海洋文化継承へ爬龍船が大活躍 [2007年02月28日(Wed)]
龍頭が鎮座する船首に日本財団のロゴマークを掲げた爬龍船(はりゅうせん)2隻が、沖縄の海洋文化継承に大活躍している。財団の助成を受けた社団法人・琉球水難救済会(那覇市)が建造し、那覇市爬龍船振興会に寄贈した2艘で、毎年5月の「那覇ハーリー」が近づくと、会場近くの泊港北岸は学校を挙げて体験競漕に挑む中学生の歓声が響くシーズンとなる。
「ハーリー」は豊漁と海の安全を祈って沖縄各地の漁港で続けられている伝統行事。なかでも那覇ハーリーは、龍の姿をかたどった全長14.5メートル幅2.2メートルの大型爬龍船が主役だ。黒、黄、緑の3隻の爬龍船に42人で構成される地域や職場のチームが乗り込み、700メートル程度を4分台で漕ぎ切る。ゴールデンウィークに開催される那覇ハーリーは、25万人もの見物客が詰めかける大イベントとなっている。 年々増える出場希望チームに対応し、子供たちの沖縄文化継承にも役立てるため、新爬龍船2隻が2003年に建造された。糸満市の造船所で造られたFRP構造で、1隻が約600万円。これまでのシーズンは主として那覇市の中学生の体験競漕用に活用されていて、多くの子供たちが実際に乗り込み、漕ぎ手となって伝統文化を体験している。ハーリーに出場する中学生チームも生まれ、沖縄の海の伝統はしっかりと継承されている。 今年も新学期とともに体験学習の季節を迎える。水難救済会が貸し出すオレンジ色の救命具を装着した子供たちが、鐘のリズムに合わせて力いっぱい漕ぎ出す。琉球水難救済会の富山健二常務理事は「子供たちは毎年の体験乗船を楽しみに待っています。爬龍船を造船できたおかげで、ハーリーの伝統が守られていくと思います」と語っている。 沖縄の海洋文化を伝える爬龍船 ≪お知らせ≫ シンポジウム「分権時代のローカルマニフェスト」3月24日、東洋大学で開催。 https://blog.canpan.info/koho1/archive/6 |