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台風がやってきた 焼津で体感型実験装置の巡回展 [2008年09月30日(Tue)]


ドライアイスで発生した台風の渦


9月、10月は台風の季節である。この台風のメカニズムを学んでもらおうという「自然界の水 台風がやってきた」巡回展が9月13日から11月30日までの日程で静岡県焼津市にある「ディスカバリーパーク焼津 ときめき遊星館」で開催中だ。日本科学協会日本財団の支援で導入した「体感型実験装置」を各地の科学館などに貸与して、子どもたちに台風と自然界のかかわりを理解してもらうのが目的だ。(写真左:ときめき遊星館)

ときめき遊星館は、宇宙や自然科学への関心を高め、焼津市の活性化などを狙いに1997年7月にオープン。焼津市出身の世界的望遠鏡製作者、故法月惣次郎氏製作の大型反射式望遠鏡がある天文台としても知られている。台風の巡回展は1階の展示・体験室で開かれており「水分子」「雲」「雪と雨」「渦」「気圧」「風波」など、8つの体感コーナーに分かれている。気象予報士の資格を持つ今橋正雄さんら遊星館の職員のほか、気象予報士会静岡支部の協力も得て、交代で入館者の説明に当たっている。(写真右:会場入り口には地球儀が)

特に人気があるのは、ドライアイスで作り出した霧で台風の渦の様子を見る装置だ。スイッチを入れると、2、3分間霧が発生し、渦巻きの中心に台風の目と同じ状況も出現する。幼稚園の孫を連れて来館したという男性は、職員の説明に耳を傾け、渦の発生の様子を熱心に観察していた。今橋さんは「ドライアイスは高いので、1時間に1回程度しか実験できないが、入館者が一番興味を持って見てくれています」と話している。入場者は土日、祝日が多く、職員らは子どもたちに「吹きごま」と呼ぶ、紙のこまをプレゼントしていた。(写真左:こどもたちの応対に当たる女性職員)

遊星館はSF漫画「銀河鉄道999」で知られる松本零士さんが名誉館長を務めており、台風展を見た入館者は5階の天文台にある口径80aの望遠鏡で、天体観測を楽しむことができる。この望遠鏡を製作した法月さんは、望遠鏡づくりの名人といわれ、遊星館以外に東大東京天文台(三鷹市)など日本の26カ所の天文台に法月さんの望遠鏡が設置されている。この功績が評価され、1987年には吉川英治文化賞も受賞している。(写真右:5階にある法月さん製作の大望遠鏡)

遊星館は、科学に関する催しをしており、台風展の後は「鉄道模型展」を開催する予定という。日本科学協会の台風巡回展は、2007年8月の京都府木津市「きっづ光科学館ふぉとん」からスタートし、今回で7回目。遊星館の後は横浜市の「横浜こども科学館」で12月20日から09年3月14日までの予定で、全体では13ヵ所(最終回は09年11月28日−10年1月11日まで島根県出雲市の出雲科学館)で開催する計画だ。(石井克則)
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ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 09:02 | 海と船 | この記事のURL | コメント(0)
「太平洋諸島フェスタ」開催 交流拡大目指し太平洋島嶼国5カ国 [2008年09月29日(Mon)]


太平洋諸島フェスタの開会式の様子


日本に大使館を置く太平洋島嶼(とうしょ)国5カ国による「太平洋諸島フェスタ」が9月16日から3日間、東京・赤坂の日本財団ビルで開催された。日本との交流拡大が目的で昨年に次いで2回目。最終日のレセプションで笹川陽平・日本財団会長は「日本に大使館を持たない他の島嶼国にも参加してもらい、規模を拡大して相互理解を一層深めてほしい」と述べた。(写真右:島嶼国産品が並ぶフェスタ会場)

フェスタはフィジー諸島共和国、マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、パラオ共和国、パプアニューギニアの在日大使館が笹川平和財団日本貿易振興機構(ジェトロ)太平洋諸島センターの協力で開催した。第1回目の昨年は
東京・お台場のホテルを舞台に1日企画「パシフィックナイト」として開催された。今年は日本財団ビルのオープンスペースの無料提供を受け規模を拡大し実施された。(写真左:挨拶する笹川日本財団会長)

