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5ヵ国語の音声付検診車 静岡で運用開始 [2008年10月08日(Wed)]


完成した音声付の検診車


日本在住の外国人が集団検診を受けやすくなるよう文字や手話に加え5ヵ国語対応の音声装置を備えたシステムを搭載した胸部・胃部エクス線検診車が東京・八王子市の東京特殊車体で完成、このほど静岡県予防医学協会に引き渡された。同協会は、日系ブラジル人労働者が多い浜松市の集団検診にこの特別仕様の検診車を使い始めた。 外国語対応の音声装置がある検診車は珍しく、外国人労働者の集団検診に大きな力を発揮しそうだ。(写真左:中国語のアニメ画面)

この検診車は、日本財団の支援で同予防医学協会が東京特殊車体に発注、音声装置などのシステム部分は専門のメーカーである東芝メディカルシステムが開発した。搭載されたシステムは、胸部と胃部のエックス線検診を受診する聴覚障害者用に手話を使ったアニメモニターのほか、外国人のために音声発生装置を備えている。外国人用の支援システムは、胸部の方が日本語、英語、韓国語、ポルトガル語、中国語(北京語と広東語)の5カ国、6つの言語に、胃部用は日本語、英語、ポルトガル語、中国語(北京語)の4カ国語にそれぞれ対応している。

  

       写真左:システムを設置中の技術者       写真右:検診車の内部

同協会は1967年に設立され、静岡県内全域で検診車による巡回検診を進めている。同県の西部地区にある浜松市は機械部品工場などで働く日系ブラジル人が2万前後居住しているといわれ、日系ブラジル人の学校もある。既に、こうした日系ブラジル人を対象に検診を進めているが、聴覚障害者と外国人支援のシステムを搭載した検診車を導入することで、受診率の向上が期待できるという。(写真右:東京特殊車体の工場)

日本財団は、2004年から聴覚障害者の受診の便宜を図るために文字や手話を表示できるシステムを搭載した胃部エックス線検診車配備に助成を続けており、これまでに東京、新潟、岡山、鳥取の4都県で活用されている。外国語の音声付システム搭載の検診車への助成は初めて。全国の予防医学協会の窓口である予防医学事業中央会の西田幸一事業部次長は「いろんなニーズを確認しながら配備を進めたい。いまのところ手話のニーズが高いようだ」と話している。(石井克則)
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ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 09:15 | 福祉・医療 | この記事のURL | コメント(0)
水の国・最上で交流 [2008年10月08日(Wed)]


「分水嶺」左は日本海、右は太平洋に

各地に残る生活の知恵や職人の技、伝統芸能を見直す「日本再発見塾」が10月4、5の両日、松尾芭蕉の「奥の細道」で知られる水の国、山形県・最上町に約200人が集まって開催された。4回目の開催で、今回のテーマは「清水(すず)とつながってみる2日間」。古老の話しやフィールドワーク、歌・俳句を通じたコミュニケーション「歌垣」などを通じて交流を深め、呼び掛け人代表の俳人・黛まどかさんが「それぞれが体験と感動を持ち帰り、さらに活動を広めてほしい」と最後を締め括った。

日本再発見塾は「和」や「武士道」「日本食」など日本の美が世界的に注目される一方で、当の日本が元気を失いつつある現状を前に、参加者が地元の人々との交流を通じて日本の素晴らしさを再確認するのが狙い。各界を代表する50人が呼掛人となって2005年に岩手県・葛巻町で初めて開催され、2、3回目は滋賀県・高島市福島県・飯舘村が会場となった。

▼清水(すず)の町

今回の開催地となった最上町は人口約1万800人。奥羽山系に囲まれ、地元の人が清水(すず)と呼ぶ豊富な湧き水に恵まれる。農業のほか温泉、スキー場を中心にした観光が主な産業で、かつては「小国駒」と呼ばれる馬の産地でもあった。境田地区には目の前で水の流れを確認できる分水嶺もある。東京財団などとともに山形県も後援し、地元公民館で開催された開講式では斉藤弘知事が「水に恵まれ、水に親しむ山形県の体験を通じて日本を再発見してほしい」と歓迎のあいさつをした。

(写真右:茶道を通じ、水体験)

第1部の「地元のお年寄りが語る水と暮らしの変化」では、作家の塩野米松さんがマタギとして30頭を超す熊を捕ったという本間山田さんら地元の4人と“水論議”。「湧き出す清水で米をとぎ、野菜を洗い、その傍らに井戸端会議があった」「清水に恵まれているのに保健所は水道水でなければ駄目という」など、水と親しかった生活が次第に変わりつつある現状が披露され、塩野さんは「ボトルがあれば、そこに清水を入れて飲むのが本来の日本人の暮らし。ガソリンより高い水を飲む都会の暮らしとは違う」と指摘した。

次いで「清水の道探し」と題したフィールドワーク。参加者が地元の達人やボランティアの学生とともに「水と植物・生物」「水と文化」「水と農業」「川と漁」「最上の郷土料理」「森と炭焼き」「山刀伐(なたぎり)峠と芭蕉」の7コースに分かれ、地元のお茶室「観山亭」での茶道体験や、地元の料理自慢のお母さんたちとの郷土料理作りで水との関わりを再確認した。炭焼きコースでは実際の伐採から薪割り、窯(かま)からの炭出しから仕分けまで体験、町を流れる最上川の支流、小国川では清流に棲むカジカ釣りにも挑戦した。
(写真上:釣り体験 写真下:伐採体験)



▼爆笑と拍手の「歌垣」

2日目は万葉時代に男女が想いを交わした「歌垣」を再現。黛さんや、呼び掛け人のひとり増田明美さんら6人による俳句、和歌各3作の「問い句・問い歌」に対する「答句・答歌」を参加者から募集。寄せられた約300首からそれぞれ優秀作を選び、出来栄えの良さとともに、司会を行った黛さんと万葉学者の上野誠・奈良大文学部教授の絶妙な掛け合いもあって会場は爆笑と拍手に包まれた。

さらに小国川河原で最上の郷土料理「芋煮」会。ボランティアが地元実行委員会の指導で大鍋いっぱいの「芋煮」を作り上げ、キノコや野菜など地元の食材を使った豪快な味を楽しんだ。最後は「まじゃれ放談会」。“まじゃれ”は「みんなで一緒にやろう」を意味する最上町の方言。7コースの代表がそれぞれの体験で感じた“よき日本”を披露し、再会を誓い合った。(写真左:清流が流れる河原での芋煮会)


再発見塾の参加者は学生から高齢者まで幅広く、初日は深夜まで大部屋で世代を超えた交流を展開。雑魚寝の後、2日目は早朝から収穫や朝市体験。清流の町が持つ静かなイメージとは逆に、慌ただしくも密度も濃い2日間となった。

(高木恵、枡方瑞恵、宮崎正、樋口裕司)


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ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 08:39 | 文化・教育・社会問題 | この記事のURL | コメント(0)
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