自殺実態1000人調査 フォーラムで中間報告を公表 [2007年09月13日(Thu)]
日本財団ビルで開かれたフォーラム 自殺者が年間3万人を越える異常事態が続き、自殺予防の取り組みの必要性が叫ばれる中、WHO「世界自殺予防デー」の9月10日、東京・赤坂の日本財団ビルで自殺予防に関するフォーラムが開かれた。この中で今年から始まった「自殺実態1000人調査」の中間報告(101人分)が公表され、注目を集めた。調査は自殺に至るまでのプロセスを明らかにすることで、自殺対策を具体化させ、自殺者を減らすのが狙い。わが国では自殺防止の対策は遅れており、この調査は自殺対策を立案するうえで貴重な基礎資料になるとみられる。世界自殺予防デーのフォーラムは日本では今回で3回目。 「自殺実態1000人調査」は、NPO法人自殺対策支援センターライフリンク(清水康之代表)と東大経済学部21世紀COEプログラムCEMANO(澤田康幸准教授)が6月から共同して進めている。政府が発表した「自殺総合対策大綱」の中でも「実態解明」が重要施策の一つとして位置づけられており、日本財団もこの調査を支援している。毎月100人を対象に調査を進め、来年3月までに聞き取りを終える予定。(写真:フォーラムで発言する清水代表ら) 調査対象は1000人の自殺者の遺族で、300問の第一次調査と1843問の第二次調査合わせて2143問という細部にわたる設問で自殺の実態に迫る。この調査と並行して、「自死遺族支援全国キャラバン」も展開中で、家族を失った遺族への支援も始まった。 これまでの終えた101人分の中間報告で判明したのは(1)背景には複雑に絡み合った要因があり、自殺対策には相談窓口同士の連携が必要(2)自死遺族は周囲の冷たい反応で孤立しており、支援は孤立を防ぐための工夫が必要(3)自殺の実態に特徴があり、対象別の自殺対策が重要−の3点だ。職場の勤務事情や多重債務問題でうつ病と診断されながら、その事実が医療機関から職場や家族、関係者に伝わらずに自殺に追い込まれたケースが目立っている。 フォーラムの中で、遺族会のメンバーは「自死者の遺族は語ることができない部分も多い。1000人でも100人でも、その調査をすべてと思ってほしくない。焦らずに時間をかけて遺族の声を聞いてほしい」と注文し、清水代表は「これがすべてとは思っていない。いただいた遺族の声を基に、責任を持って対策を考えて行きたい」と答えていた。 |