中学で“ふるさとの森”づくり 防災に向け校庭脇に植樹 [2009年11月26日(Thu)]
かつては東京など大都会にも豊富な森があり、都市化の中で大半が姿を消した。神社も例外ではなく、かつての3分の1近くに減少している。これらの森を防災面で見ると、例えば14万人を超す犠牲者が出た関東大震災(1923年)では、隅田川沿いの約7fの空き地に多くの被災民が殺到し熱風や飛来する火の粉で3万8千人が焼死したが、幅7bの照葉樹で囲まれた旧岩崎邸(現清澄庭園)に避難した2万人は無事だった。(写真:ポットに入った苗木が用意された)
葉が厚く水分を多く含んだ照葉樹による防災効果で、今回の学校、鎮守の森の植樹はこうした避難場所を増やしていくのが狙い。近年、地球環境戦略研究機関・国際生態学センター(センター長、宮脇昭・横浜国大名誉教授)が宮脇方式と呼ばれる防災植樹を内外1600ヶ所で進めてきており、日本財団では同センターや「国際ふるさとの森づくり協会」(高野義武理事長)の指導・協力を得て植樹を進めることになった。 今回、植樹が行われたのは横浜市戸塚区の市立汲沢中。美化委員会を担当する蛭田真生教諭が宮脇教授の教え子だったこともあり選ばれた。20日はたまたま秋の中間テストの最終日で午後の授業はなし。自主参加の呼び掛けに554人の全校生徒のうち125人が応え、高野理事長らの指導で校庭を囲むコンクリート壁に沿って約1200本の苗木を植えた。 100人を超す生徒らが植樹に参加した 用意されたのはポットに入った30種類の苗木。モチノキやヤマモモなど高木、カマツカなど小高木、ナンテンなど低木に分けて植え、最後に稲ワラを敷いた。同中はJR戸塚駅から北に約2キロ。隣に米海軍戸塚無線送信所もあり比較的緑に恵まれた地域。その土地の自然植生を合わせ多種類の樹種を通常の植樹より多く密植するのが宮脇方式の特徴。植樹体験は生徒にも好評で、女生徒の一人は「木が大きく育つのが楽しみ。思い出に自分の名前を付けた」と笑顔を見せ、石田正明校長も「今回の企画は区の校長会でも話題になっている」と語った。(宮崎正) 稲ワラを敷いて終了 |