「物流2024年問題研究会inKYUSHU」開催報告[2023年10月18日(Wed)]
「物流2024年問題研究会inKYUSHU」開催報告
この度、(公財)九州運輸振興センターと九州経済産業局、九州運輸局、(公社)日本ロジスティクスシステム協会は共催により「物流2024年問題研究会inKYUSHU 〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜」を下記により開催しましたので、その概要を報告致します。
〇 日 時 令和5年9月7日(木)12:50 〜 16:20
〇 会 場 TKPガーデンシティ博多新幹線口 プレミアムホール
〇 主 催 (公財)九州運輸振興センター、(一社)日本ロジスティクスシステム
協会、九州運輸局、九州経済産業局
〇 テ − マ 物流2024年問題研究会in KYUSHU
〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜
〇講 演 「物流2024年問題への対応にむけて」
(株)湯浅コンサルティングコンサルタント 芝田稔子氏
〇事例紹介 企業事例@「2024年問題にむけたTOTO の取り組み」
TOTO(株)物流本部物流推進部部長 河村孝史氏
企業事例A「小売事業者としての2024年問題対応」
イオン九州 株 取締役 常務執行役員 管理本部長 赤木正彦氏
行政@「経済産業省における物流の2024年問題等に向けた
対応について」
九州経済産業局産業部流通・サービス産業課課長 田代信二氏
行政A「トラック運送事業に関する九州運輸局の取組について」
九州運輸局自動車交通部貨物課課長 東 祐樹氏
※講演、企業事例のみの概要報告とします。
<概 要>
□ 講 演
【物流2024年問題への対応に向けて:鞄註コンサルティング】
トラックドライバーの働き方改革に関する法律が令和6年4月から適用される2024 年問題に直面している。このような中、令和5年6月2日に取りまとめられた「物流革新に向けた政府パッケージ」において、荷主・物流事業者・消費者が協力して、我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策が策定されたところ。
2024年問題への対応は、物流の近代化に向けた象徴的な取り組みであり、2024年問題をきっかけとして、物流をあるべき姿へと転換させるいい機会である。
2024年問題が社会的に大きくクローズアップされ、物流の停滞を回避するための良い取り組み事例なども出てきているが、物流のかたちを作るのは物流事業者ではなく、荷主であり、選ばれる荷主にならなければならない。まさに荷主が本気になるべき時が来たと言えるが、まだそのことに気づいていない事業者も多い。
効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者(運送・倉庫等)、着荷主事業者が連携・協働(タテ・ヨコの連携)して、改善を図っていくことが重要であり、連携することで異次元の取り組みも出てくる。その実効性を確保するためにも物流の適正化・生産性向上に向けたガイドラインに沿った取り組みを強力に進めていくことが求められているとの指摘がありました。
□企業事例@
【物流2024年問題に向けたTOTOの取組み】
物流2024年問題への取組として、本日は、2019年4月からの東日本物流部在籍時の活動について紹介したい。
TOTO物流本部は、TOTO+構内協力企業の800名で組織。物流本部は、TOTO(株)の全社方針である「TOTO WILL 2030」に基づき、三つの柱からなる物流本部方針のもと「世界5極において、適正コストで安定供給ができる物流体制を構築し、世界中にTOTOファンを増やしていく活動に貢献する」ことを目的に活動を展開している。
具体的には、現状のサービスとニーズのギャップをアジャストし安定供給強化を図るため物流部門関係者で物流サービスの現状と今後の方向性について、本社スタッフをはじめ、物流センターや各営業所の関係者が認識を共有し、安定配送に向けた活動を行っている。
物流2024年問題への取り組みとしては、@配達能力枠の設定、A東京都の輸送ルートの改善、B注文締切タイミングの早期化、CSMSメールによる持ち戻り削減、Dトラック待機時間削減(ダイヤグラム化)Eトラック待機時間削減(パレットファインダーの導入)の6項目について、支線輸送に関するもの、幹線輸送に関するものに区分し、課題解決に向けた取組を行い、物流の平準化や効率化、安定供給、DX化の進展が見られたところ。
