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平田みすず先生の講義 赤ちゃんの育ちに寄り添って〜誕生から1歳半ごろまでの発達を中心に〜 [2016年08月04日(Thu)]
第5回 「赤ちゃんの育ちに寄り添って〜誕生から1歳半ごろまでの発達を中心に〜」
       7月24日(日)宇治会場 13:30〜16:30講座・質疑応答
   講師:平田みすずさん(臨床発達心理士)

 15のまなび第5回は、「赤ちゃんの育ちに寄り添って」というテーマで臨床発達心理士の平田先生をお招きしました。今回も京都市、宇治市内越えて遠くは三重、名古屋から、職種も子育て支援センターの方や助産師、地域のひろばで活動されている方などなど多岐に渡って17名の方が参加して下さいました。

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 まず、講師の平田先生は、子どもの発達についてマンツーマンで相談に乗ってくれる、親身で暖かいけど先生。はっきり言われても笑顔になれるすごい先生、という紹介から始まりました。平田先生の“臨床発達心理士”ですが、これは子どもを捉えるにあたり、臨床から捉えるか、発達から捉えるかの違いとのこと。先生は公立幼稚園の経験もありますが、低出生体重児の母の相談に乗るため発達の事を学びたいと思ったそうです。その思いもあり、今はたくさんの幼稚園や保育園を巡回訪問し発達の相談に乗っているそうです。子どもの発達相談ですが、相談を受けると子どもの発達の事だけでなく、子どもを通した家族相談になる事が多く、最終的に家族が育っていく助けの一手を担っておられます。

 今回は“1歳半ごろまでの発達を中心に”ということで、乳児期に焦点を当てました。このまなびで色んな先生方が何回も伝えて下さっているように、乳児期の1年間は人として発達するのに重要な時期です。脳の発達においては、生後1年で3倍にまで著しく発達します。また、聴覚や視覚など五感を刺激した体験は外界を捉えていく事に繋がりますが、赤ちゃんは1人ではそのような体験は出来ません。赤ちゃんと体験を繋ぐのは身近にいる大人なのです。

 その大人との関わり、赤ちゃんにとっての気持ちの表現は“泣く事”。赤ちゃんは自分の気持ちや欲求を泣く事で自ら発信しているとの事。赤ちゃんが泣き、その泣き声に反応して赤ちゃんは何で泣いているのか気持ちに寄り添って考え、オムツを替えたりミルクをあげたりする。このやり取りをすることで会話の基礎が出来るとの事。更に赤ちゃんは、泣いた事で感情を受け止めてもらう、気持ちに寄り添ってもらうという経験から相手を第二者として認識し自分を受け入れてくれる存在としてアタッチメント(愛着)が形成されると仰っていました。この“泣いて、受け止める”と言うやりとりは人間関係へ繋がる一歩になるため、赤ちゃんの泣き声は言語獲得のベースになるだけでなく、その後、社会で生きる人間関係のベースにもなっているようです。

 赤ちゃんにとって泣く事は意味のある言葉であり、産まれた時から発信しています。赤ちゃんからの発信を意味あるものとして捉える事は、例えば泣くと「どうしたの?」と覗き込んでもらえる、構ってもらえる事です。些細なやり取りかもしれませんがこのようなやり取りは生まれた時から始まっており、ゆくゆくは次の前言語(見つめる、発生、表情、動作、指さし)に繋がるとの事。この赤ちゃんの泣き声で始まるやり取りを取るか、取らないか、ですが、赤ちゃんの泣き声は時に気持ちを急かされ、こちらの気持ちの余裕を無くす時もあるでしょう。先生は、自分が一番苦痛じゃない方法で子どもと共有していく、というアドバイスも添えて下さいました。

 発達には言語的なもの、身体的なもの、精神的なもの等、様々な発達がありますが、それらが色々な力の影響を受け人格的に結合され、一人の人間の発達へと結びつくそうです。先生はこの“結合”をロープのようなものだと比喩されました。所々でこぼこがあっても人間として問題は無い。しかし、ずっとでこぼこだと難しさが出てくるそうです。そして、発達には階層(階段)があります。親、子共々、色々な経験を積みながら登っていきます。中には登りやすい階段、登りにくい階段があり節目ごとに階層は三つに分けられるとの事。

@乳児期前期の階層(誕生〜6カ月まで)
A乳児期後期の階層(7か月〜1歳6カ月まで)
B幼児期の階層(1歳7か月〜9,10歳ごろまで)
 ※9,10歳ごろは話し言葉から書き言葉への移行期

 これらの節目は発達の質的転換期とも呼ばれ、節目と節目を超える力がつく時期があるそうです。例えば乳児期前期の4カ月ごろには首がすわったり手が開くようになる事がそれに当たるとの事。