日本と太平洋島嶼国の相互理解、交流を目的に、内容も各種展示会から産品の販売、貿易・投資促進セミナーまで多彩な内容。「南海の楽園」のイメージとは逆に温暖化や産業廃棄物による環境破壊など深刻な問題にも直面しており、会場では日本国内で環境問題に取り組む3つのNGO、「地球の友」、「オイスカ」、「エコクラブ」がその活動を紹介するパネル展も同時に開催された。(写真右:会場は多くの人で賑わう)

太平洋島嶼国はミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの3地域の独立国・自治地域だけで14カ国に上り、文化も多様。最大の人口を持つパプアニューギニアだけで800を超す言語がある。ランチタイムには太平洋諸国に伝わる伝統音楽や色鮮やかな衣装をまとった舞踏も披露され、道行く人々が足を止めた。(写真左:色鮮やかな衣装で舞踏を披露)

(写真:笹川平和財団提供)


動画はこちらをご覧ください。(1分16秒)

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昭和の記憶を聴き出そう 船橋市で「聴き書き」キャンペーン [2008年09月29日(Mon)]


お年寄りと向き合い、質問する「聴き書き会」


激動の昭和を生き抜いたお年寄りの貴重な生活体験を、子供たちに伝えて世代間交流を深め、地域づくりに生かそうと活動を続けているNPO「昭和の記憶」が、今年も「敬老の日を『聴き書き』の日に」キャンペーンを全国で展開している。お年寄りは懐かしい記憶を紡ぎ、質問する子供たちは初めて知る世界に驚きの歓声を上げるなど、聴き書き会場はどこも笑顔であふれている。(写真左:しだいに緊張がほぐれ、昭和の記憶を楽しそうに聴く)

聴き書き会は福祉や教育活動、さらには街づくりなどのグループが、「昭和の記憶」の趣旨に賛同して開催、事前に準備された手引き書やワークブックを使って実施する。「昭和の記憶」は2010年までに全国で1万人の参加を目標としており、スタート2年目の今年は、北海道、新潟、東京、神奈川、千葉、静岡、愛知、奈良、沖縄などの学校、図書館、介護施設、学習塾などで開催が続いている。(写真右:「昭和の絵葉書」を眺めながら、記憶を呼び起こすお年寄り)

9月の敬老の日前後の開催が最も多く、事務局が出張したイベントだけでも北海道深川町(9月13日)、千葉県船橋市(14日)、横浜市(15日)と連続して開催された。このうち船橋市の学習塾「新学フォーラム」で開かれた聴き書き会には72歳から84歳のお年寄り5人が参加、普段は教室に使用している部屋で、塾生の小・中学生7人がお年寄りを質問攻めにした。

今年の共通テーマは「昭和の暮らし」。事務局で8枚の絵はがきを用意、その絵をもとにおじいさん、おばあさんと子供たちの会話が進んだ。絵はがきは「団らん」「お祭り」「お正月」「教室」「紙芝居」「遊び」「就寝」「病気」と、昭和の暮らしぶりを知る絵が描かれており、子供たちにとっては物珍しいものばかり。お年寄りは現代っ子の質問によって、懐かしい記憶がしだいに鮮明になって行くようだった。(写真左:事務局で作成した「昭和の暮らし」絵集)

多くのテーブルで、話題は戦争のころの暮らしぶりとなり、「えー! ひとクラスに60人もいたんですか?」「病気になっても家で寝ているだけ?」などと不思議そうに話に聞き入っていた。それでも近所の子供同士の遊びやお祭りの話に「戦争がなければ、今より楽しそう」「勉強したくてもできなかった昔の人がかわいそう」などと感想を話し合っていた。

イベントで引き出された貴重な「記憶」は、ワークシートや開催レポートにまとめられて「昭和の記憶」に送られ、事務局で集約して冊子化される。事務局長の瀧澤尚子さんは「今の子供たちは年配の方と話をする機会が少なく、緊張するのでしょうが、自然とコミュニケーションが深まって行って、毎回、とても新鮮な発見があります」と語っている。「昭和の記憶」は聴き書きボランティアや応援会員を募集しており、日本財団は一連の事業を支援している。(写真右:聴き書きを終え、みんなで感想を発表した)
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ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 09:13 | 文化・教育・社会問題 | この記事のURL | コメント(0)
ミクロネシア3国の海上保安支援へ [2008年09月26日(Fri)]

