集会は約2時間にわたって首都カトマンズ市内で開かれ、同市や近郊から記者約80人が参加した。冒頭、笹川会長は「日本ではメディアが積極的に取り上げてくれたことが『らい予防法』の撤廃につながった」とメディアの協力の重要性を強調した。続いてネパール政府保健省のハンセン病担当官・タクール氏がネパールのハンセン病有病率が人口1万人当たり1・16人で、年内の制圧(1万人に1人未満)まであと一歩であると報告すると、記者からは「なぜこれまで制圧できなかったのか」「政府がやる気がなかったからだ」などの厳しい質問が相次いだ。(写真:タクール氏)
これに対しタクール氏は「確かに以前、制圧できると言ったのに実現できなかった。しかし現在は政策の中でハンセン病に対する優先順位が高い。今後の戦略としてネパールのハンセン病患者の約8割がいるタライ地方を重点的に調査し、早期発見に努める」と説明した。集会の最後にジャー会長は「メディアが政治問題ばかりを取り上げるのでは国はよくならない。私たちメディアも
CSR(企業の社会的責任)を今一度考え、真剣に政府、WHO、NGOと共にこの問題に取り組んでこう!」とメディアの協力を呼び掛けた。(写真:ジャー氏)
笹川会長は翌日24日からタライ地方を訪問した。これにはジャー氏のほかクラシックFMラジオ、カトマンズ・ポスト(新聞)、ネパールテレビの記者らが同行した。ネパールではラジオの普及率が高く、影響力も最も大きいという。クラシックFMは毎日6回15秒のハンセン病に関するメッセージを流し、毎週土曜日には30分のハンセン病に関する番組を持つ。しかしクラシックFMラジオのサルーダ記者がハンセン病の現場を訪れたのは初めてだという。同記者は、患者が通う保健所やコロニーで熱心に当事者の話を聞いて回り「今回の経験はとても貴重なもので今後の番組作りに大いに役に立つし、私自身も現場を見ることで考え方が変わった」と話してくれた。(写真:取材をするサルーダ記者(右))
カトマンズ・ポストのアトゥール記者は長年保健医療にかかわる取材をしてきたベテラン。翌日には「触れることで愛を分け与える」という見出しの記事を掲載。そこには笹川会長がハンセン病回復者の足を洗っている写真が掲載され、「ハンセン病の人々に触れてもうつることはない。薬は無料だ。差別をしないでほしい」と書かれていた。笹川会長は「メディアが果たす役割を数字にして表すことはできないが、このようにメッセージを送り続けていただければ、必ず伝わると信じている。そのことが2009年中の制圧につながる」と記者らに話し、年内に制圧祝いができることを信じて再会を約束した。(写真:取材をするアトゥール氏)(富永夏子)
ハンセン病啓発集会