズのカギは中国人旅行者の回復にあるとの指摘がありました。
 我が国のクルーズ振興の拡大に向けては、@クルーズ船のスムーズな寄港を促進させるインフラ整備、A観光資源・素材・コンテンツ開発、Bマーケティング・プロモーションの実施、C裾野の拡大、D日本船の供給量増加といった課題の他、オーバーツーリズム、や人財育成、二次交通、制度面での課題や寄港地の受入意識等の課題が存在する。
 これら課題の解決に向けて、国では、公共交通利用環境の革新等事業によるインフラ整備のほか様々な支援メニューを用意しているが、限定的な支援が多く、船社の意向や作業面の優先度から有効な対策(補助)となりきれていないとの見解が示されました。
 まとめとして、「クルーズ振興の課題は多岐に亘るが、官民連携の流れを重視し、物理的な裾野の拡大に向けて集中的に注力する。クルーズ市場は拡大基調にあることから、中長期的視野で乗船促進のコンテンツ、集客促進につながる販促のあり方などを業界団体と連携して講じたい」と述べられ講演を締めくくられました。
楠山講師2.png

 日本国際クルーズ協議会副会長の糸川雄介氏は「アジアにおける日本のクルーズの展望」〜邦船、外国船の取り巻く状況から、日本市場の展望を考察する〜と題して講演されました。
 最近ラグジュアリークラスのクルーズ船の寄港が増えてきていることから、2023年日本発着のシルバーシーの例をもとに、日本全体での評価について解説がありました。 
 寄稿地での市民交流、桜など日本らしい風景は評価されるが、英語ガイドのレベルや地方港でのコンテンツ不足は評価を下げる要因となっており、多言語対応(ガイド育成)が課題となっている。近年日本発着で、韓国3港へ寄港する商品も出てきており、日本国内で寄港地を競っていたが、海外寄港地との競合へと変化しているという指摘がありました。
 邦船を取り巻く環境として、現状2社2隻だが、各々新船の就航を控えており、また、新規参入も現れ始めている。日本人クルーズ市場の拡大が命題ではあるが、既存2社においては、海外インバウンドマーケットが全体の20%となっており、その集客も課題と言える。   
 一方、欧米船社はコロナ禍の影響で未だ負債を抱えているが、その一方で、2023年の世界のクルーズ人口は3,170万と2019年から200万人増加し、各社過去最大の予約数となっている。米系船社はアメリカを中心に配船しており、ラグジュアリー、エクスペディションの新規参入や新造船が増加。さらに独立系MSCクルーズやバイキングクルーズが躍進するなどの状況となっている反面、中国市場の回復は遅れている。
 このため、中国市場を中心にアジアへの配船減少などが課題となっている。インバウンド中心の状況下、その客層に飽きられてしまうと、配船が大幅減となる可能性もある。
 コロナ再開後の船社はニーズに応じた配船を強化しており、人気エリアへの配船となっている。この先、外国船を日本に配船させるためには何をターゲットとするのか、国籍(市場)別に考察し、今後の方向性を考え、より一層インバウンドのニーズに応じた配船が求められる。
欧米市場向け(プレミアムクラス・ラグジュアリークラス)には、寄港地観光の高質化、新たな魅力の開発が重要となってくる。アジア市場向け(カジュアルクラス)には、中国無くして寄港回数の増加は見込めないことから、オーバーツーリズムの課題へどう取り組むかがポイントとなる。日本市場向け(プリンセスやMSC)については、市場が拡大することで、通年型での配船が見込めることから、日本市場の拡大(アウトバウンド)が重要であり、そのことが外国船を日本に止めおくことにも繋がる。「今後、イン・アウトの双方向に向いた施策を講じて、継続・安定の配船を目指す」ことが重要と述べられました。
糸川講師2.png

 一般社団法人クルーズイズム代表理事の久野健吾氏から「クルーズの魅力と発信の重要性」と題して講演があり、クルーズの魅力について、@圧倒的な非日常、A高いコストパフォーマンス、B食事、Cエンターテイメント、D身軽さ、E交流、F絶景、G効率的な移動、H家族旅行、I教育、Jエクスカーション、K安心・安全といったキーワードを挙げられ、自身の乗船経験なども交えながら説明されました。
 (一社)クルーズイズムにおける活動概要等の紹介後、我が国におけるクルーズ旅客及び人口の年齢構成比をもとにしたターゲット設定や、情報発信の手段としてのSNSの効果的な活用方法等について、同協会での取り組み事例や実績をもとに説明があった。最後にクルーズ旅を広める活動を通して、日本のクルーズ業界を応援していきたいと述べられ、講演を締め括られました。
久野講師2.png

 令和5年3月より本格的に国際クルーズの運航が再開され、多くのクルーズ船が全国の港湾に寄港しています。クルーズ船の寄港は地方誘客・消費拡大という面で大きなポテンシャルを有していることから、今後も九州クルーズ振興協議会等とも連携して、情報発信に努めて参ります。

Posted by 九州運輸振興センター at 10:41 | 海事振興セミナー | この記事のURL

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