広大なEEZ(排他的経済水域)を持つミクロネシア3国(マーシャル諸島共和国、パラオ共和国、ミクロネシア連邦)の間で浮上している統一の海上保安庁(コースト・ガード)設立構想を笹川平和財団日本財団が民間の立場から全面的に支援する見通しとなった。年内にも3国に米、豪関係者も含めた「ミクロネシア3国海上保安庁設立支援委員会」(仮称)を発足させ具体的な支援策がまとめられる予定。3国の海域は台湾海峡を経てマラッカ海峡に至る東西貿易路の唯一の代替路、事業は日本の安全保障にとっても大きな意味を持つことになる。(写真:統一海上保安が検討されるミクロネシアの海)

同構想に関しては笹川平和財団の羽生次郎会長が5月にマーシャル諸島共和国を訪問するとともに、この地域の国防・安全保障を担当する米国とも協議、さらに9月中旬、ミクロネシア、パラオを訪問し両国大統領らと意見交換を重ね、各国から日本側の支援を歓迎する意向が示された。たまたま同15,16両日、ミクロネシアとの外交樹立20周年記念式典に出席のため現地を訪れた森喜朗元首相とエマニュエル・モリ大統領の会談でも話題となった。(写真右:ミクロネシア政府関係者と意見交換する羽生・笹川平和財団会長)

今後、笹川平和財団と3国の実務担当者で海上保安業務や日本側の支援内容を詰め、年内に予定される3国の首脳サミットで統一海上保安庁の設立を正式に表明、これを受け海上保安庁設立準備委員会を立ち上げる予定。3国のほかこの海域の違法操業取り締まりを支援している米国コースト・ガード、豪海軍関係者らもメンバーとなる見通し。3国共通の海上保安業務としては海洋資源の保護・違法操業の取り締まり、海洋汚染防止、産業廃棄物対策を中心にした環境対策、海難救助などが考えられている。

意見交換ではフィリピン、インドネシアと接するパラオが国境警備・治安に強い関心を示しているのに対し、残る2国は漁業資源の保護を重視する姿勢を見せるなど温度差がある。さらに、これまで3国を支援してきた米、豪両国との調整も必要となる。加えて笹川平和財団や日本財団は民間団体であり、海上保安実務に直接、関わるのは難しい事情もある。(写真左:ミクロネシア議会で演説する森元首相)

こうした事情から日本側の支援は通信施設の整備、人材育成が中心となる見通し。海上保安大学(広島県呉)で幹部候補生を育成する一方、現地に訓練施設を設け日本から指導員を派遣、実務担当官を育てる案などが検討されており、今後訓練施設の設置場所などが検討される。

多数の島からなるミクロネシア地域は3国合わせ1400平方`、人口約18万人。その一方で3国合わせ約600万平方`と世界で3番目のEEZを持つ。近年、豊富な漁業資源を求めて違法操業が増えているほか中国の進出も目立つ。3国との協定に基づき米、豪両国が監視・取り締まり業務を支援しているが、対象区域が広大で限界があり、統一の海上保安庁構想が浮上した。キリバス、ナウル両国を加えたミクロネシア地域は戦前、日本が委任統治し南洋庁も置かれ、第2次大戦の激戦地にもなった。日系の血をひく人も多く、ミクロネシアのモリ大統領は日系4世。(写真右:パラオ大統領府)(宮崎 正)
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蒙古襲来からサザエさんまで 博多湾の歴史特別展 [2008年09月25日(Thu)]


筑前五ケ浦廻船に関する貴重な資料が並ぶ


蒙古襲来から漫画サザエさんのルーツまで福岡県の博多湾にまつわる出来事は数多い。こうしたさまざまな歴史上のテーマを6つに絞った特別企画展「博多湾物語」が福岡市の能古島にある能古博物館で開催されている。財団法人亀陽文庫が日本財団の支援で企画したもので、博多湾の今昔が浮き彫りになっている。(写真左:能古博物館外観)

