港湾運送事業のBCP調査結果報告書について[2013年12月11日(Wed)]
港湾運送事業のBCP調査結果報告書をまとめました
−8割以上が未策定、未策定者のうち、約8割は策定に前向き−
(公財)九州運輸振興センターでは、平成25年8月から9月にかけて九州・山口県(九州運輸局管内区域)の全港湾運送事業者の事業継続計画(BCP)に関する調査を実施し、このほど調査結果報告を取りまとめました。
近年、大規模災害等が発生した際にその影響の軽減を図り、適切・迅速な事業継続を図るために、企業において事業継続計画(BCP)を策定することが求められており、行政や、各事業者団体においてガイドラインや、マニュアルが策定され、その促進が図られています。
本調査は、海陸結節点である港湾において円滑な国際・国内物流の確保に極めて重要な役割を果たしている港湾運送事業について、近い将来、南海トラフ大地震の発生が予想される中にあって、九州・山口県におけるBCPの策定状況、策定のために何が必要かなどを調査・把握し、同事業におけるBCP作成を促進し、その円滑な事業継続、ひいては、大規模災害時等の円滑な物資流通の確保に寄与することを目的に実施しました。
※調査結果報告書は、当センターホームページの「調査研究」→
「 事業継続計画(BCP)アンケート調査報書」からご覧になれます。
調査結果等の概要は、以下のとおりになっています。
1.調査時期
平成25年8月19日〜9月18日の1か月間
2.調査対象及び回収数
@調査対象 九州地方港運協会 全会員
(133事業者:同一企業で各地区に支店等が存するものは中核となる支店等のみ対
象とし、重複を除いた。)
A回 収 数 91事業者(回収率 68.4%)
3.調査結果の要点
@BCPの認知度
BCPがどのようなものであるかを「知っている」は約7割、「知らない」は3割であった。
ABCPの策定状況
BCPを策定している(策定中を含む。)のは、約17.6%と、83.4%は未策定である。
(なお、未策定のうち、策定を検討中は13.2%である。)
Bすでに策定している事業者が、BCP策定に当たって困ったことは、
「策定に必要なスキルやノウハウが乏しかった」、「自社の業種に即したガイドライン等がな
かった」、「社内で緊急時に優先することの抽出が難しかった」ことが多く挙げられている。
CBCP策定に当たり必要と感じたこと等
既にBCPを作成した事業者から、作成に当たり、必要と思われた事項が次のとおり挙げられ
ている。
・港湾運送業に特化したBCPマニュアルの作成
(シンプルなもの・わかり易いもの)
※本年10月に(一社)日本港運協会で「事業計画書策定支援ツール」(港湾運送業に特化
したBCPマニュアル)が策定されている。
・BCP策定のための講習会・説明会の開催
・具体的な作成要領
・実効性の高いBCPにするための訓練シナリオ
・企業活動においての優先順位
・顧客との連携と自社の対策を重複させない内容
DBCP未策定事業者の今後の対応
BCP未策定事業者の約8割は、BCP策定に前向きな姿勢が見られる。
・マニュアルがあれば策定を検討したい(未策定事業者の49.2%)
・ガイドライン(マニュアル)を見てから策定を考える(17.5%)
・ガイドラインを参考に策定する方向で検討したい(11.1%)
当センターでは、以上の調査結果から、今後、BCP未策定港湾運送事業者が、BCPを作成するためには、本年10月に(一社)日本港運協会で作成されている「事業計画書策定支援ツール」(港湾運送業に特化したBCPマニュアル)を活用したBCPの策定促進を図るために、九州地方港運協会と連携したBCP策定説明会の開催について検討を進めることにしています。
なお、本調査で、「BCPの実効性確保のためには、当該BCPに基づく訓練が必要であり、また、そのためのシナリオ(マニュアル)が必要」との意見が出されていますが、このことは非常に重要なことであり、BCPの実効性を確保するためには、今後、BCP策定の説明会等と併せ、訓練マニュアルの作成・説明会の開催も必要になるものと考えられます。