「病院から家に帰るとき読む本」 宮崎でホスピスガイド出版 [2010年02月19日(Fri)]
住み慣れた家や地域で最期の時を送る「在宅ケア」に関心集まりつつある中で、「病院から家に帰る時読む本」(A4判、定価2100円)というガイドブックが、このほど出版された。宮崎県内の医師や看護師、ホスピス、行政関係者らで組織する「『宮崎をホスピスに』プロジェクト」が編集、患者や家族向けに発行した。写真やイラストを多用し、分かりやすく解説したガイドブックは、在宅介護のためのバイブルともいえそうだ。(写真:出版されたガイドブック)
プロジェクトは、「病院から家に帰る時に役立つ医療・介護の知識を患者と家族に届けること、この分野の医療・介護のネットワークづくり」を目的に、延べ1600件のアンケート調査を基に約1年かけてこの本の編集に取り組んだ。プロジェクトの中心メンバーのNPOホームホスピス宮崎理事長の市原美穂さんは、宮崎市内で「かあさんの家」という24時間介護の在宅型ホームホスピスを運営。認知症や末期がんの患者らを受け入れており、日本財団も夢の貯金箱を経由した笹川医学医療研究財団の「君和田桂子基金」から活動支援のため、助成している。 |
編集の中心になった市原美穂さん ガイドブックは、第1章「帰れますよ」、第2章「おかえりなさい」、第3章「マギーの風」第4章「宮崎ホスピスガイド」から成っている。このうち「帰れますよ」では、病院で治療が終わった患者が「退院してください」と言われた時のために利用できるよう、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション、町の薬局と薬剤師など、地域の関係施設とその役割を紹介している。 民家を借りた在宅型ホームホスピスかあさんの家 「おかえりなさい」では、介護保険の仕組み、グループホームと看取りへの取り組みなどを具体的に記している。「マギーの風」では、市原さんの英国ロンドンにあるがん患者支援センター訪問記のほか、かあさんの家の運営方針や理念など「ホームホスピス」とは何かについて触れている。このほか「宮崎ホスピスガイド」では、宮崎県内の緩和ケア病棟、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、療養型医療施設、歯科医院、調剤薬局、グループホームなどのデータを掲載している。 市原さんにオルガン演奏を聞かせる利用者の女性 市原さんらが2004年から始めたホームホスピスは、「患者と家族が望む場所で望むように生の終わりを全うするために支援する」をモットーに活動しており、これまでに22人を看取った。横浜からかあさんの家に移り、亡くなるまで1年半を過ごした男性は、生前「ここはみんなが家族です」と話していたという。(石井克則) かあさんの家のスタッフとボランティアの打ち合わせ風景 |