亀陽文庫は江戸時代に儒学と医学を一体として学び、筑前亀井学として実践した亀井南冥一門の遺墨、論稿を多数所蔵していることで知られる。特別展は(1)蒙古襲来(2)金印(日本の朝貢に対する光武帝からの褒美)鑑定(3)筑前五ケ浦廻船(4)サザエさんのルーツ百道浜(5)海外引揚の記憶(6)史上初、ヨットで太平洋単独横断−の6つのテーマごとに資料を展示した。玄関ホールには博多湾最後の船大工東野秋夫さん(75)の建造した全長4メートルの木造和船も飾られた。(写真右:特別企画展「博多湾物語」)

6つのテーマのうち「筑前五カ浦廻船」については、江戸時代に福岡藩の飯米を江戸や大阪に廻漕する千石船についてその模型や荷札、天秤(はかり)和磁石などが展示され、博多湾が千石船で賑わった当時の様子を知ることができる。幕末のペリー来航の際、警備船として幕府が用意した6隻のうち2隻が能古島の千石船だったという。

また、漫画「サザエさん」は作者の故長谷川町子さん(国民栄誉賞受賞)が、その構想を博多湾内の百道浜で練ったといわれ、サザエさんを書く前に西日本新聞社に掲載した挿絵4点(サザエさんに通じる人物が登場する)やサザエさんを描く長谷川さんのポートレートなど、珍しい資料も展示され、注目を集めている。(写真左:長谷川さんのイラストが展示されている)

このほか、能古島の対岸にある志賀島で発見された金印を鑑定した亀井南冥に関する資料が展示され、興味を集めている。南冥は福岡藩の西の藩校(学問所)「甘棠舘」の初代館長を務めたことでも知られる。東の学問所は「修猷館」で現在の修猷館高校の前身。

さらに、能古島も戦場になったという元寇に関する資料や、ヨットで太平洋単独往復を史上初めて実現した福岡県立筑紫丘高校出身の牛島竜介さんの航海に関する資料、終戦後約1年半で日本に帰国した海外引揚者約500万人のうち国内最多の139万人を受け入れた博多湾の様子について当時の写真も展示されている。(写真:木造和船を建造中の船大工東野秋夫さん(75))

特別企画展「博多湾物語 〜蒙古襲来からサザエさんまで〜」は11月30日まで。同文庫は来年2月、文化勲章受章者の日野原重明医師(96)の講演会を開催する予定だ。(森 啓子)
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「私たちにも働くチャンスを」 インドのハンセン病コロニーを訪問 [2008年09月24日(Wed)]

「私たちも働きたい」。こう訴えるのはインド北部・ウッタール・プラディッシュ州バラナシ市内のガンガ・ハンセン病コロニー(集落)に住むリンク・デヴィさん(30)だ。WHOハンセン病制圧特別大使を務める日本財団笹川陽平会長は年に数回インドを訪れ、このような声に耳を傾けてハンセン病回復者や家族たちの置かれた状況を視察しており、今回は9月3、4日の2日間でバラナシのハンセン病コロニーや保健所など数カ所を訪問した。

ガンガ・コロニーを訪問する笹川会長

デヴィさんが生活をするコロニーは、長さ50メートルほどの通りに35世帯75人のハンセン病回復者とその家族が生活している。デヴィさん自身はハンセン病回復者ではないが、回復者である祖父、両親の面倒を見るためにレンガ職人の夫と子供4人でこのコロニーに住んでいる。
「1ヵ月でもいいから、裁縫を習いたい。そうすれば仕事が見つかるかもしれない。時間があるのに何もできないのは耐えられない」と、デヴィさんは働く機会がないことを嘆いていた。(写真右・デヴィさん)

ガンガ・コロニーの次に訪れたカシ・コロニーは川沿いにあり、40世帯60人のハンセン病回復者と家族が住んでいる。笹川会長らの一行が到着すると、回復者たちが楽器演奏をして出迎えてくれた。この楽器演奏はハンセン病回復者の心の問題に取り組んでいる心理学者のトゥルシ博士が取り入れた音楽療法で、回復者らが抱える心の負担を和らげる効果があるという。笹川会長は「これまでいくつものコロニーを見てきたが、こんなに穏やかな表情で暮らす方々は初めて」と驚いた。トゥルシ博士は、回復者の子供の世代に対しては社会復帰への糸口を探るため、コロニーから出て暮らすことを指導しているという。(写真・カシ・コロニーで楽器演奏する回復者たち)