今後も様々な改善活動を通じて、安定供給体制を強化し、物流の2024年問題と将来のカーボンニュートラルに向けても物流事業者と共に取り組んでいくこととしているとの説明がありました。
□企業事例A
【小売り業者としての2024年問題への対応について】
2024年問題の小売業・九州エリアへの影響について、(株)NX総合研究所データによると業界別に係る分析で、卸・小売業・倉庫業においては、2019年比で9.4%輸送能力が不足するとの試算。また、地域別では、九州は19.1%不足し、2030年には39%不足するとの結果。この試算結果を踏まえ、イオングループへの影響について見てみると、2024年にはドライバー不足となり、常温商品のカート残荷が発生し、ショッピングモールへの配送が不可能となりかねない。
そのため、イオン九州(株)では、イオンG物流改革プロジェクトと九州物流研究会の下、持続可能な社会の実現、九州に貢献し続ける100年企業を目指し、物流の2024年問題やサステナブルへの対応に向けた二つの取り組みを進めている。
物流2024年問題については、コネクティッド技術やデータの活用を行いトヨタ生産方式によりセンター内の作業改善や配送効率化、物流効率化を目指し取り組みを進めており、こうした取り組みにより川上から川下までの工程を一気に変えることができるのではないかという思いで取り組んでいるとの説明がありました。
物流業界においては、2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制等の働き方改革や脱炭素化に向けた取り組みへの対応が求められています。
本セミナーを通じ、物流が停滞・途絶することは、運送事業や倉庫業者等の物流事業者のみならず、荷主企業や消費者を含め、物流に関わる関係者全てにとって、さらには経済社会全体にとって、回避しなければならない事態であることを認識し、物流が直面している諸課題の解決に向けた取り組みが進められていくことを期待するものです。
この度、(公財)九州運輸振興センターと九州経済産業局、九州運輸局、(公社)日本ロジスティクスシステム協会は共催により「物流2024年問題研究会inKYUSHU 〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜」を下記により開催しましたので、その概要を報告致します。
〇 日 時 令和5年9月7日(木)12:50 〜 16:20
〇 会 場 TKPガーデンシティ博多新幹線口 プレミアムホール
〇 主 催 (公財)九州運輸振興センター、(一社)日本ロジスティクスシステム
協会、九州運輸局、九州経済産業局
〇 テ − マ 物流2024年問題研究会in KYUSHU
〜差し迫る2024年、今やるべきことは〜
〇講 演 「物流2024年問題への対応にむけて」
(株)湯浅コンサルティングコンサルタント 芝田稔子氏
〇事例紹介 企業事例@「2024年問題にむけたTOTO の取り組み」
TOTO(株)物流本部物流推進部部長 河村孝史氏
企業事例A「小売事業者としての2024年問題対応」
イオン九州 株 取締役 常務執行役員 管理本部長 赤木正彦氏
行政@「経済産業省における物流の2024年問題等に向けた
対応について」
九州経済産業局産業部流通・サービス産業課課長 田代信二氏
行政A「トラック運送事業に関する九州運輸局の取組について」
九州運輸局自動車交通部貨物課課長 東 祐樹氏
※講演、企業事例のみの概要報告とします。
<概 要>
□ 講 演
【物流2024年問題への対応に向けて:鞄註コンサルティング】
トラックドライバーの働き方改革に関する法律が令和6年4月から適用される2024 年問題に直面している。このような中、令和5年6月2日に取りまとめられた「物流革新に向けた政府パッケージ」において、荷主・物流事業者・消費者が協力して、我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策が策定されたところ。
2024年問題への対応は、物流の近代化に向けた象徴的な取り組みであり、2024年問題をきっかけとして、物流をあるべき姿へと転換させるいい機会である。
