日中若者討論会 幻想を現実へ確かな一歩
[2019年02月27日(Wed)]
2月21日、日中若者討論会を開催し、80名を越える日中若者が少子化という共通の課題について意見を交換し、相互認識を深めました。

討論会のテ一マは「少子化現象について〜将来を担う私たちができること」であり、7グループに分かれ、少子化の原因、社会への影響、今後の対応策の三点を巡り、約1時間半に亘って討論を行いました。

A〜Gグループのうち、初来日の中国人学生が多かったBチ一ムでは、少子化は地方活性化で都市部人口集中を分散させ、過度のストレス社会を緩和することで、改善されるとの意見が多数見られ、その実例をあげて話し合いました。

大東文化大学文学部の瀬尾宗義さんは「地元の小中学校が次々と廃校となるのはとても寂しかった」と自らの体験に触れ、こうした現状の打開策として、故郷の小学校は地域の伝統工芸や芸術を体験できる授業を開設し、幼い頃から地元への理解を持ってもらえるような取り組みを行っていることを紹介。

一方、天津外国語大学国際伝媒学院漢語言文学専攻の喬暢さんは、「中国では一流大学の分校を地方に建て、地域経済の活性化に大貢献している」ことや、「大卒者が農村で数年働いてから、大学院を受験した場合、何点か加点される制度もある」と身近な例を紹介し、互いに良い事例を積極的に学び合うことが大切としました。

開会の挨拶を行った日本科学協会の大島美恵子会長は「活発な議論を通して、皆さんが友人となり、日中の明るい未来を担う人材に育って欲しい」と温かなエ一ルを送りました。

今回討論会に参加した笹川杯訪日団の団長を務める北京大学日本語学部の岳遠坤助教授は閉会の挨拶で、活発な討論で得た認識を更に深めるため、「更に一歩踏み込んで、なぜ先進国では少子化が進むのかを今後考えて欲しい」と、参加者に呼びかけました。

講評を行った日本財団の尾形武寿理事長は「日中が価値感を共有しているなどとは幻想」と強調した上で、「ただこのような討論会を通して、若者同士が顔と顔を合わせて話し合えば、幻想を現実化できる可能性はある」と日中の未来を担う学生達を激励しました。
今回、討論会に参加した35名の中国人学生らは日本科学協会が中国で2018年度に開催した「笹川杯全国大学日本知識大会」、「笹川杯作文コンクール」、「本を味わい日本を知る作文コンクール」、「笹川杯日本研究論文コンクール」の上位入賞者で、2月19日から26日まで訪日研修旅行を行い、東京以外に沖縄、滋賀、京都、大阪等を訪れ、現地の環境対策や伝統文化などを学びました。