日本財団は、インドのハンセン病回復者やその家族の社会復帰、経済的自立を支援するため2006年12月「ササカワ・インド・ハンセン病財団」(SILF)を設立した。現在までにSILFの調査で、インドにはハンセン病回復者とその家族が住むコロニーが約700ヵ所あることが確認されている。これらのコロニー代表者を中心とした当事者組織「ナショナル・フォーラム」の活動も始まっており、その支援もSILFの活動の重要な柱だ。(富永夏子)

                                   

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4カ国の聴覚障害学生が合同研修 英国でリーダーシップを学ぶ [2008年09月24日(Wed)]


研修の様子

日本、アメリカ、中国、ロシアの聴覚障害大学生たちのリーダーシップ国際研修が8月9日から1週間にわたって英国・ロンドン郊外で開催された。日本財団米国ロチェスター国立ろう工科大学(NTID)筑波技術大学と進めている聴覚障害者のための国際大学ネットワーク事業PEN‐International)の一環で、4カ国の大学による聴覚障害学生を対象とした合同研修は世界的に前例のない取り組み。

研修の参加者は4カ国の聴覚障害学生が計18人のほか、各国の手話通訳者や英語‐各国語通訳、さらに講師など合わせ約50人。日本からは筑波技術大学の学生3人と愛媛大学の学生1人、日英通訳2人、手話通訳2人、同行教員1人、合計9人が参加した。研修が開催されたのはロンドンから南に車で約2時間のイースト・サセックスにあるハーストモンソー城。カナダの大学が所有し、宿泊研修施設、結婚式場として使われている。まるで中世に迷い込んだような環境で、学生たちは他国の聴覚障害学生たちと共に1週間を過ごした。(写真下・研修が行われたハーストモンソー城)

 
講師はほとんどがアメリカNTIDの教授たちで、筑波技術大学教授も一コマを受け持った。講義は「聴覚障害者リーダーとは」「ろう文化」「健聴者の聴覚障害者に対するイメージ」「成功した聴覚障害者の特徴」「就職と良好な人間関係作り」「目標設定と達成」など、今後学生たちが各国や世界の聴覚障害者リーダーになるために必要なテーマに焦点が絞られていた。
(写真右・熱心に講義するNTIDの教授)

米国以外では「リーダーシップ」を大学の講義として教えることは珍しく、同行した教員たちも講義や発表に熱心に聞き入っていた。日本人学生の一人は「普段友人と『リーダーシップ』について話すことはないが、今回色々と語り合う事が出来て大変良かった。 また、多様な人脈を持つことの大切さを学んだので、これからは一つ一つの出会いを大切にしていきたい。時間をかけて自分の目指すものを見つめ直したい」と、研修を受けた感想を話した。

研修の特徴は通訳体制が徹底されていたことだ。講義の大部分はアメリカ手話(ASL)または英語で行われたが、例えばASLの場合はまず英語(音声)に通訳、次に英語を各国語(音声)へ通訳し、さらに各国の手話に通訳するという、3段階の通訳を経て日本、中国、ロシアの学生へ伝えられる体制で進められた。また、火災など不慮の出来事に対する連絡網の徹底(非常ベルが聞こえないので、緊急時はマスターキーで各部屋を開けて回る)など、NTIDのチームによる運営にも聴覚障害者教育に対する長年の実績・経験を見ることができた。(写真・参加者の記念撮影)(石井靖乃)


動画はこちらをご覧ください。
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ベトナム中心に18校 アジア辺境で小学校建設進む [2008年09月22日(Mon)]


ベトナムの小学校の授業風景(写真はいずれもAEFA提供)


アジアの山岳地帯で、満足に教育を受けることができない子どもたちのために学校建設などの支援活動をしているNPOアジア教育友好協会(AEFA)は、本年度ベトナムの中部高原を中心に計18の小学校の建設を進めている。このうちベトナムなど一部地域では年内に学校が完成し、新しい校舎で授業が始まる。AEFAはこれまでに38校の建設支援しており、本年度で50校の大台を超えることになる。(写真左:学校に通う子どもたち)

