9月15日 北川恵先生
アタッチメント理論に基づく
親子関係支援プログラムCOS-Pの実際と、
安心の輪子育てプログラム

COS−P(Tha Circle of Security プログラム)
健全なアタッチメント形成に必要なかかわりには
子どもの欲求や気持ちがわかること、
それに応えられることが大切
そのために
「安心感の輪」という考え方に基づいて、
親子の行動をビデオにとり、観察し振り返りながら
その行動やその時の気持ちに気づいていく方法。
あら探しをするのではなく、
親の背景理解(親の心の中の傷つきやかたくな部分など)
しながら、親のよいところや増やしてほしいところを
強調し、気づいてもらう。
ビデオを使用する理由には、アメリカの社会環境があるようで
@ハイリスクの家庭(10代の母がターゲット)への支援
A言葉を聞いただけでは反応しない親でも、自分達が
写っているブビデオを使うことで反応がでて、伝わりやすい。
実際、アメリカで薬物のため刑務所にいる母親に、COSを用いて
母子接触したところ、1才代の時、安定したアタッチメントが
できていたのだそう。
甲南大で3年にわたり実施された例の中から、
いくつかの場面をみせていただきました。
知らない部屋に親子で入ったさい
子どもはママから離れず、ぐずぐず泣いてる。
ママは、おいてあるおもちゃを指さしている。
こういった状況をビデオで見ながら、
「どんな行動してますか?」
「安心感の輪の上半分(安心)?、下半分(避難所)?」
「その時、子どもの欲求はなんでしょう?」
「ママはどんな気持ちでした?」といったように
順番に振り返っていくのだそうです。
子どもは、ママにくっついて泣くのは、
「不安だから慰めてね」という欲求をだしているのに対して、
ママは、早く自律してほしいと思っていたよう。
子どもがだしている欲求を満たしたほうが、
子どもも落ち着いて自発的におもちゃにむかうといった
場面を体験する中で、アタッチメント欲求を満たすことが
自律への近道だということに気づいたとのこと。
子どもの欲求の中には、
下半分の 守ってね、大好きってうけとめてね、
気持ちを落ちつかせてね、など
上半分の いろんなことするからみていてね、
一緒に楽しんでね など
といったように、いくつかあるんです。
アタッチメント欲求を満たすだけでなく、
けがの恐れや、危険なことをしようとしてる時は、
もちろん、とめるといった毅然とした対応も必要です。
グループでされると、自分では気づいてなくても、
他の参加者から言われて、そうだわと気づくこともあるそう。
このプログラムの実践にはかなりの研修が必要なため、
COSのエッセンスを盛り込んで、既成のビデオを使用した
安心の輪子育てプログラムが新たに開発されました。
安心の輪子育てプログラムとは、
子どもたちの言葉だけではない、しぐさや行動から、
その様子を客観的にとらえ、子どもたちの欲求を上手に読み取り、
応えていけるようになることを目指しているプログラム
まだ実施できる方が少ないのが現状のようです。
今後の展開が望まれます。
感想
お子さんがなかなか離れてくれなくて、
いらだってるママって多いような。
甘えさせてはいけないという思いもあるからでしょう。
お菓子やおもちゃをほしがる場合、その心の奥底には
アタッチメント欲求が十分満たされてない不満があるからかも。
ただ、育ててるママ自身もアタッチメント欲求が満たされた
経験が少なかったりする場合もあって、子どもの欲求を
すんなりうけとめられないことも多いかもしれません。
(私自身も含めてですが)しつけや教育に向かう前に、
子どものアタッチメント欲求に目をむけ、満たすことが
これから先、より必要になってくるように思います。