石垣島の澄んだ海でリーフチェック実習(コーラル・ネットワーク提供)
サンゴ礁を中心とした海の自然環境保護活動を展開している
NPO法人「コーラル・ネットワーク(Coral Network)」は、今年度第1回の
サンゴ礁モニタリング・リーダー養成講座を4月3日から6日まで、沖縄県石垣市で開催した。地球規模の連携で継続されている
サンゴ礁の健康状態調査「リーフチェック」のリーダーを養成するためのもので、首都圏や沖縄から9人が参加した。
サンゴは世界で450種以上確認されている。サンゴ礁はそうしたサンゴの死後、骨格の石灰質が堆積してできる地形のことだ。それらは海の生態系に重要な位置付けを持っており、人間生活を含む多くの生物に安定した生命空間を与えている。さらに気候変動など地球規模の環境変化を知る手がかりとなっていて、多くの海で重大な危機に直面していると警告されている。
しかし広大な海洋でのサンゴ礁の調査・研究は、研究者だけでは限界がある。このため世界のサンゴ礁研究者グループが、一般のダイバーらに協力を求め、ボランティア活動による定期的・地球規模の調査方法を考案した。世界のサンゴ礁の健康状態を、国境を越えて統一的な方法で継続調査し、研究者に資料を提供しようというもので、それが「リーフチェック」だ。1997年に世界30カ国で立ち上げられ、現在は84カ国以上に広がっている。日本では調査地点も20カ所以上に増えた。(写真:前年の白化現象が順調に回復していたことを確認)
「コーラル・ネットワーク」は、そのリーフチェックを日本で推進することを目的としたNPOで、事務局長の宮本育昌(やすあき)さんらが米国の本部にコーディネーターとして登録し、日本のモニタリング・リーダーの養成に当たっている。リーダーはリーフチェックの世界標準調査をマスターした「チーム科学者」として認定され、それぞれの地域でボランティア・ダイバーを指導しながらリーフチェックを実施することができる。(写真:海洋実習では入念な事前説明(中央が宮本事務局長))
ただ認定を受けるためには、一定のダイビング経験が必要であるうえ、魚類、無脊椎動物、サンゴ、サンゴ礁一般といった学科講習5科目を受講、さらに2日間の底質同定海洋実習を受けてそれぞれの試験に合格する必要がある。石垣島の環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで開かれた講座では、経験豊かなダイバーたちがサンゴや無脊椎動物の識別や分類法理解に取り組んだ。2日間の講義の後、全員で米原ビーチ沖の実習地点に移り、2日間の潜水実習を体験した。(写真:環境省のセンターで開かれた講座。試験はなかなか難関だった)
こうしたリーダー養成講座は、
日本財団の助成を受け今年で3年目になる。これまでに30人近い「チーム科学者」が認定され、それぞれの地域でリーフチェックに取り組んでいる。宮本さんは「リーダーが増えることは日本のリーフチェック地点が増えることであり、それだけ環境保全の目が広がることが期待できます」と語っている。コーラル・ネットワークは今年度中にあと2回の養成講座開催を計画している。
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