AEFAは、日本財団の支援を中心に2005年度からタイ、ラオス、ベトナム、中国雲南省で山岳少数民族の子どもたちの学校建設を進めており、これらの学校と日本の学校(小中高校)との間でフレンドシップ(FS)協定を結び、学校同士の生活や自然環境などについてビデオや手紙、絵などを交換して、国際交流を図っている。このFS協定が縁となり、07年4月にはベトナム南部のデルタ地帯にある小学校の校長とベトナム教育庁の担当者が来日、FS校である岩手県紫波町立星山小の新校舎落成式に出席した。(写真右:水牛に乗ったベトナム中部高原の子ども)

本年度はベトナム13校、ラオス4校、タイ1校の計18校を建設するが、このうちベトナムでは一番開発が遅れているといわれる中部高原地帯で少数山岳民族・セダン族などの子どもたちのために12の学校(もう1つは南部)をつくるのが特徴だ。セダン族は人口が約9万6000人(1989年ベトナム国勢調査)で、コントム省を中心に居住し、焼畑農耕で栗やキャサバ、陸稲、水稲などを栽培している。ベトナム戦争当時、戦闘が最も激しかった地域であり、ドイモイ政策で経済成長が豊かなベトナムの中で取り残されているといわれる。しかも土地がやせているため住民の生活は貧しく、子どもたちの教育は遅れているのが実情だ。(写真左:ラオスの建て替え前の校舎)
 
ベトナムの学校建設に関しては、世界の恵まれない子どもたちのためのチャリティ活動をしている東京・世田谷区のボランティア団体「アーク」(北條友梨代表)が6月、日本財団の寄付プロジェクト「夢の貯金箱」350万円を寄付、AEFA を通じて中部山岳地帯での学校建設費用に活用されることになった。(写真右:ベトナム中部高原の村)

AEFAは学校建設と国際交流のほか、学校菜園や井戸掘りなど、地元住民が参加した学校運営を支援している。10月25日には東京で日本のFS校の関係者らを集めて第3回AEFAフォーラムを開催する。(石井克則)
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世界の「渚」を一斉調査 志津川湾でNaGISAプロジェクト [2008年09月19日(Fri)]


3種類の、世界標準の「枠」で調査するNaGISAプロジェクト


世界各地の「渚」で、NaGISA (Natural Geography In Shore Areas)プロジェクトが進められている。世界中の海辺で生息する海洋生物を、統一した方法で調査し、そのデータを共有して研究に役立てようという研究者の国際的ネットワークだ。2001年にスタートし、いまでは北米、南米、東南アジアなど、世界50カ国を超える国々に広がっている。

陸上の生命に比べると、海洋生物の世界は「まだ解明できていない」というのが実態。そこで世界の科学者が「海洋生物のセンサス(Census of Marine Life)プロジェクト」を進めていて、NaGISAはそのフィールドプロジェクトの一つだ。プロジェクト名は日本語の「渚」にちなんで命名され、本部は和歌山県白浜町の京都大学瀬戸臨海実験所に置かれている。

このプロジェクトの特色は、特別な知識や技術を持たない市民にも参加を呼びかけ、世界標準の調査方法でサンプルを集めて行くことにある。単純で費用のかからない調査方法を用いることを重視しているだけに、幅広い地点と時点のサンプル採取を可能にしている。日本では今年2地点目となるワークショップが8月20日、宮城県南三陸町の志津川湾で実施された。(写真右:ワークショップに協力した南三陸町自然環境活用センター)

ワークショップには京都大学の学生とNPO法人「エコロジーカフェ」のメンバーら12人が参加し、南三陸町の「自然環境活用センター」がバックアップした。志津川湾は和歌山の白浜とともに国内の定点観測地であり、「エコロジーカフェ」のメンバーは単独で小笠原(母島)調査を実施している経験者たちだ。

代表的な調査方法が「枠採り」だ。25cm、50cm、1m四方の三種類の枠を用い、その中で観察される生物の種類、個体数を確認する。25cmの枠はすべての個体について、50cm枠は海藻類だけなどと、サンプリングの方法が決められている。また満潮時、干潮時など潮の高さと水深も標準が定められている。この日はセンター前の磯場で午前・午後に分け、たくさんのサンプルが採取された。(写真左:磯に生息する海洋生物を、残さずサンプリングする)

NaGISAプロジェクトの成否は、世界中で多くの市民参加を得て、正確で幅広いサンプルが持続的に確保できるかにかかっている。NPOなどの団体や大学、高校の参加が期待されているが、白浜調査では地元の田辺商業高校や、奈良の奈良高校生物部が継続して参加している。卒業生も含めれば「市民NaGISA調査隊員」は確実に拡大している。

「海洋生物のセンサス」は2010年を目標年次として、それまでに解明された事実の体系付けをすることにしており、NaGISAの調査成果が期待されている。京大瀬戸臨海実験所は西部太平洋を担当エリアとしていて、国内20カ所のほか、東南アジア海域での調査も続けている。来年3月にはフィリピンでも現地教育機関と協力するなどして、調査地点を拡充して行く計画だ。

同実験所の白山義久所長は「調査の裾野は確実に拡大しており、多様な海洋生物の状況が地球規模で確認されつつある。研究者だけではとうてい不可能な量のサンプルが集まって来ており、ようやく海洋生物の世界地図が描ける可能性が見えてきました」と語っている。これらのデータは地球環境の変動をキャッチすることにもつながり、日本財団が継続して支援している。
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次の犠牲者を出さないために 東京で自殺を予防の展示会 [2008年09月18日(Thu)]


自殺した父親をしのんで長男が作った詩


自ら命を絶つ人が跡を絶たない。2007年まで10年連続で自殺者は3万人を超える異常事態となっている。しかも07年の自殺者3万3093人のうち18%はうつ病が原因であり、心のケアの必要性が叫ばれている。こうした中で、「NPO働く者のメンタルヘルス相談室」(伊福達彦理事長)は、9月2日から4日まで、日本財団の支援で東京・新宿中央公園内にある新宿エコギャラリーで「過労・うつ病で自ら命を絶ったあなた」という展示会を開催、自殺者が激増する現代社会の在り方を告発した。(写真右:メンタルヘルス相談室の伊福理事長)

同相談室は、ことしになって京都市(2月)、尼崎市(4月)、大阪市(6月)でこの展示会を開いており、今回が4回目。今後自殺のハイリスク地といわれる愛知県豊田市、福岡県筑紫野市、大阪府枚方市でも年内に開催する予定。今回は自殺者の遺族の会である「藍の会 仙台わかちあいの集い」(田中幸子代表)とも連携し、田中さんが仙台から駆け付け、会場で訪れた人たちに、自死遺族の実情を訴えた。(写真左:展示された在りし日の写真や遺書)

展示会は、うつ病による自殺が大企業に目立つことから「大企業の自殺の実例」(トヨタ、東芝、日本通運、キャノン、富士通など)を取り上げ、さらに自殺した「50人のリスト」「その人たちの遺書や在りし日の写真」「マスコミでも取り上げられた特別のケース」(過労自殺した小児科医の長女が跡を継いで小児科医になった話など)の4つのコーナーに分けられた。過労自殺した和歌山県橋本市役所勤務の男性の長男(小1)が父親のために書いた「ぼくの夢」という詩も展示され、これに曲をつけCDにしたシンガーソングライター修行中の木下徹さんが会場でギターの弾き語りをし、父親を失った子どもの悲しみの深さを伝えていた。(写真右:藍の会の田中代表)

ぼくの夢 
大きくなったらぼくは博士になりたい 
そしてドラえもんに出てくるようなタイムマシンをつくる 
ぼくはタイムマシンにのって 
お父さんの死んでしまう前の日に行く 
そして 「仕事に行ったらあかん」て いうんや
(写真左:ギターの弾き語りをする木下徹さん)

伊福さんは今回の展示会について「悲しみを見つめるだけでは自殺者は減らない。まず大企業がうつ病による自殺者を出さない対策を取るべきだ」と語り、さらに「働いてうつ病になったら労災認定が必要なのに、認定されるケースは1%にも満たない」と述べ、労災認定のあり方を批判した。(石井克則)

働く者のメンタルヘルス相談室は大阪市北区東天満2-2-5-605 電話06-6242-8596

*歌「ぼくの夢」のビデオクリップはこちらからご覧いただけます(1:48秒)
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ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 10:19 | 文化・教育・社会問題 | この記事のURL | コメント(0)
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