2024年問題が社会的に大きくクローズアップされ、物流の停滞を回避するための良い取り組み事例なども出てきているが、物流のかたちを作るのは物流事業者ではなく、荷主であり、選ばれる荷主にならなければならない。まさに荷主が本気になるべき時が来たと言えるが、まだそのことに気づいていない事業者も多い。
効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者(運送・倉庫等)、着荷主事業者が連携・協働(タテ・ヨコの連携)して、改善を図っていくことが重要であり、連携することで異次元の取り組みも出てくる。その実効性を確保するためにも物流の適正化・生産性向上に向けたガイドラインに沿った取り組みを強力に進めていくことが求められているとの指摘がありました。
□企業事例@
【物流2024年問題に向けたTOTOの取組み】
物流2024年問題への取組として、本日は、2019年4月からの東日本物流部在籍時の活動について紹介したい。
TOTO物流本部は、TOTO+構内協力企業の800名で組織。物流本部は、TOTO(株)の全社方針である「TOTO WILL 2030」に基づき、三つの柱からなる物流本部方針のもと「世界5極において、適正コストで安定供給ができる物流体制を構築し、世界中にTOTOファンを増やしていく活動に貢献する」ことを目的に活動を展開している。
具体的には、現状のサービスとニーズのギャップをアジャストし安定供給強化を図るため物流部門関係者で物流サービスの現状と今後の方向性について、本社スタッフをはじめ、物流センターや各営業所の関係者が認識を共有し、安定配送に向けた活動を行っている。
物流2024年問題への取り組みとしては、@配達能力枠の設定、A東京都の輸送ルートの改善、B注文締切タイミングの早期化、CSMSメールによる持ち戻り削減、Dトラック待機時間削減(ダイヤグラム化)Eトラック待機時間削減(パレットファインダーの導入)の6項目について、支線輸送に関するもの、幹線輸送に関するものに区分し、課題解決に向けた取組を行い、物流の平準化や効率化、安定供給、DX化の進展が見られたところ。
今後も様々な改善活動を通じて、安定供給体制を強化し、物流の2024年問題と将来のカーボンニュートラルに向けても物流事業者と共に取り組んでいくこととしているとの説明がありました。
□企業事例A
【小売り業者としての2024年問題への対応について】
2024年問題の小売業・九州エリアへの影響について、(株)NX総合研究所データによると業界別に係る分析で、卸・小売業・倉庫業においては、2019年比で9.4%輸送能力が不足するとの試算。また、地域別では、九州は19.1%不足し、2030年には39%不足するとの結果。この試算結果を踏まえ、イオングループへの影響について見てみると、2024年にはドライバー不足となり、常温商品のカート残荷が発生し、ショッピングモールへの配送が不可能となりかねない。
そのため、イオン九州(株)では、イオンG物流改革プロジェクトと九州物流研究会の下、持続可能な社会の実現、九州に貢献し続ける100年企業を目指し、物流の2024年問題やサステナブルへの対応に向けた二つの取り組みを進めている。
物流2024年問題については、コネクティッド技術やデータの活用を行いトヨタ生産方式によりセンター内の作業改善や配送効率化、物流効率化を目指し取り組みを進めており、こうした取り組みにより川上から川下までの工程を一気に変えることができるのではないかという思いで取り組んでいるとの説明がありました。
物流業界においては、2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制等の働き方改革や脱炭素化に向けた取り組みへの対応が求められています。
本セミナーを通じ、物流が停滞・途絶することは、運送事業や倉庫業者等の物流事業者のみならず、荷主企業や消費者を含め、物流に関わる関係者全てにとって、さらには経済社会全体にとって、回避しなければならない事態であることを認識し、物流が直面している諸課題の解決に向けた取り組みが進められていくことを期待するものです。
Posted by 九州運輸振興センター at 16:33 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL