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日本科学協会の国際交流活動

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「日中未来創発フォーラムin東京〜拝啓、20年後の私たちへ」開催(第一弾) [2024年10月15日(Tue)]
 9月21日、笹川平和財団ビル(東京・港区)で「日中未来創発フォーラムin東京〜拝啓、20年後の私たちへ」が開催され、オフラインでは日本の大学生等41名と中国からの留学生39名、オンラインでは中国人民大学の学生12名で合計92名が参加して未来における日中協力の可能性について考えました。


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北京からオンライン参加の中国人民大学 学生


 このフォーラムは、笹川平和財団(理事長 角南 篤氏)が、日本科学協会、中国人民大学、学生団体「京論壇」の協力を得て開催する対話・研究型の日中交流イベントで、2022年から4回に亘って開催されてきた日中未来創発ワークショップの一環として開催されるものです。
 参加者には、デジタル技術の進展、グローバル化、多文化共生など世界共通の社会環境の変化を学びながら20年後の社会を展望し、どのような日中協力が可能なのかについて「環境」、「福祉」、「文化」、「教育」の分野から深堀りしていただきます。

 キックオフミーティングとなるこの日は、日中参加者の初顔合わせ後、基調講演、チーム討論などが行われ、今後、2ヶ月に亘ってオフラインやオンラインにより進められていく一連の研究交流活動の方向付けを行いました。

 開会にあたり本フォーラムを主催する笹川平和財団を代表して同財団の笹川日中友好基金室 特任グループ長 尾形慶祐氏は、まず、会場の参加者が様々な期待や確固たる考えをもって本フォーラムに臨んでいることに触れ、参加者の期待に応えられるよう努力していく旨の意向を示しました。
 更に、異なる考え方や背景を持つ日中の若者が対話し共に考えることで創発的に生まれる新たなアイデアへの期待を示した上で講師や他のメンバーから新たな知識を得られる絶好の機会を楽しんで欲しいとの希望を表明しました。


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笹川平和財団の尾形特任グループ長(右)


◆基調講演
 この日の最初のプログラムは各部門の専門家による基調講演です。まず、日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリストの尹旭東氏は、AI & Azure アーキテクトに関わるビジネスマンの視点から、「デジタル革命(AI)×文化」をテーマにAI活用の現状、課題、発展見通し等を紹介し、AI技術の進展により変化していく未来社会を描き、日中協力の可能性を探るためのヒントを提供しました。


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日本マイクロソフト(株)エバンジェリストの尹氏


 次に、中国人民大学 法学院 副教授でデジタル経済、メタバース、デジタル金融の研究者である黄尹旭氏は、「デジタル社会の発展ビジョン」をテーマにECサイト、モバイル決済、スマートシティ、オンライン教育、生成AIなどの面からデジタル社会の現状や発展ビジョンを紹介し、未来社会の様々な分野における日中協力について研究を進めていく手掛かりとなる専門知識を提供しました。


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中国人民大学の黄教授


 最後に、学生団体「京論壇」代表で東京大学教養学部2年の岡田智七永さんは、議論を通じた相互理解深化と相互信頼醸成のための日中交流活動を実践している学生の視点から「議論の技術と心構え」をテーマに、効率的に有意義な議論を展開させるための方法や心構えを紹介しました。
 また、「京論壇」副代表、同教育分科会 副議長で、東京大学教養学部2年の上田理沙さんは、8月に北京大学との間で行った教育分科会のセッションについて、このフォーラムの教育分野に関する対話・研究のための参考事例として紹介しました。


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京論壇」岡田代表


◆チーム対話(研究テーマの確定)
 環境、福祉、文化、教育の4つ分野のテーマに沿って12チームに分かれた参加者は、各分野の専門家からなるファシリテーターによる事前レクを受けた後、それぞれの分野における課題の抽出、研究テーマや研究プロセス、フィールドワーク等に関する意見交換を経て今後の研究交流活動への方向付けを行いました。
 各分野における課題として挙げられたのは次のようなものでした。

【環 境】
“海洋環境を切り口に多角的に環境問題について考えてみよう!”
★参加者
 合計18名/3チーム

★課題
 ・地球温暖化
 ・海洋プラスチック問題
 ・海洋環境保護
 ・温暖化による生態系の変化
 ・牛のげっぷによるオゾン層破壊
 ・水産業従事者の減少、漁業の担い手不足
 ・2050年カーボンニュートラル宣言
 ・海面上昇
 ・大気汚染
 ・エネルギーの消耗
 ・化石燃料への依存
 ・バイオマス燃料の応用
 ・EVバッテリー(リチウムイオン電池)、ソーラーパネル廃棄問題
 ・ごみ埋立問題
 ・食物の大量投棄、食品ロス
 ・地下水汚染
 ・森林破壊、砂漠化
 ・鉱山発掘による地形変化

★研究テーマ
 Team 1:原子力発電における日中の協力可能性について
 Team 2:A.I.による食品ロスの減少と再利用の研究
 Team 3:スマートコミュニティ『Recycle 銀行』の応用と発展
    〜人工知能技術によるコミュニティの循環経済の推進〜


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【福 祉】
“高齢化社会における介護とデジタル技術を考えてみよう!”
★参加者
 合計10名/1チーム

★課題
 ・少子高齢化社会
 ・認知症問題の顕在化
 ・医療サービス施設の地域格差
 ・長期介護による肉体的・精神的疲労、DV
 ・介護施設、介護人材の不足
 ・老々介護による家族の負担
 ・医療に係る経済的負担の増大(個人も社会も)
 ・独居の高齢者の増加
 ・社会保障制度の財政難
 ・介護する家族の心身的負担、経済負担
 ・高齢者の疾病予防

★研究テーマ
 Team 1:高齢者問題
      ・身体的問題
      ・精神的問題
      ・制度的な問題


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【文 化】
“デジタル革命や多文化共生から人気アニメやゲーム、文学への影響を見てみよう!”
★参加者
 合計30名/4チーム

★課題
 ・多文化共生のための文化理解
 ・日本に住む外国人に対する違和感
 ・異文化コミュニケーション
 ・AIが文化に与える影響(アニメ、ゲーム)
 ・日中文化交流(ゲーム、音楽、映画)
 ・サブカルチャーのアクセス時の日中障壁(言語、SNS、ツールの違い)
 ・ゲームや映画のローカライズの日中相違
 ・流行文化の日中相違と類似
 ・SNS、ゲームにおける日中相違
 ・日中の若者に文化を伝播するメディア(Instagram、TikTok、小紅書)
 ・アイドルや音楽の日中相互交流
 ・中国のゲームが日本のゲームに与える影響
 ・映画・ドラマの撮影方法や特徴に関する日中相違
 ・美的センスの日中相違
 ・日中芸能人の交流の機会設定

★研究テーマ
 Team 1:横浜や池袋といった中華街の歴史とこれから
 Team 2:日中メディアの歴史と未来
 Team 3:様々な業界における日中交流
 Team 4:多様なルーツを持つ人の困難と可能性 


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【教 育】
“新しい時代の教育について語り、体験し、未来を創造してみよう!”
★参加者
 合計23名/4チーム

★課題
 ・社会構造の違い(日中価値観の相違)
 ・日中の教育の仕方の違い
 ・学校教育問題(詰め込み教育→考える力育成教育)
 ・情報を見る際のネットリテラシー
 ・農村部と都市部の教育格差の是正(ICTによる)
 ・教師の能力格差
 ・国境を越えた教育の機会不足
 ・学びのチャンスの学校格差
 ・日中相互理解の深化
 ・偏見の解消
 ・最新技術の活用

★研究テーマ
 Team 1:教育とメディア
 Team 2:農村部と都市部の教育格差をICTで縮める
 Team 3:教育のデジタル化といじめの日中比較
 Team 4:日中受験方式が歴史認識に与える影響A実地体験の日程@チーム別の研究の方向性


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 今後、各チームは10月中に開催予定のそれぞれのフィールドワークを経てテーマ研究を深め、11月24日(日)には、本日、オンラインで参加した中国人民大学の学生も加わってテーマ別にチーム発表を行い全体に共有されます。


◆参加者感想
 こうした参加者の中には本会の事業関係者が何人かいて、そのうち2人の学生がこのフォーラムに対する感想を寄せてくれました。
 1人は、昨年度のPanda杯全日本青年作文コンクール訪中団員で、笹川訪日団同行者として前回のワークショップに参加した経験があるに在学中の日本の学生で、もう1人は今年2月に本会が実施した日本招聘の笹川杯訪日団員として前回のワークショップに参加した経験があり、現在、東京大学大学院に留学中の中国人の学生です。

岡山大学大学院社会文化科学研究科 高野かずみさん
 フォーラム初日には多様な背景をもつ参加者が一堂に会し、たいへん活発なグループワークに取り組めました。初めて会ったはずの中国人・日本人であってもしばらくすれば打ち解け、相互に素直な考えや思いを伝え合えることを実感し、今回の「20年後の未来を描く」という目標が必ず達成されることを確信しました。今後2か月間、同グループのメンバーをはじめ多くの参加者と交流し、知見を深めていきたいと改めて思いました。

東京大学大学院 董潤高遠さん
 このフォーラムでは、私たちのグループは「文化」をテーマに議論しました。文化には、国の政治、メディア、ニュースの発信から、私たちの周りで経験するさまざまなサブカルチャーに至るまで、あらゆるものが含まれます。初めて会ったときはお互いに他人でしたが、「文化」という共通点ですぐに距離が縮まりました。フォーラムのテーマ「20年後の未来」に合わせて、過去と現在を語り合い、理想の青写真を描きました。コミュニケーションのプロセス全体がとてもリラックスしていて楽しかったので、次回お会いできるのを楽しみにしています。(和訳)
  在本次论坛中,我们小组就“文化”这一议题展开了探讨。文化包罗万象,大到国家政治、媒体和新闻的传播,小到身边各式各样的亚文化,身边所经历的一切,都可称之为“文化”。尽管我们初识时彼此陌生,但“文化”这一议题的共通性迅速拉近了彼此之间的距离。结合论坛的主题“20年后的未来”,我们谈论过去与现在,并绘制了一幅理想的蓝图。整个交流的过程十分轻松愉快,我也很期待次与大家见面。(原文)

◆今後の予定
《フィールドワーク》(任意参加)
 期日:2024年10月中 
 場所:テーマ別に実地体験
 訪問先例:ビーチクリーン活動体験、福祉施設訪問、アニメ会社訪問、音声・収録を見学、インフルエンサー座学会、教育機関訪問、教育専門家雑談会など

《発表準備》
 日時:2024年11月23日(土)13:00〜16:00
 場所:笹川平和財団ビル

《成果発表》 
 期日・概要:2024年11月24日(日)午前 テーマ別でグループ発表 
                   午後 最終発表
 場所:笹川平和財団ビル




photo-102.jpg100名余のフォーラム参加者・関係者

文責:宮内孝子










                

Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 17:42 | 日中未来共創プロジェクト | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)