企業経営基盤強化等セミナー(ハラスメントの予防と対策)報告[2021年11月09日(Tue)]
企業経営基盤強化等セミナー(ハラスメントの予防と対策)を開催しました
(公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「企業経営基盤強化セミナー」を、九州地方倉庫業連合会、九州旅客船協会連合会、九州地方海運組合連合会、九州地方港運協会、九州舶用工業会の協力のもと、令和3年10月21日(木)に福岡市において開催いたしました。
職場でのハラスメント対策において、セクシュアルハラスメントに関しては平成11年から男女雇用機会均等法により、妊婦・出産・育児休業等に関するハラスメントについては平成29年から男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法により、パワーハラスメントに関しては労働施策総合推進法により令和2年から防止対策が義務付けられています。特にパワーハラスメントにおいては、努力義務であった中小企業も令和4年4月1日から義務化となります。
職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる、@優越的な関係を背景とした言動であって、A業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、B労働者の就業環境が害されたもので、これらの要素を全て満たすものをパワーハラスメントといい、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については該当しないとの説明がありました。職場や労働者の考え方として、通常就労する場所以外でも、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」であり、勤務時間外の「懇親会の場」社員寮や通勤中などであっても職務の延長上と考えられるものは「職場」に該当する可能性があります。このため職務との関連性、参加者の参加・対応において、強制的か任意かなどの個別な考慮が必要であることや、労働者はパートタイム、契約社員、派遣労働者も対象となることなどが説明されました。
今後、義務化される中小企業の職場においては、ハラスメントの防止のために事業主が必ず講じなければならない措置として4つあげられました。@「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」として、職場におけるハラスメントの内容・ハラスメントを行ってはならない旨を明確化し、また、行為者について、厳正に対処する方針・対処の内容を就業規則等の文章に規定し、労働者に周知・啓発すること。A「苦情を含む相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」として、相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知するとともに、相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じて、適切に対応できるようにすること。B「職場におけるハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」として、事実関係を迅速かつ正確に確認すること、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うとともに、再発防止に向けた措置を講ずること。C「その他併せて講ずべき措置」として、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、また、相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
これらを、具体的な取組例やハラスメントの事例を交えながら解説されました。
今回のセミナーは、定員50名のところ、内航事業者、旅客船事業者をはじめ海事関係事業者、運輸関係事業者の方々に広くお申込みいただきました。会場での感染防止対策に支障が出ないことを確認し、67名の申込者全員にご参加いただきました。
ハラスメントの対策として対応するための体制づくりは当然のことながら、ハラスメントに対する事業主の方針を明確に示し、それを管理・監督者を含む労働者に周知・啓発することが重要であることを改めて認識することができる良い機会となりました。参加された各事業者の皆様も今後の対策の参考になったと思われます。

Posted by 九州運輸振興センター at 13:21 | 企業経営基盤強化等セミナー | この記事のURL