研究者そろい記念会議開催 英国での日本研究 [2009年02月26日(Thu)]
英国12大学で日本関連講座を担当する講師ら 落ち込みが目立つ日本研究の拡大に向け英国の12大学に開設された日本関連講座の担当者がすべて決まった。1月23日にはロンドンで、これを記念する国際会議も開催され、英国における日本研究、若手研究者の育成が本格的に動き出した。事業は5年間、日本財団とグレイトブリテン・ササカワ財団が支援し、以後、各大学が自己資金で継続する。(写真:笹川会長と講師らが初めて集った) |
英国ではオックスフォード、ケンブリッジなど10を超える大学が日本専門家を育成し、これら専門家が政府や民間企業の政策・戦略作りに参加するなど日英関係強化に大きな役割を果たしてきた。ところが近年、日本研究を希望する学生は増加傾向にあるものの中国研究の台頭などで日本研究の学部や講座を縮小する大学が目立ち、こうした閉塞状況を打開するため昨年秋、12大学との間で日本関連講座の開設が決まった。
講座は12大学で計13講座。政治、社会、歴史、経済から文学、マンガ、アニメを含めた文化人類学まで幅広く、担当する若手の講師、助教授陣の出身国も地元英国のほかロシア、ドイツ、ブルガリア、日本など計7カ国と多彩。国際会議前日の1月22日には日本大使館で関連のレセプションも開催され、各大学学長や日本研究者ら約200人が出席、関心の高さを示した。(写真:会議で挨拶する日本財団笹川陽平会長) 会議では慶大・添谷芳秀、早大・岩淵功一両教授による基調講演のほか講座を担当する若手研究者による日本研究の発表も行われ、日本財団の笹川陽平会長は「幅広い研究者の多様性こそ日本研究の強みになる」とあいさつ、グレイトブリテン・ササカワ財団のセント・アンドリュース会長は「世界第2位の経済大国日本は英国にとって大変重要な国だ」と今後の発展に期待を寄せた。(写真:セント・アンドリュース会長) また会場には、海外での日本理解の促進に向けて日本財団が進める図書寄贈事業の対象に選ばれた英文図書100冊が展示された。内外の作家や研究者によって書かれた日本関係図書の英語版で新渡戸稲造の「武士道」なども含まれており、講座を開設する12大学を含め世界の大学に順次、希望する図書が贈られる。(写真:会場の様子)(宮崎正) |