「鼓粋」の演奏
障害を持つ人が全身を使ってリズムを刻む「
日本太鼓全国障害者大会 心に響け“ドンドン”フェスティバル」が10月5日、東京・文京シビック大ホールで開催された。今回で10回目、全国からこれまで最多の26団体が参加し勇壮な太鼓を披露、会場には皇后さまも姿を見せられ「目標があるから、こんなに頑張れるのですね」と拍手を送られた。
和太鼓は近年、内外で注目を集め、1997年に設立された「
日本太鼓連盟」には800を超す団体が加盟する。中、高校の音楽授業のほか療育活動に太鼓演奏を取り入れる障害者施設も多く、今回は26団体405人が出演、1000人を超す人が会場を埋めた。大会では主催者の日本太鼓連盟・松本英昭会長、共催者で30年前から障害者の療育に太鼓を取り入れている社会福祉法人「
富岳会」の山内令子理事長のあいさつに続き、静岡県の「
富岳太鼓竜神組」から岐阜県の「恵那のまつり太鼓」まで26組が2時間半にわたり力強い演奏を披露した。
「富岳会」の演奏
演奏に先立ち出演者の体験発表が行われるのがこの大会の特徴。今春パリで行われた文化イベントに親善大使として参加した大阪府・富里学園の「
和太鼓 鼓粋(こいき)」の副リーダー原田春菜さんは「太鼓をやっていたから、このような経験ができた」と報告、大分県・「糸口太鼓」のキャプテン信井広隆さんは「投げ出さないで頑張ることが明日の自分を作ってくれることを太鼓を通じて学んだ」と力強くあいさつした。
また3歳のころ水疱瘡の高熱で右半身が不自由になったという長野県・「和太鼓ちんどん」の黒沢絵美さんは、県内の病院祭で演奏した祭、患者の1人から「太鼓を聞いて勇気付けられた」と涙を流して感謝された体験を紹介、「助けてもらうばかりと思っていた私たちが人の役に立っているんだとうれしく感じた」と語り会場から拍手を浴びた。
「甲州ろうあ太鼓」の演奏
和太鼓は「日本の心」を伝える楽器として海外でも高く評価され、今年6月にはブラジル・サンパウロで開催されたブラジル移民100周年式典で日系人を中心にした1000人太鼓が披露され、2月にカンボジア・プノンペンで行われた障害者による国際芸術祭には、この日の大会にも出演した「
甲州ろうあ太鼓」が参加、喝采を浴びた。次回は来年10月18日、石川県小松市で開催される。(宮崎正)