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 ここで少し乳幼児健診のお話に移ります。
 乳幼児健診の「健」という字ですが、検診の「検」とどう違うか。それは、“子どもが健やかに育っているか親と確認する”という意味が込められているそうです。このような思いが込められている健診ですが、ここ10年で大きく変わっているようです。今は子どもの発達、成長を確認するだけでなく、虐待を未然に防ぐためにも親の健康状態も一緒にみたり、家族の問題にも焦点を当てることがあるそうです。人が心身ともに健やかに育つためには周りの大人、人間関係を含めた「環境」が大切だと感じます。

 いくつか乳幼児健診の時期はありますが、その中でも今回は4か月、10カ月、1歳半健診とその時期の関わり方についてお話がありました。4ヶ月健診では、生まれ持った病気(脳性まひやてんかん)は無いか確認します。平田先生からは4ヶ月頃の関わり方、姿勢・運動、生活、遊びのアドバイスをいただきました。この頃の赤ちゃんは生活リズムも整ってくるので、生活の中で目覚めている時は大人の生活の場に連れて来る事、それによって周囲の様子が見られるように過ごす事が大切とのことでした。

 10カ月頃は乳児期から幼児期へ移行する力が誕生する時期です。自閉的な傾向を持つ発達障害の場合、力の弱さとしてこの時期に把握できるそうです。例えば人の認識が弱いということが挙げられます。10カ月健診では姿勢が垂直になっているかの身体的な発達面の他、対人関係、手指操作、聞こえの確認をします。出来る事が多くなるこの時期の健診は母親も緊張するでしょうが、平田先生は母親に対して「今、こういう力が育っているから、こういう事をしたらどう?」と促されるそうです。

 対人関係の確認では共同注意(相手の意図がわかる)や発声の育ちを確認します。10カ月と言う時期は「言葉の根っこ」になる時期だそうです。そのため子どもの育ちだけでなく、母親に対しても子どもへの関わり方をアドバイスがありました。この時期の発声は後期喃語と呼ばれ、まだ言葉として確立されませんが、指差しなどに応じて何をしているのか大人が言語で返す事で言葉を蓄えていきます。その蓄えが十分に貯まった時期が来ると爆発するように言葉が出ると仰っていました。言葉が出てから言葉のやり取りコミュニケーションが出来るのではなく、この時期から言語の前のコミュニケーションができ、ゆくゆくは1歳半ごろに繋がる大事な時期との事。また、周囲の人に気持ちを伝える手段となる初語へと繋がるそうです。

 また、泣き声も同様に次に繋がる力です。なぜなら、赤ちゃんは何か不快な事があるから泣くわけです。それは裏を返すと快の前段階になることです。追視や注視について、赤ちゃんは興味があったり、何か気になるから目で追います。何か見たいから、したいから、気になるから動こうとします。それが家の中の刺激が多すぎたり、動かなくてもおもちゃが手に届いたり、不安な環境に置かれていたりすると動こうとせず、次の運動発達に繋がりません。赤ちゃんは目的を持ってハイハイし、歩行に繋がっていくとのこと。発声、遊び、運動、一つ一つが次の階層(階段)に繋がる大切なもの。それをどのように生活に無理なく取り入れるかが大事だと感じることができます。

 1歳半健診では積み木の操作や描画をしますが、これは正しく使えているかではなく、道具として捉えているかを見るそうです。また、この健診で観察するところとして、10カ月の頃から繋がる対人関係が挙げられます。極端に気が散ったり、落ち着きが無いか、大人に対する欲求が無いか、など。このような親子に関わり方の工夫を伝えるのは支援者の役目だと仰っていましたが、そのためにもまずは“子の悩みを母親と共有する”ことが大切との事。悩みや不安、自己嫌悪がいっぱいの時は新しい情報は入りにくいものです。まずはその不安や悩みに支援者が寄り添い、受け止めることで吐き出し、母親は新しい情報を入れる余裕が出来たり、子どもの気持ちに寄り添う余裕が出来るのだと思います。
 平田先生は、健診は、子どものでこぼこについていかに適格に育児支援ができるか、その時に必要な応援ができるための健診だと仰っていました。

最後に、子どもの発達と大人の役割についてお話を頂きました。人間は目標があるから頑張る生き物であり、「〜したい!」という願いが発達の芽、との事。芽が無ければ成長はしません。その芽は周囲の環境や関わり方で大きく揺れる事もあるでしょう。どんどん成長するように芽を引っ張ることが大人の役割ではありません。まだ小さい芽を引っ張っては抜けてしまいます。成長するのはどこまでいっても芽、子ども達自身です。引っ張るのではなく揺れる子ども達の芽、気持ちを受け止め、支えていくことが周囲の大人の役割だと教えて下さいました。
 人の発達の道筋はそんなに変わらないそうです。ただ、階段を上るスピードが違うだけで、その子に合わせたスピードを理解して関われるかが大事との事。
 今の姿を見ずに無理に引き上げ階段を登らせるのではなく、その時の気持ち、発達に「私(親・大人)もするし、一緒にしよう」と寄り添う事が次の階段を登れる事に繋がるのだと感じたお話でした。(青柳)
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