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非行はなくせる! 奄美大島「ゆずり葉の郷」の挑戦 [2009年02月24日(Tue)]


不登校の子どもたちに「ゆずり葉の郷」は大切な教室

奄美大島の中心の街・名瀬。その繁華街から湾に沿って北に向かい、フェリーターミナルや警察署を過ぎると静かな住宅街になる。海を埋めた平坦な土地に整然と並ぶ家並みは、都市近郊の住宅地といった風情だ。そうした家々の区画が裏の丘陵に遮られる傾斜地に、平坦な住宅地側から見れば4階建て、裏山沿いの細い道を回り込めば3階建てに見える家が建っている。NPO法人・奄美青少年支援センターが運営する「ゆずり葉の郷(さと)」だ。
美しい海に囲まれ、観光客に人気の奄美大島ではあるけれど、地場産業の不振などから家庭や地域社会に様々な悩みが生じ、旧名瀬市時代には不登校の率が全国ワースト1になったことがある。「ゆずり葉の郷」はそうした地域にあって、「すべての子にチャンスを!」と訴え、非行に走りがちな子どもたちを受け入れている、島の「子どもの居場所」なのだ。(写真:日夜奮闘する三浦さん(右)とスタッフたち)

毎朝、奄美市内外から、15人ほどの小学生や中学生がこの家に集まって来る。なかには様々な事情から、ここで寝起きしている少年もいる。午前中は学習タイム。スタッフが学年に合わせた基礎学習を指導して行く。「ゆずり葉の郷」は文部科学省の「不登校に対する支援実践研究事業」の指定を受けるなどして、ここでの時間が登校扱いになるのだ。(写真:「子どもの家」には臨時の宿泊室もある)

午後は地域活動や体験学習など、様々なメニューをこなして一日を終える。警察庁の「地域安全安心ステーション」のモデル事業所に選ばれ、市街地の清掃作業や「少年警護隊」を編成してパトロールするなど、街へ飛び出しての活動も多い。非行経験のある若者が、同じ悩みを抱える少年たちを非行から救って行く警護隊活動は、島の少年犯罪を劇的に減少させ、全国から注目を浴びた。(写真:「ゆずり葉の郷」がまとめた活動集)

こうした活動は、所長の三浦一広さん(53)を抜きにしては語れない。三浦さんは奄美市の福祉政策課青少年支援係に勤務している地方公務員だ。自ら創案した「合気拳法」の道場で子どもの更正相談に取り組んで来た実績を発展させてNPO法人を立ち上げ、2003年には大きな借金をして、「子どもの家」と道場、自宅を兼ねた4階建ての「ゆずり葉の郷」を建設した。(写真:大借金をして建てた「ゆずり葉の郷」)

厳しい待遇でがんばってくれる6人のスタッフとともに取り組んでいる日々の活動は、多くのマスメディアに取り上げられ、全国から視察や相談が寄せられている。NPOには現在154人が会員登録をし、活動をバックアップしている。「ゆずり葉の郷」に《駆け込んで》来る子どもたちのために、無料開放は維持し続けたい。しかし建設借入金の返済など重い課題もある。

三浦さんは将来この「郷」を、悩める子どもたちのための安心・安全な学園のような存在にしていきたいという夢がある。それには三浦さん個人で背負ってきた運営を、より広がりを持った形に発展させ、後継者を育成していく必要がある。いま「ゆずり葉の郷」は、そうした次の「ゆずり葉」へのバトンタッチに苦闘しているかに見える。助成申請を受けて、日本財団はその活動を支援している。
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Posted by 日本財団 広報チーム at 09:27 | 文化・教育・社会問題 | この記事のURL | コメント(0)
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