第18回海事振興セミナー 報告[2017年06月30日(Fri)]
クルーズ王国九州のさらなる取組活動の推進に向けて
〜第18回海事振興セミナーを開催しました〜
(公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第18回海事振興セミナー」を、九州地方整備局港湾空港部長 堀田治氏を講師にお迎えし「九州におけるクルーズの動向について」をテーマに、平成29年6月23日(金)、福岡市において九州クルーズ振興協議会との共催により開催いたしました。
クルーズ船の寄港は、地域経済へ大きな効果を与えることから日本全国でクルーズ船寄港誘致が積極的に行われています。特に九州は九州クルーズ振興協議会を始め、関係者の積極的な取組みやアジアに近いという地理的特性、豊富な観光資源を有すること等からクルーズ船の寄港は極めて多くなっています。今後、一層のクルーズ船寄港誘致のため、関係者によるハード面、ソフト面でのさらなる整備・充実が進められていることから、今回のセミナーは、今後のこのような取組みに貢献することを目的に企画・開催いたしました。
講演では、
〇世界やアジアのクルーズ人口が10年前に比べ急速な増加しており、日本においてもクルーズ船寄港回数が大きく伸び、特に九州の「博多港、長崎港、那覇港」が上位港を占め、クルーズ船による入国者数が増加の一途で、全国の7割が九州からの入国である。九州の特徴として2016年は港湾からの入国者数が空港からの入国者数を上回る結果となっており、2017年には欧米大手クルーズ船社のアジアへの大型船4隻の投入予定による、1,000回以上のクルーズ船の寄港予定、日本発着クルーズの運営が3社体制に確立し、色々な寄港地で乗下船できるクルーズや期間の長いクルーズ、などバリエーションが多くなっており魅力的になっているなどの現状報告がありました。
〇日本向けのクルーズマーケットの多くが中国、1週間以内の旅行行程であることから、九州・沖縄によらないツアーはわずか7%、九州はクルーズマーケットを担う重要な土地である。また、最近のクルーズの傾向として、買い物から自然・観光・アクティビティーでの体験など傾向が変わってきている。さらには、チャータークルーズにおけるランドオペレーターの問題やクルーズ船対応が今後もできる仕組みの検討の必要性。特に「おもてなし」や地元の名産品等の販売事例などの新たな取り組みの紹介や今後のクルーズ対応にあたって地元の関りの大切さ、国によるクルーズ拠点の整備に向けた様々な取り組みなども紹介されました。
〇最後に、課題と今後の展望として、日本、アジアのクルーズは黎明期から成長期に入っている。2020年頃までの成長期において日本を含むアジア地域のクルーズが完成に近づく。現在、新造船の投入など新たな動きもあることから、港湾の整備、旅行業関係制度などの受け入れ環境整備が大切。従来、港湾は物流に限られていたが、クルーズ船の入港などにより景色が変わり一般的な活用や観光資源としての活用、クルーズ船の入港による地域の国際化が進むなどの影響が出てくる。クルーズが成長することにより多角的、広域的に恩恵が受けられることが望まれると結びました。
今回の海事振興セミナーは九州クルーズ振興協議会メンバーを中心にクルーズ振興等に関係される約140名が参加されましたが、参加された皆様には今後の取組みなどに大変参考になる非常に有意義かつ貴重なものとなりました。