知日派大学生が日本知識を日本語で競う〜「日本知識大会」開催〜(10月27日)
[2024年11月09日(Sat)]
10月26日、27日の両日、中国杭州の浙江大学で「笹川杯全国大学日本知識大会2024」が開催され、中国全国(20省、4直轄市、1自治区)の100大学(選手294名)が一堂に会し日本知識を日本語で競いました。
この大会は、本会が中国の大学との共催により、中国の大学の日本語学習者を対象として2004年から開催している日中交流事業で、今年、設立20周年を迎えました。
26日は団体・個人の各予選、27には団体・個人の各決勝戦が開催されました。
決勝戦の開会式で、浙江大学の周江洪副学長は、中国の若者の日本理解の深化、日本語学習意欲の向上、中日文化交流の促進など本大会開催の意義を強調し、これまで蓄積してきた知識を十分に活かし、中日間の相互認識と相互尊重が促進されるよう望んでいるとした上で、本大会を機に新時代に求められる中日関係の基礎が構築されることへの期待を示しました。
本会の橋正征会長は、地域レベルの大会から日本語教育界屈指のイベントに発展した知識大会20周年の歩みに言及した上で、日本に関する知識を深める過程では知識のみならず多様な関係情報を学ぶ能力を習得することができる期待でき、このことはその他の様々な活動にも役立つとして本大会参加の意義を強調しました。会場の選手たちに向けては、これまで蓄積してきた広範な知識と深い理解を十分に生かして今後も進んでいって欲しいとの期待を表明しました。
続いて前日の予選を勝ち抜いた大学、個人選手等により、団体、個人の各決勝戦が行われました。団体決勝には予選の成績上位10大学に浙江大学と笹川医学同窓生OBチームを加えて合計12チームが、また個人決勝には予選成績上位10名に浙江大学選手1名を加えて合計11名が、広範な分野の多様な問題に白熱した戦いを繰り広げましたが、団体戦では北京外国語大学、個人戦では南開大学の賈マ怡さんがそれぞれ特等賞に輝きました。
20周年にあたる今大会では特別企画としてショートスピーチが行われました。8人の選手が、制限時間90秒(最長2分まで延長可)の中で「私から見る知識大会」或いは「私から見る十年後のアジア」をテーマに日本語によるプレゼンを行いました。
黒龍江大学の董Uさんは、知識大会の魅力はその広さと深さであり、言語面の知識の勉強にとどまらず、歴史や文学の裏に隠された思想や価値観にも触れることができ、それにより異文化をより立体的に捉え、自らの視野を広げることができるとした上で、例えば『源氏物語』では、当時の貴族社会の意識や論理を映し出す鏡として捉えることができ、このように大会を通じて知識を生きたものとして感じ取れるとしました。
また、安徽大学の羅馨怡さんは、「十年後のアジア」について、多様性に富んだ地域になることを期待するとした上で、アジアの発展には環境問題や社会的格問題などの課題もあるが、日中間、多国間の互恵関係が確立されれば、アジアの若い世代が協力し合い、持続可能な解決策を見出し更に輝かしい未来へ進むことができるとしました。
閉会式で日本財団の尾形武寿理事長は、20周年の特別企画であるショートスピーチの内容を高く評価した上で、無限の可能性を有する若者たちに向け、日中のみならず世界の人々が幸福になるような仕事に就いて欲しいとの希望を示しました。さらに世界の平和のためにはアジアの安定、アジアの安定のためには日中の安定が第一として日中関係の重要性を強調し、今後も勉学に励み世界のために尽くして欲しいとの期待を示して大会を閉めました。
◆クイズ問題
Q1)長年引きこもる子供とそれを支える親などの論点から2010年代以降の日本に発生している高年齢者の引きこもりに関する社会問題は何と呼ばれているか。
A.8050問題 B.6030問題 C.7040 D.9030
Q2)古事記において、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに八重垣作る その八重垣を」という歌の作者は誰か。
A.イザナキノミコト B.アマテラスオオミノカミ C.スサノオノミコト
D.ヤマトタケルノミコト
Q3)東海道中膝栗毛の膝栗毛とはどのような意味か。
A.籠で旅行すること B.徒歩で旅行すること C.船で旅行すること
D.馬で旅行すること
Q4)十七条憲法の冒頭はどれか。
A.篤く三宝を敬え B.和を以て貴しとなす C.心はこれ義の本なり
D.詔を受けて必ず慎め
Q5)「猫の恋」はどの季節の季語か。
A.春 B.夏 C.秋 D.冬
Q6)源氏物語第40帖『匂宮』以降で主人公として描かれている人物は誰か。
A.夕霧 B.薫 C.頭中将 D.柏木
Q7)厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」によると、現在、日本で就労している外国人労働者はどこの国籍の人が最も多いのか。
A.中国 B.ベトナム C.フィリピン D.インドネシア
Q8)日本で小説の著作権が保護されるのは、何年間か。
A.発表後30年 B.発表後50年 C.作者の死後30年 D.作者の死後50年
決勝戦の結果は、次のとおりです。なお、団体戦上位3大学と開催大学、個人上位6名の選手については、2025年2月に8日間の日本招聘に参加予定です。
《団体戦》
★特等賞
北京外国语大学
★一等賞
天津外国语大学、華中師範大学
★二等賞
鄭州升達経貿管理学院、浙江大学、温州大学、江南大学、国防科技大学、河北師範大学、
南京大学、暨南大学
★三等賞
長春師範大学、河南理工大学、対外経済贸易大学、中国人民大学、南開大学、
洛陽師範学院、上海外国語大学、南京工業大学、内蒙古大学、海南大学、華東理工大学、
河南師範大学、浙江工業大学、厦門大学、蘇州大学
《個人戦》
★特等賞
南開大学 賈マ怡
★一等賞
浙江外国語学院 楊浩、温州大学 朱正杰、浙江大学 许诺、蘇州大学 彭馨乙、
閩南師範大学 蔡灵婧
★二等賞
安徽大学 罗馨怡
★三等賞
北京外国语大学 张以恒、杭州师范大学 陈雨聪、海南大学 陈莹贞、洛陽師範学院 吴若婷
南京師範大学 张赟、K龙江大学 董U、暨南大学 黄君灏、大连大学 張子奇、
国防科技大学 范质真、華東師範大学 吴嘉欣、華東理工大学 李姗珊、中国人民大学 高明祺、
南京大学 蔡雨宸、浙大寧波理工学院 袁心雨
◆クイズ問題の解答
Q1)A Q2)C Q3)B Q4)B Q5)A Q6)B Q7)B Q8)D
<国際交流チーム>