戦没商船の記録 神戸の資料館でデータベース化 [2007年04月27日(Fri)]
![]() 模型など多数の資料を展示 太平洋戦争で戦没した「商船」について、「戦没した船と海員の資料館」(神戸市中央区)にある資料館を支えるグループ(代表・佐藤昭雄甲南大学名誉教授)は、沈没した場所はもとより、乗船していた部隊名・船団名をさらに調査、特定しデータベース化することになった。 日本財団の支援で4月から作業を始めており、来年3月末までに完成予定だ。太平洋戦争中に沈没した日本船籍の商船のデータベース化は珍しく、船と共に犠牲になった人たちの遺族に応えるだけでなく、戦争の悲惨さを語り継ぐための資料としても活用されることになる。 太平洋戦争で沈んだ日本の商船は7240隻(官・民一般汽船3575隻、機帆船2070隻、漁船1595隻)といわれ、船員約6万人が犠牲になった。2000年8月15日にオープンした資料館は、これらの沈没前の写真を中心に多数の資料(写真と解説1300隻、解説のみ1500隻、模型80隻)を展示し、これまでに約1万8000人が入場した。「資料館を支えるグループ」は佐藤さんのほか6人で構成、ボランティアとして見学者の説明や案内に当たっているが、さらに沈没商船のデータベース化も進める。 作業に当たっては、防衛庁戦史室や米国立公文書館で資料を集めるほか日本の船舶会社の社史や輸入船記録、だ捕船記録などを収集する。これを整理分析して、インターネット上で公開するという。大きな船会社に所属していた船舶の記録は詳細に残ってはいるが、記録にも残っていない浜川商店の「金茂丸」のような小型の船舶や、遭難時に通報もなく、戦後になって戦没したことが判明した船舶の情報も集める方針だ。 グループ代表の佐藤さんは、甲南大で教鞭をとる一方、沈没した商船の模型を製作して遺族に贈ることをライフワークとしており、既に100隻以上の模型を寄贈した。 |
