みなさん、初めまして。
子育ての文化研究所、いよいよ、動き出したのを機に、
HP・フェイスブック・ブログでお伝えすることになりました。
といっても、なかなか、きちんと伝えることは難しいです。
そこで、今わたしたちが考えていることを少しずつお伝えしていきます。
今回は、この会の意図をお伝えしましょう。
わたしたちは、子どもと子育てに関わっています。
子育て文化を考え、役立つ発信をする場として、
2012年4月17日、研究所を開設致しました。
子育てが「大変だ! 大変だ!」と皆が気づき始め、
現代社会においてのきわめて大きな問題と言われ、久しくなります。
子育て支援の施策も、随分多様でキメ細やかになったのですが、
それでも、乳幼児を持つ親にとっては大変さが増すばかりです。
それが端的に表れているのが、子どもへの虐待ですが、
件数の増加だけでなく、厳しい現実を見せつけるものばかりで、
大きな社会問題となっています。
しかし、虐待に及ぶ親は特別な人なのではないと、私たちは考えています。
以前より、子育ての環境が厳しいものになったことで、
どの親も危機に陥っている現実があります。
このような厳しい社会環境の中、
「子育て支援」はやっと注目されるようになりました。
子育て支援NPOや、
乳幼児を持つ親が運営する子育てサークル・子育て団体、
行政主導による子育て支援策、
特に「つどいのひろば」などの直接支援出来る場の設置など、
社会が子育てに目を向ける事を実感することも増えました。
子どもを育てるという行為に対し、
誰もが親として通るものとは言えども、
「産む・育てるは当たり前」と当然視するのではなく、
子育てを文化として継承されていない中では、
簡単な事ではないと、やっと受け止められるようになりました。
社会での注目度も増大しています。
現在、
社会で起きている子育てに関わる問題の背景として考える時、
その一因に「子育ての変容」が挙げられると思います。
江戸時代の時代劇を見ると、
意外な事に、父親が結構関わっています。
それは庶民の動きのなかで、ですが。
これは多くの家庭が「職」と「住」が
同一あるいは余り離れていなかった事にもよるのでしょう。
それにこじんまりした家、
何でも家の中は筒抜けだったからではないかと思うのです。
子どもが泣けば、父だって知らん顔できなかったでしょう。
また、ご近所の人のつながりの中で、
子どもたちは群れて育っていたことも、理由に挙げられるでしょう。
時代劇は、ツクリモノだからと言われそうですが…。
でも、考えれば思い当たることも多いですね。
もっと近いところで、この半世紀を振り返り、
祖父母と呼ばれる年齢の人達が育った頃と、現在を比較すると、
子どもを育てる事への意識の変化に目を見張るものがあります。
数十年前のこと、
たとえば、ミルクのことで言えば、
昭和30年頃(1955)から人工栄養にきりかえる風が流行り出し、
1970年前半には母乳栄養の比率が約30%となりました。
それに対し、そうはいっても母乳が大事!という声が大きくなり、
1975年以降復活し、今は7割が母乳育児だと言います。
・・・とはいうものの、ミルクの便利さからか、
部分的にミルクを使う人の割合が増えてきているとも言われています。
民俗学の専門家たちの間では、
1960年頃から、子育ての危機が叫ばれています。
社会に向け、親へ向けて、沢山の本が出版されました。
しかし、いわゆる育児書ではない専門書の類を、
ただでさえ子育てに大変で、時間の無い時期に読む母親はなく、
専門家が書き、専門家が読むだけの書物となってしまったようです。
ということで、
子育てに携わる親に研究者たちの警告は届きませんでした。
そうこうする間に、
日々、子育てに伴う文化(育児習慣)は変容を重ねます。
ある歌手が引退後の子育てで、抱っこひもを使用し、
そのカッコよさにあこがれ、皆が抱っこひもに走ったと言います。
実を言えば、私も「便利だ」と、第1子との通勤時にだっこひもを使用。
今から30年くらい前のことです。
今頃になって、そのこと自体が<流行に乗っていただけ>だと、
わかるのですが、こんな研究でもしない限り、気づきませんよね。
最近は、Facebookを介し、あるメーカーの抱っこひもが流行る
同じような現象がありました(というか、今もしぶとく継続中)
それがだっこに相応しいかどうかよりも、
「みんなが使っているもの」ということのほうが大きく影響し、
いつのまにか、このメーカーでのだっこが当たり前に。
そこから「おんぶって、どうしたらよいのですか?」から、
最近は「おんぶって、なんですか?」という声まで聞くようになりました。
現在の子育てのむずかしさ、その原因はどこにあるのでしょうか。
一つは「子育て」に関わる事柄の多様さから来てると思います。
子育てというのは、一人の人間を生まれた時から育て続けること。
人間に関わる全てのことの集大成です。
その情報量の多さに対し、伝えたいものズバリの本がないのです。
HOW TO的な子育ての仕方と言っても、
カタログ的な物の紹介、
遊びや文化のような伝承的なものから、心や体の成長まで、
それこそ、百科事典のように何もかも知らねば、出来ない!?
しかし、そんなことは到底できるものではないし、
これまで、人類はそんなに知識豊富な親が子育てをしてきたのではない筈。
となると、このことを、どのように捉えるか・・・と、考え始め、
かなりの年数が経ちます。
この研究所では、色々なことを整理し、簡単なカタチにし、
役立つ発信をしていこうと考えているところです。
研究所という場をご一緒に考える場としたいと考えております。
どうぞ、よろしくお願い致します。
代表 朱 まり子